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Break Ground Online   作者: 九芽作夜
第四章 SHINNINGGIRL&GHOUSTREMAINS
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第九十二話 勧誘



「……すみませんが、お断りします」

「即答ですか」


 エルからの誘いを考える素振りを見せることなく断ったシロに苦笑いをする。

 まぁ、あまり期待はしていなかったのだが。


「もう少し考えてくれてもいいと思うけどね」

「下手に考えるとチャンスがあると思われてしつこく誘われますから」


 実際、シロはアサシンフロッグの件で多くのギルドから誘われた。なるだけ丁重に断りを入れてきたが中にはしつこく勧誘してくる所もあったので中途半端に考えるよりかは速攻で断るのが一番だと判断したのだ。

 

「一応理由を聞いてもいいかな?」

「理由といいますか、そもそもギルドとかに入る気はありませんから」


 元々、《神様》の正体を掴んだら辞める気でいたのでそういうのはシロの頭に入っていなかった。そもそも、シロとしてはギルドという単語にどこか後ろめたさを感じていたというのも理由の一つだろう。


「そうか残念……」

「ちなみにどうして俺を誘おうと思ったんですか? ミルフィーさんとの仲を見たらそう思わないでしょう」

「あぁ、まぁそうなんだけどね。ウチもそろそろ人数的に厳しくなってきているからここいらで人員補充しておきたいと思ったわけ」

「……無名の中級プレイヤーにですか」


 シロがそう言うとエルはふっ、と鼻を鳴らして淡々とした口調で言った。


「他のプレイヤーたちが苦しんだ中ボスレベルを討伐し、なおかつレベル差が50以上あるプレイヤー三人を伸したという実績があるでしょ」

「っ! 知ってたんですか?」

「はは、後者はたまたまだけどね。最初見た時はどこかで見たことあるな~って思ってたけど、ユキちゃんを見たら数ヶ月前に街中で乱闘騒ぎを見たことを思い出してね。それで分かったのよ」


 エルの言葉にシロは舌打ちしたいのを我慢した。アサシンフロッグは仕方ないとしてナンパされていたユキを助けたことまで知られているとは思っていなかった。確かに、あの時は少しばかり目立ち過ぎたなとは思っていたが問題ないと考えていた。しかし、現に今こうして目の前に立っている少女にシロは情報を与えている。ちょっと己の言動を改める必要があるようだ。


「……まっ、どちらもラッキーで勝てたようなものですよ。自分の実力なんてたかが知れていますよ」

「へぇ~、君の言うたかがはウチのエースの攻撃を不意打ちで避けられるほどなんだね」

「……」


(ほんと、よく見ているな)


 シロはエルの観察眼に感嘆した。情報量の多さもさることながらしっかりと相手のことも観察してどう言われるのが嫌なのか理解している。ディベートなどは絶対に敵にしたくない相手である。

 これがトップギルドと呼ばれる集団のマスター。自分とは全く違うタイプである。いや、正確にはシルバーとは、正反対のタイプである。

 取り敢えず、シロはこれ以上エルに自分のペースを持っていかれないようにしたいので話題を変えることにした。


「その話は他の二人にもしたんですか?」

「うん、まだ返事は貰っていないけど。でも、まぁ、シロ君が来る気がないなら二人の返事も決まったようなものかもね」

「……」

「? どうしたの?」


 突然、シロが黙り込んだのを見てエルは目を丸くした。シロはどこか真剣みを帯びていて、何やら考え込んでいるように見える。

 数秒、シロは熟考すると視線を上げた。その目もまた真剣であり、かつ悲し気に見えた。


「エルさん」

「何?」

「……あの二人が入りたいと言ってきたらどうします?」

「そりゃ、断る理由もないからね。歓迎するよ」


 シロはその言葉を聞いて満足した。もし仮に、エルが二人を誘った理由がシロのついでであるのなら先ほどの答えは得られない。それを信用するかはさておいて、受け皿はあると知れただけでもシロとしては有難い。


「だったら、二人が入りたいと考えているなら入れてやってくれませんか?」

「え? でも、二人はシロ君の仲間でしょ?」


 仲間、その言葉にシロは口を閉ざした。そして、彼女たちがシロのそれに言えるのか、はたまた彼女たちがシロをそう呼んでくれるのか。その答えをシロは聞きたくなかった。


「……ただの固定パーティメンバーですよ。適当に組んで、適当に遊んで、適当に……一緒にいるだけです。それ以上も以下もありません」


 この先、シロたちが上手く《神様》の正体を暴けたとしてその後の事を考えないといけない。シロはBGOを去ると明言しているが、二人は違う。特にユキは間違いなくゲームに残るだろう。そうなると今までシロと行動してきた分、周りとは疎遠になっている。シロの代理ではないが、代わる何かが必要だと思った。


「という訳で、俺とは別にあいつらが入ることを視野に入れておいてもらっていいですか?」

「……まぁ、二人が言ってきたら考えるけど……君はそれでいいの?」

「別に、あいつらが決めたことなら俺が言う義務も筋合いもないわけですし」

「…………そう」


 シロの言葉にエルはそう呟くとそれ以上何かを言ってくることはなかった。シロとしてもそれが有難かった。

 そして、暗闇の中で煌めく星々に見下ろされながら二人はキャンプ地に戻るのであった。



☆☆☆☆☆☆



「ほんとにいいのシロ君?」

「あぁ、俺は外で寝るから」

「今からモンスター探しに行こうか?」

「いいえ、気にしないでください。自分どこでも寝られるので」


 シロがそう言うとエルは申し訳なさそうに顔を俯かせた。周りにはシロたちの会話を傍から観察している他の面々がいた。その中にはユキとフィーリアの姿もある。

 事の始まりは、シロとエルが森から帰ってきて、さて寝るかとなった時だった。寝る準備に入りいつの間にかパジャマになっている(ララが作っていたらしくユキとフィーリアも着ている)メンバーに特に感想を口にしないシロに文句を言ったりなど色々とあったがエルたちがテントで寝るとなった時に問題が発生した。


『シロ君はどこで寝るの?』


 何気ないエルの一言で全員が顔を見合わせ、シロの方を一斉に見た。というのも、エルたちが所有するテントは全部で四つ。一つで二人が入るくらいのスペースしかないため一人余ることになる。というか、男子と同じテントに入るというのは色々と問題があるということで仕方なくシロは外で寝ることとなった。


「一応詰めれば三人入れることは入れるんだけど……」

「いや、是が非でも遠慮させてもらう」

「私たち小さい……」

「スペース余る……」

「気持ちはありがたいが、やっぱり俺は外で寝るわ」

『(あの二人が禁句タブーに触れるとは)』


 フィーリアや双子がシロに提案してくるが、勿論ダメである。ちなみに、この双子にチビ、小さい等の発言は完全NGである。それをうっかり言ってしまった故にボコボコになった者は数えきれないほどだ。

 結局、最後まで拒否の姿勢を崩さなかったシロを見てユキたちは諦め、就寝へと入った。





 


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