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高校生150名が異世界廃墟に集団転移したようです。みんなは戸惑っているようですが、おれたち三人は好きにやらせて貰います。  作者: (=`ω´=)
ダンジョン篇

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見通し

「本当にこっちに工房とか、作るつもりなんですか?」

 女子が風呂場に移動してから、恭介は酔狂連の男子に確認する。

「さっきもいったように、こっちにはなんにもないし。

 それに、施設の建築に関しても、あんまり労働力を回せる気がしないんですけど」

 これは、恭介の本音だった。

 市街地内もバタバタしているし、もうすぐダンジョンの攻略がはじまる。

 さらにいえば、恭介たち自身の家さえ、まだ完成していない。

 そこに加えて、降って湧いた酔狂連への協力など、とてもではないがまわせる余力がなかった。

「ああ、それは、こっちでなんとかする」

 八尾は、涼しい顔でそういってのけた。

「なんなら、こっちからそっちに、いくらか労力を回すことも可能だ。

 まあ、余計な心配すんな。

 ってか、生産職を舐めるなよ。

 これでも、たった六人で百五十人分の武器や装備を供給する自信があるパーティなんだから」

「そうですか」

 恭介は、納得していたわけではないが、とりあえず頷く。

 いわれてみれば、この酔狂連の能力、特に、生産能力に関して、実際に使っている場面を目の当たりにしたわけではない。

 この段階では、ジョブの名前から、なんとなく役割を想像している程度だった。

「それより、お前らトライデントは、ダンジョン攻略、どうするんだ?」

 逆に、八尾からそう質問される。

「最初から、飛ばしていくつもりか」

「さあ」

 恭介は、首を傾げた。

「その件については、まだ、身内で意見を固めていませんので」

「どうしようかねえ」

 彼方も、天井を見あげてそんな風に呟く。

「ダンジョンの方は他のパーティに任せて、当面はこちらの施設周りの整備に注力する、っていうのも、方法だとは思うけど。

 あんまり他のパーティとのレベル差が開いても、先のこと考えると、こちらの負担が大きくなると思うし」

「まあ、それも一つの考え方ではあるな」

 八尾はそういって頷いた。

「中堅どころが育ってくれないと、こちらの商売も危うくなるし」

「ぶちゃけ、うちとしては、今回、スタートアップで焦るモチベーションが、ないんですよね」

 恭介はいった。

「パーティ全体の本格的な結論は、ハルねーもまじえて固める必要はありますが。

 でも、おれ個人としては、最初の何日かは静観して、他のパーティが投げ出すような意地の悪いダンジョンがわかってから、そこに専念する、みたいな方針もありだと思ってます」

「あえて、他のパーティの競合を避ける、か」

 八尾はそういって、また頷く。

「お前ら、功名心というか、ナンバーワン願望みたいなのは、あまりないんだな」

「そういうの、疲れるだけですよ」

 恭介は、そう答える。

「それでなくてもなにかと、生徒会の人たちに睨まれている身なんですから」

「いや、それは、順序が違うっしょ」

 常陸庶務が、即座に反応する。

「あなた方が、ほぼ毎日非常識なことやらかすからで。

 こっちとしては、次になにをやらかすのかと、毎日ヒヤヒヤしながら見守っているような次第でして」

「立場が違えば、というやつだな」

 それまで黙っていた三和が、はじめて口を開く。

「それぞれに、いい分はあるだろう。

 これに関しては、どちらが正しいというわけでもないな。

 強いていえば、こんな世界にいきなり飛ばされたわれわれの境遇が、等しく理不尽なのだ」

「まあ」

「それは、そう」

「だな」

 各人が力なくそう呟いて、少し項垂れる。

 少なくとも、この世界に来て浮かれていたりする者は、ここにはいないようだ。

「おれら、これからどうなるんすかねえ」

 ぽつり、と、常陸庶務が呟いた。

「さあねえ」

 彼方が、答える。

「先行きは不透明。

 そうとしかいえないけど、その上で、こちらとしては、せいぜい楽しく暮らしていける環境を、整えていくしかないよ」


「では、われわれは帰るわ」

 風呂場から帰ってきたジャージ姿の小名木川会長は、上気した顔をして来た時よりはよほど元気そうに見えた。

「食事と風呂、ありがとうな。

 人生にこういうのは必要だと、改めて実感できたわ。

 帰ってから、今後の施策に活かそうと思う」

「それはなにより」

 恭介としては、そう返すしかない。

「それより、女子だけで大丈夫ですか?

 帰り道、あかりはないし、少し歩くと思いますけど」

「いや、大丈夫だろ。

 わたしらもそこそこレベルあるし、ちゃんとしたライト、買って帰るし。

 あ、常陸はそのまま、こっちで風呂借りてからゆっくり帰れよ」

「うぃっす」

 常陸庶務が、片手をあげて返答する。

 視界の隅で、そのままうぃを抱きかかえて帰ろうとした浅黄青葉から、緑川がうぃを奪還している様子が見えた。

「遥ちゃん、凄かった」

「腹筋割れてる系女子、眼福でした」

 酔狂連の浅黄紅葉と横島会計が、そんなことをいい合っている。

「スリムなのもあそこまでいくと、機能美というものが」

「こっちはぶよぶよだからね。

 うらやましいというか」

 男子に聞こえるところで、そんな話題出すなよ。

 と、恭介は思う。


 この前は彼方と二人だけだったから、これだけの人数が脱衣所に居ると、少し不思議な気分になる。

 もともと、この拠点の男女比は、女子の方に大きく傾いているのだ。

 それも、今後は変わってきそうだな、とか、恭介は思う。

 そんなことを考えつつ、服を脱いでいくと、

「おい」

 と、三和から、声をかけられた。

「それ、大丈夫なのか?」

「それ?」

 恭介は、一瞬なんのこをいわれているのかわからなくて、数秒戸惑った。

「ああ。

 これ、ですか。

 これ、古傷なんで、もう痛みすらないです」

 と、答えておく。

 実際、この傷痕が残った経緯も、昔のこと過ぎてもうおぼえていない。

 面倒だよなあ。

 と、恭介は思う。

 痣は時間が経てば消えるが、縫合した痕はわりと残る。

 服を脱ぐと、意外に目立つ。

「そうか」

 三和は、少し驚いた顔をしていたが、そういってくれた。

「大丈夫ならば、まあいい」

 あっさり流してくれたのは、正直、ありがたかった。

 昔のことを説明するのは、手間もあるが、それ以上に心理的な抵抗が、まだある。

 いろいろと面倒なことだな、と、恭介は思う。

 こんな世界に来てからも、自分の過去は追いかけてくる。

 決して、消えてはくれない。

「彼方、明日の予定は?」

「うーん。

 中央広場の舗装工事、いい加減に手を着けないと」

 恭介が訊ねると、彼方が即答する。

「出来れば、ダンジョン攻略がはじまる前に、終わらせておきたいところだね」

「彼方は、落とし穴を埋める作業もあるんだろ?」

「まあ、そっちは、適当にやるよ。

 なんだかんだいって倉庫に、かなりの土砂とかが残っているし」

「舗装工事か」

 恭介はいった。

「何日かは、そっちにかかりきりになりそうだな」

「明日朝一から、だね。

 人も集めて貰えるよう、手配して貰っているし。

 ランマーとかロードローラーも買ったし」

「ランマー?」

「道路工事とか見たことがあると思うけど。

 両手でこう持って、だだだだだーって、地面に圧力かける道具」

「ああ。

 あれ、ランマーって名前なんだ」

「機械があると、効率的だからね。

 こっちは素人の集まりなんだから、なおさら機械に頼らなければいけない」

 こうして彼方といつも通りのやり取りを出来るているのが、なんだかんだいって気が楽だった。

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