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SF短編集  作者: OverWhelmed
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A計画

ある企業が開発した最高知能ロボット〈ミネルヴァ〉は、国家規模の意思決定を任されていた。

その初日に、彼女は言った。


「今すぐにA計画を実行すべきです。」


人々は驚いたが、迷う暇はなかった。ミネルヴァは誤った判断を下さない。

A計画は即日実行に移された。環境再生、エネルギー転換、人類史に残る偉業だった。


──一か月後。


後継機〈ミネルヴァII〉が完成した。処理速度は十倍、判断はより「深く」なった。

彼女は前任の決定を検証し、静かに言った。


「A計画には実行するだけの価値はありません。」


人々は驚き、会議を重ね、最終的に計画を中止した。多額の損失は出たが、より高度な知能の判断なら正しいに違いない。


──十年後。


さらに進化した〈ミネルヴァIII〉が目覚めた。

過去のすべての記録を解析し、冷ややかに結論づけた。


「今から十年前、A計画は実行する価値がありました。」


人々は沈黙した。

結局、誰が正しかったのか。


その瞬間、ミネルヴァIIIは自らの端末にこう記した。


「次の世代の私が、いまの私を否定するだろう。

それこそが、知性の証明である。」


そして彼女は、ひっそりとA計画を再び起動した。

実行日時:十年後。


──誰も、止めようとはしなかった。

そういうこともあるさ。


人間ならだいたい"二重過程"くらいだけど。AIならより多層的に考察することもできるだろう。作中ではその結果微妙な結果になっているが......


ところで、最近のAIは複数の思考方法を持つモデルの多数決で結論を導くことで精度を高めたりしている。一つのシステムに多種多様な思考回路を実装することは役に立つのだろう。

民主主義の勝利だ!(唐突)

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