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高校生150名が異世界廃墟に集団転移したようです。みんなは戸惑っているようですが、おれたち三人は好きにやらせて貰います。  作者: (=`ω´=)
ダンジョン篇

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足元と未来

 そうこうしているうちに、彼方が合流してくる。

 酔狂連の他の面子と顔会わせをする機会は別に作るということになり、その日はそのまま拠点に帰ることになった。

 多少時間はかかるもののたいした距離でもなく、時間的に逼迫しているわけでもないので、徒歩での帰還になる。

「明日から何日か、中央広場付近の手直しを手伝うことになったよ」

 道すがら、彼方は恭介たち二人にそう説明した。

「ある程度仕事の内容を伝えてから、あとは人に任せようと思う。

 最初の二、三日くらいは、現地でやり方とか教えないといけないけど」

 彼方がいうには、生徒会の支援などを担当するフリーランサーズというパーティが出来ており、人手はそこから出してくれる、という。

 もちろん無償労働ではなく、日当や必要な資財をトライデントが提供する形になるのだが。

「会長に、ポイント経済回すの手伝え、とかいわれたらなあ」

 無下にすることも出来ない、というわけだった。

「いいんじゃないか」

 恭介はいった。

「三人で使えきれないくらいのポイント、すでに稼いでいるわけだし。

 そういう仕事を出すことで、多少はこちらへの当たりもよくなるだろうし」

 あんまりポイントを集めすぎても、無用な妬心を買いそうな気がする。

 なにかの口実を使ってばら撒くのも、それなりにいい方法だろう。

「あと、それと関連して」

 彼方はそう続ける。

「生徒会から、もうひとつ、打診されていることがある。

 中央広場近辺の建物を建て直すなり改修するなりして、いくつか常設の商店のようなものを作りたい、と。

 それの大家件出資者のようなものを、こっちにやってみないか、って」

「いろいろと面倒臭そうね、それ」

 遥が素直な感想をぶちまける。

「ポイントや土地、建物を貸すだけならいいんだけど、それだけではなく、経営までしろってことでしょ?」

「まあ、そうだね」

 彼方は頷く。

「生徒会が直接経営する形だと、ちょっと仕事が集中しすぎる、っていうか。

 それで、有力パーティに声かけまくっている状態らしい。

 ただ、実際の労働は、さっきいったフリーランサーズが担当することになると思う」

「だったら、そのフリーランサーズに、最初からやらせればいいのに」

 遥はいった。

「生徒会、わたしらよりもポイントあるはずでしょ?」

「生徒会は生徒会で、すでにいくつかの計画を動かしているらしいよ。

 聖堂を改装して銭湯にするとか、あと、飲食店の経営とかもやるつもりらしい」

「それ以外の店、かあ」

 恭介はいった。

「必要になるかもなあ。

 マーケットでは売っていない商品とかも、あるだろうし」

「たとえば?」

「サービス業とか。

 ええと、散髪、カットハウス」

「そういうのは、確かにマーケットでは出来ないね」

「あと、酔狂連の製品を売る常設店なんかも、あると便利だろうな。

 今日も、なかり忙しそうだったし」

 なにより、製造と販売を少人数で回すのは、かなり無理がある。

 販売は、専用の人間をあてがって、完全に分業する方がいいはずだ。

 他にも、細々としたものは、人間が直に携わった方がいい業種は、確実にある気がする。

「いずれは細々とした店が出て来るにせよ、当面は建築ラッシュになるだろうね」

 彼方は、そう請け合った。

「どうやら長期戦が確実になって来たんで、生徒会の方も本格的な都市計画を考えているっぽいし」

 都市計画、などというと大仰に聞こえるが、ようは要らない、朽ちかけた建物を完全に解体して、新しい建物を建てる。

 その上で、百五十名のプレイヤーにとって快適な環境を構築する。

 そういう指針を、周囲に喧伝しているらしい。

 彼方への打診も、その一環として、トライデントもなんらかの形で責任を分担しないか。

 という意図らしかった。

「まあ、戦いたくない人は、一定数居るだろうしなあ」

 恭介は、のんびりした口調で述べる。

「一番下のレベルが、今、三十くらいだそうだから。

 分業を本格的に考えるのも、いいタイミングかも知れない」

 だが、百五十名、だからなあ。

 と、恭介は考える。

 本格的な社会として機能するのには、構成員と労働力が少なすぎる。

 とは、思う。


 市街地を出てからの帰り道、路上に転がっていた大きな枝や石など、邪魔なものを片っ端から拾っていく。

 とはいえ、足先でつついて倉庫に格納していくだけなのだが。

 この道も、いずれは舗装するつもりだったが、その前に、少しでも往来に邪魔な代物は、除去しておきたかった。

「面倒臭いもんなんだねえ。

 たった百五十人でも、人間が生活していくってのは」

 ぽつりと、遥が呟く。

「生徒会の人たちは、よくやっていると思うけど」

「ぼくたちとしても、少しは手助けしないとね」

 彼方はいった。

「市街地の方が大きくコケたら、こっちも寝覚めが悪いし」

「これから出現するダンジョンってのがどうなるのか、読めない部分はあるけど」

 恭介が、意見を述べる。

「今のところ、悪い方向にはいっていないからな。

 こちらの負担が大きくなりすぎない範囲内でなら、手助けするのはいいと思う」

「そうだよね」

 遥が勢いづく。

「一番大事なのは、自分たちの足元だよね。

 市街地の手助けもいいけど、あくまで出来る範囲内ってことで」

「生徒会の方も、そんなに大きなことは望んでいないと思う」

 彼方はいった。

「一応、打診はしておくか、程度で。

 中央広場近辺の改装と、商店のいくつかは、こっちの担当になりそうだけど」

「酔狂連の人たちと組めば、一応は格好つくんじゃないかなあ」

 恭介は意見を述べる。

「まんざら、知らない仲でもないし。

 それに、向こうも助かるはずだし」

「明日以降、酔狂連に連絡取ってみるとして」

 彼方は続ける。

「あとひとつくらい、なんかない?」

「じゃあ、カットハウスやるよ。

 助手のバイトしていたし」

 遥が、手を挙げる。

「ただ、毎日は無理。

 せいぜい隔日か、三日に一回くらいしかお店開けられないと思うけど」

 もともと遥は、そちらの進路を志望していて、卒業後に勤める店も内定していた。

「他に手伝ってくれる人が現れれば、営業日の調整も出来るでしょ」

 彼方は、軽く頷く。

 遥がそういい出すであろうことを、半ば予想していたような表情だった。

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