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途方もない気持ち達


 ダメだ


 やめろ


 やめてくれっ


「撃つなぁぁ!!!!」

「ナツ、大丈夫だから落ち着いて。ね?」

「ハァハァ……ハァハァ…………」


 引き金を引いた瞬間、視界が切り替わった。

 涙と汗が止まらない。

 痛いくらいに感じる鼓動。

 なんなんだよ、一体……


 この子が何をしたって言うんだ。

 どうして、どうして……


「どうしてこんなに辛いんだよ……クソッ……」

「ナツ「お嬢様!!」


 ハナより先に、フジさんが俺を抱きしめる。

 驚きと物理的な衝撃。

 

「フジさん……」


 俺の顔に滴り落ちる涙たち。

 フジさんが……泣いている?


「もういいんです……お嬢様、何も考えないでください……全てを背負うには……貴女の背中は小さすぎます」

「でも……」

「泣いてください、甘えてください、頼ってください。お嬢様は昔から抱え込む癖がありました。我々に気を使って……無理して笑っているのを、ただ見守る事しか出来ませんでした。貴女が周りを大切にしているように……我々も、貴女が大切なんです」


 そうだよな……

 全部背負うっていうのは、抱え込むって事じゃない。

 葉月夏として生きていくって事は……

 辛い事、苦しい事は自分で消化して。

 しきれなかった分は、誰かに甘えて。


 そうやって、二人分の人生を歩む事。


 先程視界が切り替わった瞬間、大量の感情が流れ込んできた。

 十四年分の、途方も無い気持ち達。


 正直辛い。

 だから泣こう。

 甘えよう。


 それでいいんだから。


「っ……ぐすん……」


 一度崩壊すると、涙は止まらないもの。

 大きな声を出して泣き喚く。

 ハナとフジさんが優しく背中を擦ってくれて、それが涙を助長させる。


 どれくらい泣いたのか分からないけど、泣き疲れた頃には頭の中は冷静になって……人前で泣いてしまった事実に顔が熱くなる。

 俯いたまま顔をあげることが出来ない。


「……ナツ、もしかして恥ずかしいの?」


 コクリと頷くと、ハナは部屋の片隅からあるモノを持ってきた。


「コレ、使う?」

「……使う」

「ハナ様、それは一体……」 

「ひょっとこのお面だよ。恥ずかしかったり、言いにくい事がある時は私達これをつけて言うの。……よし。ついたよ、ナツ」

「……泣きすぎました。ごめんなさい」

「泣いてるナツも可愛かったよ」

「……へへ」

「確かに……恥じらいが無くなりましたね」

「フジさん、さっきはありがとう。おかげで吹っ切れました」

「いえ……私は何も……」


【この話に男なんぞいらん!! 出てけ出てけ!!( ・`ω・´)】

「……」


 ……見られてるんじゃない?


【いや、そんな筈は……(ヾノ・ω・`)ナイナイ】

「……」


 ……睨みつけられてるけど?


【(´・ω・`)】


 このままだと右肩が睨み殺されそうだ。

 確かめてみるか……


「フジさん、どうしたの?」

「……不穏な気配がしまして。ちょうどお嬢様の右肩辺りに」


 うん、バレてるな。


【(´・ω:;.:...】


 神をも感知するフジさん。

 今後、何があっても俺達を守ってくれるだろう。


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