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高校生150名が異世界廃墟に集団転移したようです。みんなは戸惑っているようですが、おれたち三人は好きにやらせて貰います。  作者: (=`ω´=)
チュートリアル篇

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ステルスモンスター狩り

 五日目、AM11:58。


 しばらくして、恭介は違和感をおぼえる。

 しかし、「なにに違和感をおぼえている」のかがわからなくて、中央広場に向かって魔法の矢を放つ、という、決まり切った作業を繰り返すしかなかった。

 なんだ、これ?

『やー、えらい目にあった』

 遥から通信が入る。

「やっぱり無事だったか」

『その対応、冷たくない?

 仮にも彼女なんだからさあ、もうちょっと労ってくれても』

「姿が見えなかったから、無事だと思っていた。

 ダメージを受けたり死んだりしたら、ステルス状態が解けるから……」

 といいかけ、恭介はあることに気づき、地面に伏せる。

「おっと」

『どうした?』

「今、襲われているところ」

 恭介は寝そべった状態のまま倉庫から散弾銃を取りだし、見えない襲撃者に向けて、撃つ。

 襲撃者の所在地は、察知スキルが教えてくれた。

『え?』

「背後から鎌で襲われたよ。

 初日の時におれが使っていたような大鎌」

 恭介の態度に余裕があるのは、違和感の正体にようやく思い当たったからだ。

「こいつら、おれたちと同じようにスキルを使うんだ。

 少なくとも、ステルス状態には、なれる」

『ちょっと、大丈夫なの?』

「当面の危機は去った。

 ちょっと生徒会に相談することが出来たから、一度通信切るよ」

 恭介はシステム画面を呼び出して、倉庫の中を確認する。

 さっき散弾銃で倒したモンスターの正式名称は、どうやら「レッサーデーモン」というらしい。

 残した装備や死体に「レッサーデーモンの」なにがし、という表記だったので、そうと知れた。

 しかし、デーモン。

 魔物、か。

 悪魔ではなく、魔物。

 ちょっと格下な感がある。

「生徒会の方、今、いいですか?」

『はい、ないでしょう』

 即答だった。

「現在、出現しているモンスターについて、いくつか伝えたいことがあります」

 恭介は冷静に伝えた。

「それと、お願いしたいことも」

『順番に、こちらにも理解出来るようにお伝えください』

「前提条件として、やつらは生物です。

 ガーゴイルのような生物かどうかわからない代物でも、伝説上の悪魔でもありません。

 おれたちのスキルのような、ちょっと特殊な能力を持っているだけの生物です。

 現に今も、姿を消した状態でおれを襲うとしたモンスターを返り討ちにしたばかりです。

 おれの倉庫に、その証拠が残っています」

『続けてください』

「やつらは少なくとも、ステルス状態になることが出来ます。

 その他にも、スキルに似た能力を使えるかも知れません。

 これが、前提です。

 それで、ですね。

 お願いというのは、そちらのドローンで、まずは中央広場周辺を出来るだけ走査してください」

『ドローン?

 それは、なんで?』

「前に、ステルス状態の敵に襲われそうになった時から、おれはステルス状態の敵の位置を割り出す方法を考え続けていました。

 それで、試してみたかったんですよ。

 カメラとか、機械の目にも、ステルス状態って有効なんでしょうかね?

 ことによると、透明な敵をドローンで簡単にあぶり出すことが出来るかも知れません」


 生徒会執務室は、にわかに騒然となった。

「ドローン、買い増していいっすか?」

「余分に買っておけ。

 ことによると、今よりもずっと広い範囲をくまなく走査する羽目になるかも知れない」

「それよりもまず、実証実験が先でしょう」

「現在稼働中のドローンについては、中継映像すぐに出ますけど」

「出して。

 それと、窓の外と見比べて」

「あ」

 窓から半身を乗り出した小橋書記が、声を出した。

「全然、違います。

 外にはモンスターがいませんが、モニターの中にはいっぱい」

「やつらは出現するペースが遅かったんじゃない。

 姿を消した状態で、出現していたんだ」

 小名木川会長はいった。

「その情報、全プレイヤーに回して。

 至急!」

「会長」

 横島会計がいった。

「それについて、提案があります」


『前提条件として、やつらは生物です。

 ガーゴイルのような生物かどうかわからない代物でも、伝説上の悪魔でもありません。

 全プレイヤーに、録音された恭介の声がそのまま伝えられていた。

『おれたちのスキルのような、ちょっと特殊な能力を持っているだけの生物です。

 現に今も、姿を消した状態でおれを襲おうとしたモンスターを返り討ちにしたばかりです。

 おれの倉庫に、その証拠が残っています。

 やつらは少なくとも、ステルス状態になることが出来ます。

 その他にも、スキルに似た能力を使えるかも知れません』

『と、いうわけで』

 小名木川会長の声が、続きを引き取る。

『悪魔っぽいの、改め、レッサーデーモン討伐をプレイヤーの皆様にお願いします。

 今、生徒会から増発したドローン群が、中央広場を中心に、市街地内部を上空から撮影した映像を、リアルタイムでお伝えしています。

 システム画面トップに出ている「ライブ映像」の部分をクリックすると、最寄りの映像が出ますので、そちらを参照してください。

 生徒会で試してみたところ、機械を通して撮影した映像には、ステルス状態は無効になります。

 この映像を見れば、ステルス状態のモンスターもそのまま移っていて、確認出来ます。

 皆さん、ライブ映像を参照しながら、安全確実にモンスターを倒してください。

 最後に、貴重な情報をいちはやく伝えてくれたプレイヤー氏に感謝します』


「……やりやがった」

 恭介は、頭を抱える。

 今までお騒がせした意趣返しのつもりか、あの会長。

 人の音声、そのまま使いやがって。

『いやー、受ける-!』

 さっそく、遥から、からかいの通信が入った。

『それはともかく、これで敵の居場所は丸見えなわけだから』

「ああ」

 恭介は、頷いた。

「あとはしばらく、ステルスモンスター狩り、だな」

 カメラを通せば自分たちのステルス状態も無効になるわけだが、恭介も遥もそのことは気にしていない。

 スキルというのはあくまで「多くの手段の中のひとつ」でしかなく、それだけに依存するつもりはなかったからだ。

 恭介と遥にとってスキルとは、便利な道具でしかなった。

 それから恭介は、システム画面の中のライブ映像と実際の風景を見比べつつ、魔法の矢を放ち続ける。

 この弓で精密射撃をする練習もしておきたかったので、ちょうどよかった。

 恭介はそのまましばらく、際限なく出現するモンスターを、丁寧に一体ずつ狩る作業に集中した。


「いやー、受ける-!」

 いいながらも遥は中央広場近辺を走り回り、「見えない敵」を背後から襲い続けている。

 察知のスキルを持っていた遥にしてみれば、ドローンとかの支援を受けるまでもなく、敵の場所は把握している。

 ステルス状態で背後に近づき、短剣を一閃。

 感触としては、ガーゴイルよりもよほど柔らかい。

 事前にこちらの存在に気づくモンスターは、今のところいない。

 遥にしてみれば、先ほどのガーゴイルよりもよほど倒し易い獲物といえた。

「それはともかく、これで敵の居場所は丸見えなわけだから」

 他の人も、これでこの狩りに参加してくるわけだな。

 と、遥は思う。

 ガーゴイルの報酬が15万ポイント前後で、このレッサーデーモンが200万ポイント前後。

 前後、というのは、個体により報酬に若干の差があるから、だが。

 ともかく、このレッサーデーモンは、遥くらいのレベルであっても、十分においしい獲物といえた。

『ああ。

 あとはしばらく、ステルスモンスター狩り、だな』

 その言葉が終わらないうちに、レッサーデーモンが一体ずつ、姿を消しはじめる。

 恭介が、おそらくは例の弓で、一体ずつレッサーデーモンを狩りはじめたのだろう。

 大規模な攻撃をおこなっていないのは、周囲に余計な被害を増やさないため、それに、この機会に精密射撃の練習でもするつもりか。

 他のプレイヤーたちも与えられた情報を消化し、ぼちぼち動きはじめるだろうし。

 こうなると、早い者勝ちになるな。

 と、遥は、思った。

 高レベルの忍者である遥にその早さで勝てる者は、この時点ではほとんどいないはずだったが。

 実際、そんなことを考えている最中でも遥の動きは止まらず、静かに正確に、レッサーデーモンの首を斬り落とし続ける。

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