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乙女な悪役令嬢には溺愛ルートしかない ~やらかすまえの、性格以外は完璧なスペックの悪役令嬢に転生しました~  作者: 緋色の雨
一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

47/71

閑話『オラキュラ様の観測記』

 書籍一巻が6月25日に決定しました!

 それにともない、二章は一巻の発売直前から毎日更新で連載を予定しています、

 二章は『オラキュラ』が登場する書籍版ベースになっています。

 書籍版を読んでいなくとも二章をお楽しみいただけますが、より分かりやすくするための補完と一章のおさらいを兼ねた閑話を投稿します。

 また新作も投稿しています。詳細は後書きにあるのでそちらも併せてご覧ください。

 

 ――初めまして、みなさん。

 私はオラキュラ、この世界の観測者よ。

 神ではなく観測者。よって全知ではあっても全能ではない。貴方達に分かりやすくたとえるなら、乙女ゲームのプレイヤーのような存在ね。


 といっても、ただ見ているだけじゃない。ソフィアをこの世界に転生させたのは私よ。


 他の人にとっての当たり前が彼女にとってはそうじゃない。走ることもままならず、それでも一生懸命に生きようとした。そんな彼女に(ほだ)されてこの世界に転生させた。

 理由はそれだけじゃないけれど、いまは語る必要のないことだから割愛するわ。


 とにかく、私はソフィアに幸せになって欲しいと願っている。

 だから、私は彼女にこの世界のルールを教えた。


 それは、この世界にシナリオの強制力――イベントが必ず起きるような運命はない。だけど、人間関係や、物語の背景はそのままである、ということ。


 手から零れ落ちて割れる運命にあるコップがあるとしよう。

 手から零れるまえであれば、コップが割れるのを阻止するのは簡単だ。だが、手から離れてしまえば、割れるまえにコップを拾い上げるのは非常に困難となる。


 そういった観点で、いくつか気を付けなければならないことがある。その一つが、この世界を救えるのが、ヒロインである聖女だけ、ということである。


 セシリアが聖女に選ばれなければ、世界は零れ落ちたコップのように砕け散る。

 だから私は、セシリアが聖女に選ばれなければ世界が滅ぶと教えた。それは、ソフィアが聖女に取って代わることがないようにという配慮でもあったのだけれど――

 結果的に言えばそれは余計なお世話だった。

 というか、彼女は「いい子」すぎた。


 原作の設定がそのまま――つまり、不幸なエピソードがそのまま再現されると気付いた彼女は、あらゆるトラブルに首を突っ込むようになった。

 攻略対象である王子を襲撃者から護り、ヒロインの友人枠であるアイリスの苦難を退け、騎士団の失態を帳消しにするために身体を張った。

 彼女が人々から聖女と呼ばれるようになるのは必然だったと言えるだろう。


 だが、それで割を食うのは本当の聖女、セシリアだ。

 聖女かもしれないという打算で養子に迎えられた彼女は、ソフィアが聖女であると目されるようになると同時に冷遇され、ついには養子縁組を解除されてしまう。


 それは奇しくも、原作乙女ゲームがバッドエンドに向かうときの流れと同じ。このままならセシリアは行方不明になり、世界は滅びへと向かうところだった。

 だが、ソフィアがセシリアのもとへと駆けつけた。

 その姿はセシリアにとって白馬の王子様のように映っただろう。


「……ソフィア様が、いいです」


 どの家の子になりたいかと、問われたセシリアの言葉よ。

 そうして、ソフィアはセシリアを自分の義妹として受け入れた。


 家族から愛されて、攻略対象からは想いを寄せられている。さらにはヒロインや同性の友人からも信仰レベルで慕われている。

 なのに、ソフィアはそれらが特別なことだと気付いていない。なぜなら、前世で苦難の道を歩んだ彼女にとって、誰かと仲良くすること自体が既に特別なことだったから。


「両親や兄が優しくしてくれる。これが普通の家族なんだ」

 →そんな訳ないでしょ! 完璧に溺愛されてるわよ!


「初めて友人が出来た! いつか親友になれるかな?」

 →とっくに信仰されるレベルで慕われてるわよ!


「シリル様が髪飾りをくれた、さすが攻略対象、みんなに優しいんだね」

 →どうみても貴女に気があるわよ!


 とまぁ、こんな感じ。

 ……なんて、そういう子だと知っていたから、私も彼女を転生させたのだけどね。


 無邪気な彼女が、自分の特別に気付くのはいつか――

 それはそう遠い話じゃないわ。

 という訳で、今日はこの辺で。

 また次のエピソードで会いましょう。

 

 

 という訳、二章は一巻の発売日直前から毎日投稿を予定しています。

 そして一巻は6月25日、オーバーラップノベルスFから発売予定。イラストは珠梨やすゆき先生。表紙がとても素敵です!


『乙女な悪役令嬢には溺愛ルートしかない 1 ~やらかすまえの、性格以外は完璧なスペックの悪役令嬢に転生しました~』

 ISBN-13 : 978-4824012234

*お店で予約する場合はこちらをお見せください!

 購入、予約などしていただけるととても嬉しいです。

↓に書影やアマゾンリンクなどもあるのでよかったらご覧ください。


 別件ですが、昨日より『三度目の人質皇女はうつむかない。敵国王子と紡ぐ、愛と反逆のレコンキスタ』という新作も投稿しています。その新作が終わる前後に今作2章の連載再開、2巻が発売となっているので、お待ちいただくあいだのお供に、よろしければご覧ください。

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【新作】お隣さんはもういらない! ~陸の孤島の令嬢が、冷暖房完備の詫びダンジョンで箱庭無双を始めるようですよ?~
ここをクリックで作品ページに飛びます

乙女な悪役令嬢には溺愛ルートしかない2巻、8月25日発売予定

【1巻の表紙】
aatwd9wdbulkjlh9dfu261jejxu5_zab_15o_dw_
◆画像をクリックでAmazonの作品ページに飛びます◆

本屋さんで予約などする場合は下記の数字をお見せください。
ISBN-13 : 978-4824012234
タイトル:乙女な悪役令嬢には溺愛ルートしかない 1 ~やらかすまえの、性格以外は完璧なスペックの悪役令嬢に転生しました~
好評発売中!
レーベル:オーバーラップf
【新作】回帰した悪役皇女はうつむかない 〜元敵国から始めるレコンキスタ〜
ここをクリックで作品ページに飛びます


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緋色の雨のX
― 新着の感想 ―
オラキュラ一人語りで、瘴気溜まりに魔力が吸われる状況で、なぜ魔石に魔力を込められたのかの謎は明らかになりませんでしたね。速度の差ではない感じなのでエピローグからずっと気になってるのてすが。
2025/06/02 22:46 退会済み
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