表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
貧乏学生の相手は大手企業!  作者: ネコクロ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

61/70

61話「信頼」

「――そうですか、じゃあ、楓先輩は大丈夫そうなんですね?」 

「うん、大丈夫だよ。……まぁ、やっぱり元気はないけど、由紀がずっと傍についてるし、龍君が楓のために動いてる事を伝えてあるから、信じて待ってるって感じかな」

 俺は愛さんの言葉に胸を撫で下ろす。

 アリスさんが離れた後、俺は愛さんを捕まえて、楓先輩の様子を聞いていた。

 軟禁状態になっていても、信じて俺の事を待っていてくれてることが、凄く嬉しかった。


「じゃあ私も仕事に戻るね? 上手くいくことを祈ってるから」

「はい、本当にありがとうございました」

 俺はそう言って、ヒラヒラと俺達に手を振っている愛さんに頭を下げた。


「――で、なんでお前は頬を膨らませているんだ?」

 俺はそう言って、先程から俺の横で頬を膨らませてムスッとしているギャルを見る。

「べっつに~」

 そういう佳織は、何故か唇を尖らせていた。

 一体、なにが気に入らなかったのだろうか……?


「クロヤンって……結局ロリコンなの?」

「は……?」

 こいつは一体何を言ってるんだ?

『年上好き?』って聞くならわかる。

 なんせ、さっきまで佳織の事を放っておいて、愛さんと話をしていたし、その内容も楓先輩についてだったからだ。

 しかし、なぜ『ロリコン』と聞いてくる?

「意味がわからないんだが、なんでロリコンになるんだ?」

「だって、さっきまでずっとアリスさんを見てたじゃん……。話し方も優しげだしさ……」

「えー……」

 まさかのそれかよ……。

 確かにアリスさんの事をジッと見ていたけど、それは別の意味だし、優しく対応したのは相手が大事な取引相手だったからなんだが……。

 というか、それで何故佳織が拗ねるのかがわからない……。


「てか、アリスさんってロリ枠なのか? 身長は佳織と一緒くらいだし、顔も大人っぽいぞ?」

「そうだけど……なんか雰囲気とか話し方が幼稚っぽいから……」

「そ、そうか……」

 うん、俺はなんでそんなどうでもいいことを気にしたんだ……?

 今言うべきことは、そんなことじゃないだろう……。


「あのな……俺が好きなのは楓先輩だ。それはこれからも変わらない。だから、変な探りはもうするな」

 俺がそう言うと、佳織の頬がより膨らんだ。

 あれ……?

 俺なんか言うこと間違えたか?


 佳織の顔を見ると、今にも『ムッスー』とか、言いそうな顔をしている。

 とりあえず何言ってもふてそうだったから、俺は黙って佳織のこの顔を眺めていようと思うのだった――。





「――それはそうと、水沢さんや……まぁ、あれだけのことをしでかしたクロヤンの妹はともかく、桜井さんの事は買い被りすぎじゃないの?」

 俺が相手をしなかったせいか、少し寂しげではあったが、頬が普通の状態に戻った佳織がそんなことを言ってきた。

「それは飛鳥さんにした話の事か?」

 俺の質問にコクン――っと佳織が頷いた。


 ふむ……。

「そういえば佳織って、加奈の事を自分の劣化版だと思ってたよな?」

「そ、そんなこと言ってないよ?」

 俺の突然の質問に、佳織は笑顔を俺に向けてくる。

 その顔は普通に可愛いんだが、そんな笑顔に誤魔化されたりはしない。

「言ってなくても思ってるだろ? それに似たような事を前に口走ってたしな」

「うっ――」

 心当たりがあったのか、佳織はバツが悪そうに顔を背けた。

 別に俺はその事を怒ってるわけじゃないんだが、佳織はそう受け止めてしまったみたいだ。


「怒ってるわけじゃないから、気にするな。ただ、加奈は佳織の思ってるような奴じゃないぞ?」

「え……?」

 佳織は不思議そうにキョトンっとして、俺の顔を見上げてくる。

 俺はそんな佳織に、笑顔を向ける。


「佳織は中学が違ったから知らないんだろうが、中学生の時――クラスで揉め事が起きたら、大抵加奈が仲裁してたんだよ。本人はただ一生懸命止めていただけかもしれないが、不思議と加奈が仲裁した喧嘩の後は、遺恨が残らないんだ。天然で優しい加奈に毒気を抜かれるのか……そのあたりはよくわからないんだがな」

「ふーん……あの桜井さんがねー……。確かに男女問わず、人気者って感じだけど――私のイメージでは、常にクロヤンにくっついてる女の子ってイメージしかなかったよ」

 俺は佳織の言葉に笑ってしまう。

 確かに高校に入った後の加奈は、常に俺の横にいたな……。

 今はそんな加奈が横に居るのではなく、毛嫌いしていたはずの佳織が横にいるなんて、不思議なものだ……。


「じゃあクロヤンは、今回の噂を止めるのにも桜井さんに期待してるわけ?」

「そうだな……。正直言えば期待してるが、あまり無理をしてほしくない気持ちもある。おそらくだが、今回の噂に新たな噂が加わってしまった以上、後数日で止めるには一つの方法しかない。だけど、それはあいつらにとって負担になるだろうから、強要したくないんだ」


「相変わらず、桜井さん達には優しいことで……」

 そう言って、佳織は俺の事をジーっとジト目で見てくる。

 おかしいな……ここ最近は、佳織にも優しくしていた筈なんだが……?

 まぁ、そんなこと言ってもどうせ文句が返ってくるだけだろうし、スルーしておこう。


「じゃあクロヤンは、彼女達が失敗してもいいの?」

 佳織はちょっと顔をしかめながら、俺の方を見上げきた。

 失敗か……。

「そうだな……俺達が今してる事とは違って、向こうが失敗しても、こっちで取り返せる。だから、あいつらがその方法をとらなくても、俺は責めたりしない。だが――」

 俺は言葉を続けながら、佳織の目を見る。

 佳織は不思議そうに、俺の目を見つめ返してきた。

「何だかんだ言っても、俺は佳織やあいつらの事を信じてる。佳織もそうだが、あいつらなら、きっと上手くやってくれるってな。なんせ、俺の大切な仲間なんだから――」

 俺が笑顔でそう言うと、佳織は顔を背けてしまった。

 おかしな事を言ってしまったかと思い、佳織の顔を見ると、その横顔は赤く染まっていた。

 俺は佳織の態度に、自分が恥ずかしいことを言ったことを自覚する。

 だから、佳織が顔をあげる前に、俺は先に歩きだした。

 すると――佳織は何も言わずに、最近お決まりとなっている、俺の服の袖をギュッと掴んで、俺の後に続くように歩くのだった――。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『新作です……!』
↓のタイトル名をクリックしてください

数々の告白を振ってきた学校のマドンナに外堀を埋められました

『数々の告白を振ってきた学校のマドンナに外堀を埋められました』5月23日1巻発売!!
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★ 
数々1巻表紙
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★  


『迷子になっていた幼女を助けたら、お隣に住む美少女留学生が家に遊びに来るようになった件について』8巻発売決定です!
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★ 
お隣遊び6巻表紙絵
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★  


『迷子になっていた幼女を助けたら、お隣に住む美少女留学生が家に遊びに来るようになった件について』コミック2巻発売中!!
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★ 
お隣遊びコミック2巻表紙
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★  

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ