第43話 ケモ耳化
ケモ耳獣人少女かケモ率高い獣人少女かは人によって好みが別れますよね。
海外ではケモ耳獣人少女ではなくほとんどケモみたいな獣人が人気なようです。
日本の影響かはわかりませんが、最近はVRCなどではケモ耳獣人少女が人気なようです。
特にネコミミが多い気がします。
今回は、この世界にケモ耳獣人少女を増やします。
一度森のロッジへ帰還したボクたちは、そこで留守番のフェアリーノームに給仕されているお母さんの姿を見つけてしまった。
なんというか、自由だ。
「お母さん来てたんですか?」
「あらお帰りなさい。旅はどう? 人見知りの遥ちゃんが野営できるか心配だったんだけど無事負けて帰ってきたようね」
「まったく無事じゃないです。負けてもいませんし戦いに臨んでもいません」
開幕早々ボクはお母さんに煽られていた。
なにゆえ!!
「でも野営せずに転移水晶だけ設置して帰ってきたんでしょう?」
「ま、まぁ……」
戦ってはいないのでノーカンだと思います。
でもお母さん、よく見てるなぁ……。
「若葉様、遥様は負けてはいませんよ」
「あらそうなの?」
なんとここで千早さんがボクの援護に回ってくれました。
なんという心強い援護射撃!!
「人間が多いという話をミリアムさんからお聞きになりまして、即戻る決断をなさいました。素晴らしい判断力だと思います」
「あら? やっぱり負けて帰ってきたのね」
「ぐふっ」
期待とは裏腹に物の見事にフレンドリーファイアを食らいました。
千早さん鬼畜やでぇ……。
「あ、そうだ。今日一時的に護衛を雇ったんですけど、お母さんに縁があった人らしいんですよ。知ってます?」
そう説明して後ろにいたマルムさんとセリアさんを紹介した。
お母さんは顎に手を当て「う~ん」と唸っている。
覚えてないのかな?
「あ、あの、遥さん?」
「こ、この方は……」
何やら二人が焦った声で話しかけてくる。
「あ、紹介します。この人、ボクのお母さんです」
「はい、お母さんです」
「「ええええええええ」」
よほどびっくりしたのか、二人とも尻尾の毛をぴんと逆立てていた。
「め、女神様! お久しぶりでございます!」
「ソレクの里でお会いしたきりでございます!!」
何やら感激している様子のマルムさんとセリアさん。
そういえば、そもそもなんで女神ってわかったんだろう?
「えっ? あ、あぁ~。うん。そうね……」
お母さん、完全に目が泳いでますね。
これ、忘れてるやつ。
「ちょっとお母さん? なんでいろいろ知られてるんですか?」
「あら、遥ちゃんったら。大胆」
頬に手を当てニコニコしているお母さんの空いてる手を引っ張り、隅で話を聞くことにした。
「どうして女神だってばれてるんですか?」
一番大事なのはここ。
「ちょっと下調べをしているときにうっかり神域に降臨しちゃったのよ。それで異変を感じた獣人の子が来たってわけ」
お茶目な感じで舌を出してごまかすお母さんに若干イラっとしたのは内緒だ。
「はぁ。わかりました。それはいいです。それは。次です。人間に近い獣人になる方法なんてあるんですか? お爺様にも依頼されましたけど」
この世界の獣人といえば二足歩行の獣みたいな獣人のことを指す。
ケモ率でいうと90%くらいなんじゃないかなと思う。
「簡単よ? まずはあの二人を眷属になさい。そしたら遥ちゃんの血を一滴なめさせるの。なめさせるとすぐに眠りに落ちるから、翌朝には人間の姿をしたケモ耳の子に変わるわ」
「え、それだけでいいんですか? もっとこう、肉体を作るとか魂を入れ替える的な~」
「そんなことはしなくてもいいわ。でもそうね、人狼から狼系に変わるから狼化はできなくなるわね。あとはあの子たちが子供を作れば遺伝して増えるわよ」
お母さんは変化の方法を淡々と語る。
でもそれって、ボクたちがいなければ成り立たない方法なのでは……。
「で、ボクにメリットってあるんですか?」
やるだけなら簡単なのかもしれないけど、やったらやったで変な人に狙われないか心配になる。
「二人が信者としてカウントされるわよ。そうなると信仰を得られるから、遥ちゃんの強化につながるわね」
「強化、ですと……!?」
この貧弱ぷにぷにボデーが強くなるというのですか? 母よ。
「そう。王都に行けばもっと信者は増えるでしょうけど、今は二人だけでも増やすのがいいかもしれないわね。やってみる?」
「やるます!!」
食い気味になりつつ意気込みを語るボク。
この貧弱ぷにぷにボデーを強化するために、信者集めも頑張りたく思います!!
「あ、あの、遥さん。いえ、遥様?」
「まさか女神様の娘さんだったとは……。いや、なんか似てるな~なんて思ってましたけど」
おもってたんかい!
そういえば、千早さんも似てるって言ってたっけ。
ちょっと試してみるか。
ボクは千早さんとミリアムさんに顔を向け、手で合図をする。
気が付いてくれたので、サムズアップしてからボクとお母さんを示して、似ているのかを最大限伝わるようにジェスチャーで問いかけてみた。
帰ってきた返事はいい笑顔でコクンと頷いてからのサムズアップでした。
そうですか、そっくりですか。
「あら遥ちゃん? お母さんと似てるか気になったの? 大丈夫、双子といっても通じるくらい似てるわよ」
ジェスチャーをお母さんに解読されていたようでした。
そのままボクは、お母さんに抱きしめられて頬ずりされてしまった。
「こほん。えっと、そうですね。色々聞きたいこともあるでしょうけど、まずはお二人に聞きます。ボクの眷属になりたいですか? イーサ叔父さんとフェンリル様? より優先的に信仰してもらうことになりますけど……」
これだけ聞かされれば「なにいってんだこいつ?」って思うことだろう。
しかし、ボクの創造とは裏腹に、二人はノータイムで「はい」と返事を返してきた。
あ、うん。すっごく早いですね。
「夢が叶うなら改宗もやむなしです!」
「苦難は多いかもしれませんけど、負けずに頑張りたいと思います!!」
「うっ、こ、こわい……」
二人の気迫にボクは若干引き気味だ。
うぅ。さっさとやってしまおう。
「わ、わかりました。それでは眷属になった後、ボクの指先から血を一滴なめてください。その後眠りに落ちるので、翌朝には変化しているはずです」
「「わかりました! よろしくお願いします!!」」
「え、あ、はい……」
この気迫は何なんだろう……。
こう言っては何だけど、狼顔の人が大きな口を開けて興奮気味に迫ってくるのだ。
怖くないわけがない。
きっと赤ずきんもこんな気分だったのだろう。
「さて。では血を一滴垂らしますね」
眷属化とは言うものの、ちょっとした契約のようなものなので超常の力が得られるわけではない。
簡単な加護の付与のようなものなのだ。
「あふっ……。眠気が……」
「た、耐えきれない……」
口の中に血を垂らされたマルムさんとセリアさんは、その場に崩れ落ちるようにして眠りに落ちてしまった。
あっという間の出来事だ。
「じゃあみんな。あとはお願いしますね」
ミレたちに二人の運搬を頼むと、ボクは夕食に臨むのだった。
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