ゴスロリパンクナツちゃん
アイツ(自称神)が出なくなって三日が経った。
あの神社とこの現象に間違いなく関与しているんだろうけど……
アイツと引き換えに、夏ちゃんの抱えていたモノが少しだけ知れた。
いつも騒がしいやつだったから、いざいなくなると……なんだか寂しい気もするな。
【グフフ……(*´ڡ`)】
帰れ帰れ。しんみり終わらせてくれ。
「夏ちゃん、ちょっとちょっと」
リビングでギターを弾いているとハナママに手招きされた。
不安げな顔をしているけど……どうしたのだろうか。
「どうしました?」
「今日って何か準備してる?」
「準備……?」
「一応聞くけど……今日ハナの誕生日だよね?」
「!!?」
「やっぱり……夏ちゃんそういうの鈍そうだったから」
「ど、ど、どうしよう……」
「…………よし。スマホに送っておいたから見ておいてね。19時で予約しておいたから」
誰の連絡先も登録されていなかった夏ちゃんのスマホ。
今では大切な人(ハナ、ハナママ、おじいちゃん)が登録されている。
「良い雰囲気のお店だから。あとは自分で考えてね」
予約してくれた店は、この辺りでは有名なスペイン料理店。少し敷居が高い所だが、まぁ間違いない店である。
とりあえず店に連絡をいれてケーキを予約して……あとはプレゼントか……
誰かに言われなきゃ気が付かないなんて、ハナに失礼だよな……好きだなんだって言ってるくせに…………
「夏ちゃん、そんなに深く考えないで。こういうのは人それぞれで……記念日とか誕生日とか勿論大切だと思うけど、それが誰か想う大きさの基準になんてならないから。特別な一日よりも、ハナといられる毎日を噛み締めてる夏ちゃんも素敵だと思うよ?」
「ハナママ……」
【丸い卵も切りようで四角ですな】
うっさいな。
【プレゼント考えたら?】
そうだな……
ハナは……ハナは何をあげたら一番喜んでくれるだろうか。
ハナの顔を思い浮かべていると……自分の頬が赤くなっていく感覚がした。
思わずパタパタと手で顔を扇ぐ。
「ふふっ、可愛いなぁ。いいね純粋で。そんな顔見たらハナも喜ぶんじゃない?」
「そ、そうですか……?」
二階から私の名前を叫びながらハナが降りてきた。姫は今日も元気いっぱいだ。
「なになにー!? 何かあったのー?」
なんだか嬉しそうな顔をしている。
これは誕生日を期待しているのかな……?
……今も勿論大切だけど、今日は特別な一日にしないとダメだよ。気持ち切り替えて……
「ナツ、どうしたの?」
「えっ? あ、その……えっと……」
チラッとハナママの方を見ると、目配せをして背中を後押ししてくれた。
よし……か、可愛い顔で……
「あのさ……デート、しない?」
「…………うん。お願いします♪」
◇ ◇ ◇ ◇
「〜♪」
二人で街をぶらぶら。
鼻歌を歌ってご機嫌なハナと、俯く私。
ハナは今日という日を期待して、楽しみに待っていたんだろう。それなのに…………
【切り替えろ!! 目標はただ一つ!! 目の前の少女のハートを射抜くのだ♡ 言うなれば愛の狩人よ!!】
この騒がしい感じも久々だな。
まぁ、確かに一理ある。
ハートを射抜く……
「ねぇハナ、ちょっとお願いがあるんだけど」
「ん? なぁに?」
顔を傾け、頭の上にハテナを浮かべるハナ。
滅茶苦茶可愛い。
「わ、私に似合う服選んでよ。その……か、可愛いやつ」
「えっ? いいの!? でもナツ可愛いの苦手じゃ……」
「今日は……その……可愛くなりたくて」
【うっほカワエエ♡】
「もうすでに可愛いよ。ナツ……キスしたい」
往来の激しい大通り。
いつもなら路地裏にでも行くけど、今日は特別な日だから。
「い、いいよ……?」
目を瞑っているけど……待てど一向にハナが来ない。
チラッと目を開けてハナを見ると、顔を赤くして親指同士をくるくる回していた。
その愛しい姿に、気持ちが溢れ出てしまい……我慢できず、こちらからキスをした。
◇ ◇ ◇ ◇
「ナツ、あんな所で大胆だったね……」
「ごめんね、つい……」
気を取り直して可愛い服探し。
自分なりに可愛い服は見つかるのだが、ハナ好みではないらしい。
「うーん、どれがいいかなぁ」
…………あのゴリゴリの可愛い系だけは勘弁してほしいな。
うわぁ……あの服見てる………
いや、どうなの?それ?
【まぁお主可愛いからいいんじゃない? 受け入れたら?】
リ○ちゃん人形でもあんな服着ないと思うよ。
「ナツ!! これどうかな!!?」
例の服を持ってニコニコと走り寄って来た。
…………そんなに嬉しそうな顔されたら断れないよ。
「うん、じゃあ着てみよっかな」
ゴスロリワンピースにパンクファッションが混ざった代物。
死ぬほど恥ずかしい。
【プッ……( ´_ゝ`)】
笑いたきゃ笑え。
「ハナ……ど、どうかな?」
「可愛いー♪ ナツ、すっごく可愛い。この服で決まりだね!!」
というわけでゴスロリパンクナツちゃんの誕生である。
【さぁ、デートの続きだ】
そうだね…………




