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episode3-2 可愛い奴

「………ぃ。……ぉぃ…シゲ!おい!起きろシゲ!!」


誰かに呼ばれる声が聞こえ、うっすらと目を開けると、目の前に必死に俺の名を呼ぶガストさんがいた。


「う"ぅっ……。」慌てて起き上がろうとするが、身体が重くて起き上がれない。


(なんだ?何でこんなに身体が…。怠いと言うより物理的に重いと言うか…。)


「おぉ!起きたか!シゲ!!大丈夫か!?」と、心底心配したような表情で言う。


「だ、大丈夫…ですけど…。身体が動かなくて…。」


「あぁ!そういうことか!ガッハッハッ!おい!そろそろ退いてやれ!」と、ガストさんが言った瞬間、ブルルルッと、鼻を鳴らしたユニコーンの顔が目の前に現れた。


「う"わ"ぁ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!まだ居たのかコイツ!!…って…あれ…?…俺、死んでない…?」勢い良く上体を起こし、自分の身体を確認する。少しだけ怠さはあるものの、特に怪我は無さそうだ。


何故目の前にユニコーンがいるのか、状況を把握出来ずにいる俺にユニコーンが、まるで猫が飼い主に甘えるように、俺の顔に頬を擦り付けると、ペロペロと、俺の顔を舐め回した。


「ガッハッハッ!!すっかり懐かれたなぁ!シゲ!こんなに人に懐く一角獣を見るのは初めてだぞ!」


「一角獣は一角獣でも、これってユニコーンですよね?」


チラリとユニコーンへと顔を向け、先程から俺の頬を舐めてくるユニコーンの顔を優しく撫でてやると、嬉しそうに俺の顔をフンフンと、匂いを嗅いでくる。


「ユニコーン…?そういや、こんなに綺麗な一角獣を見るのは初めてだな。おめぇーさん、コイツの事知ってるのか?」


「実際に見るのは初めてですけど、俺の居た世界では、伝説の生き物として有名ですね。言い伝えによると、ユニコーンの角は妙薬になるらしく、とても重宝されたみたいですよ。後、とても獰猛な生き物で、処女にしか懐かないとも云われていますね。まぁ、それも間違って言い伝えられていたのかもしれないですね。男の俺にも懐いているし…。個体差があるのかも知れないですね。」ブルルルッと、鼻を鳴らしたユニコーンは、胡座をかいている俺の足に頭を乗せ、尻尾をパタパタと揺らしている。


ジーッと俺とユニコーンを見ていたガストさんが、「………おめぇーさん、もしかして、童て「ゴホッ!!ヴェホッ!!あ"ー何か喉が…。すみません。」


「いや、だから、おめぇーさん童t「うっせぇ!オッサン!!黙ってろ!」


デリカシーの無いオッサンに向かって思わず暴言を吐いてしまったが、今回ばかりはオッサンが絶対的に悪い。日本じゃセクハラ案件だ。


「いやー、すまんすまん。」と、決まりが悪そうに言うガストさんを一瞥すると、手に、先程地面に埋める予定だった捕獲用の罠を持っていることに気付いた。


「あれ…。ガストさん、それ、どうしたんですか…?」と、罠を指差し問いかけると「いや、あのな…なんだか知らんが…不良品だったみたいだ!ガッハッハッ!!!」と、大笑いしているが、笑い事ではない。


今回は、たまたま運良くユニコーンが俺に懐いたから助かったものの、もしかしたらあのまま食べられていたかも知れないのだ。


まぁ、ユニコーンの攻撃を直で食らっても、全くの無傷であるガストさんは、罠が使い物にならなくとも、素手で捕獲したに違いない。


逆にユニコーンが無事で良かった…。


俺の膝の上に頭を乗せ、気持ち良さそうに寝転ぶユニコーンの首を優しく撫でてやると、尻尾をパタパタと揺らし、嬉しそうにしている。


(…………さっきまでは、怖かったけど…。段々と可愛く見えてきた……。)


昔から動物が好きで、ずっとペットを飼いたいと思っていた。しかし、なかなか現実的にペットを飼うのは厳しかった為、可愛い動物の動画を見て癒されていた。


ここに来て、本物の動物…、まぁ、動物と言うか…モンスターなのだが、その可愛さに癒され、思わず顔が綻んでしまう。


俺の緩みきった顔を見たガストさんは、「そんなにソイツが気に入ったんなら、名前を付けてやったらどうだ?」と、言った。


(名前……。名前かぁ~。俺がコイツの名付け親になるのか……。………最高でしかないな。)



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