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高校生150名が異世界廃墟に集団転移したようです。みんなは戸惑っているようですが、おれたち三人は好きにやらせて貰います。  作者: (=`ω´=)
チュートリアル篇

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坂又どすこいズの方法

 五日目、AM10:34。


『ぴんぽんぱんぽーん。

 プレイヤーの皆様に、注意喚起のお知らせをいたします。

 ステルス性能を持つ敵モンスターが複数、閉鎖区域内で確認されました。

 発見したプレイヤーはそのまま駆除活動に移行しましたが、まだ相当数が健在のまま野放しになっている状態です。

 想定外の方向から奇襲を受ける可能性が大きいので、察知スキルを持つプレイヤーに周囲を警戒し、早期発見と駆除に努めることをお勧めいたします。

 ステルス敵の総数はわかっておりません。

 くれぐれも油断することなく、周囲を警戒してください』


「よし!」

 広報内容を理解した坂又満は、大きな声を出した。

「察知スキル持ちは何名か?」

「どすこいズに一名、その他のパーニティに二名ほどおりますな」

「三名でカバー出来ると思うか?」

「出来なくとも、やるしかないでしょ」

 返答したプレイヤーは、そういって首を横に振った。

「いや、今から誰かを斥候に転職させることも可能ではあるんですけどね。

 聞くところによると察知スキルというのは癖が強いそうで、取得してすぐに使いこなせる代物でもないそうで。

 だったら、すでにスキルを持っている人たちをあてにする方が無難かと」

「完全ではないが、なにもやらないよりはマシ、か」

 坂又は、頷く。

「その三人に、スキルを使用して警戒に当たらせておいてくれ。

 なに、奇襲が来ると事前にわかっていさえいれば、どうとでもあしらえる」

「ま、そうっすな」

 対話相手もにへら、と笑みを浮かべる。

「むしろ、奇襲相手に同情しちゃう」

「それよりも、竹屋。

 他のパーティの様子は?」

「緊張しているのが多いですが、おおむね問題はないかと。

 しかしまあ生徒会も、頼りないのを送ってきたもんですな」

「それでも平均レベルでいえば十台後半、二十近くにはなる。

 今のプレイヤーの中では、かなり、ましな方だろ」

 レベルよりも、実戦経験の少なさの方が問題になりそうだ。

 と、坂又は考える。

 ようするに、場慣れしていない者がほとんどで、レベル以前に、それこそが問題になりそうだ。。

 頼りない部分は。

「うちのパーティでカバーするしかないか」

 坂又は、結論を呟く。

 坂又率いる坂又どすこいズは、二日目のオーバーフロー以降に編成されたパーティだった。

 しかし、現在の構成員六名は、初日からどうにか実戦経験を積んで来た猛者ばかりであり、しかし、そのレベルが極端に高くないことには、相応の理由があった。

「おう」

 中央広場方面を凝視していた女子が、坂又に伝えた。

「隊長、来たようっすね。

 第一陣」

「奇襲よりこっちが早かったか」

「誰がいく?」

「いや、戦力の逐次投入は愚策でしょ」

「この人数で逐次投入もなにも」

 にわかに、その場が騒がしくなる。

「奇襲を警戒する三人以外は、全員、戦闘準備!」

 坂又が、吠える。

「彼我との距離が縮まり次第、全員で突撃する!

 一番槍は名誉だぞ!」

「おう!」

 という声が重なった。

 なんだかこのパーティだけ、ノリが他とは違い過ぎる。

「まずは、魔法と射撃からだ!

 おのおの、自分の射程内に入ったやつからぶっ放せ!」

 坂又は快活な声で命じた。

「そこを潜って生き残ったらやつらは、各自が好きに蹴散らせ!」

 明確なようでいて、その実、「各自好きにしろ」といった意味の言葉しか吐いていない。

 だが、全体の士気は不思議に高まっている。

「来ましたね。

 来ましたね」

 坂又の隣で、竹屋が歌うような節回しでいった。

「なるべく多く、生き残ってくださいよぅ。

 こちらの取り分が、少なくなる」

 なかなか物騒な、内容だった。

 まず銃声が、続いて、魔法による攻撃がはじまり、前方の空間が轟音と火炎、雷撃などに包まれた。

 それを潜り抜けてモンスターたちは、満身創痍でありながらも、まだ戦意は失っていないように見える。

「よし来た、いけぇ!」

 坂又は檄を飛ばした。

「早い者勝ちの、刈り取り放題だ!」

 そういう坂又自身も駆けだしている。

 駆けながら、倉庫から二メートルほど鉄パイプを取り出した。

 これは本来足場を組むための部材であり、パイプ部分もかなり分厚く、重い。

「そい!」

 妙なかけ声とともに、坂又は手近なモンスターに向け、鉄パイプの先を繰り出す。

 そのモンスターは身長二メートルほど二本足歩行、しかし、爬虫類のような鱗を全身に生やし、長大な尻尾を持つリザードマン型だった。

 リザードマン型はその鉄パイプを避けもせず、片手で掴み、脇によけてそのまま坂又に肉薄する。

「よし!」

 坂又は鉄パイプを手放し、自分から踏み出し、リザードマン型との距離を詰めた。

 リザード-マン型の方が身長も体重も坂又よりも上に見えたが、極端な差があるわけではない。

 坂又は鋭い爪を出して攻撃してくるリザードマン型の手首を掴み、同時に、足を払って体勢を崩し、腕を掴んだ状態で背にリザードマン型に体を腰に乗せ、そのまま地面に叩きつけた。

「ぐぁ!」

 リザードマン型はそんな濁音を出して、肺腑の中の空気をすべて吐き出す。

「組技ははじめてか、モンスター!」

 坂又は素早く倒れたリザードマン型のみぞおちに足を置いて固定し、倉庫から長槍を取り出してその切っ先をまっすぐに降ろした。

 昨日、生徒会から貰った、スケルトンの軍隊が使っていた槍で、これは今、各プレイヤーが持て余すほど持っている。

 首元を槍先に貫かれ、リザードマン型が消えた。

「せい!」

 そのすぐそばで、別のリザードマン型を相手にしていた竹屋が、掌底をリザードマン型に当てている。

 掌底を脇腹に受けたリザードマン型は、軽く二メートルほど吹き飛んで地面に倒した。

「隊長!

 モンスターにも、発勁は有効なようです!」

 元気な声で、そう報告してくれる。

「結構なことだ、竹屋!

 しかし、その前にしっかりととどめは刺さないとな!」

 坂又はそういって自分の倉庫から例の長槍を出し、竹屋に手渡す。

「半端な状態で放置すると、味方に被害が出るおそれがある」

「はい!

 隊長!」

 長槍を受け取った竹屋は、そのまま地面に倒れて悶絶しているリザードマン型に穂先を突き刺した。


「即席ファランクス、いっきまーす!」

 少し離れた場所では、スケルトンの大盾で陣形を組んで進む十名ほどのパーティも居た。

 即席と自称するだけあって、完全にモノマネの域を出ていないのだが、それでもまばらに寄ってくるモンスターたちには相応に効果があるようだ。

 自分に突進してくる盾で出来た銀色の塊に戸惑っているうちに、盾の隙間から伸びた長槍の餌食になっているモンスターが、意外に居る。

 この規模だからこの程度で済んでいるが、これを数百名とかそれ以上の人数で組んだら、相当に強いんだろうな。

 と、坂又は思った。


 そのノリのせいか、坂又どすこいズが率いる連中はともかく勢いがあった。

 結果、被害らしい被害もないまま、中央広場から道なりに逃げて来たモンスターはすべて平らげている。

「奇襲はどうした?」

「何体か近寄って来たのが居たんですが、こちらが迎撃をする前に別方向に逃げていきました」

「問題ないなら、それでよし!」


 坂又どすこいズはリーダーの坂又満を筆頭に六名で編成されたパーティである。

 その特色として、全員がなんらかの格闘技経験者である、ということが挙げられた。

 このパ-ティにはもうひとつ、特色があって。

「全員、ノービスなんだ」

 坂又が説明すると、たいていの者は、

「なんだ、それは?」

 と、不審な顔をする。

 戦闘職ジョブは、固有スキルやパラメータ成長率の偏重などの特色があるのがメリット、なのである。

 ノービスであり続けるということは、そうしたメリットをあえて最初から捨てることを意味する。

「いや、ずっとノービスのままってことはないぞ。

 たまには他のジョブに浮気をするし」

 ただ、戦闘職と呼ばれるジョブは、そのジョブに就いてから一定以上のポイントを得ると、以後、そのジョブの固定スキルを転職してからも使用可能になる。

「システム的に見て、ジョブ固有スキル以外の一般スキルも、ただでさえ多彩だからなあ。

 意外に、ノービスだけでも、スキルの組み合わせと育て方次第によってはいいところまでいけるんだが」

 それと、浮気して任意に取得する戦闘職ジョブの固有スキルとを組み合わせると、可能な行動がかなり幅広くなる。

 なによりノービスは、

「まんべんなく、全パラメーターが伸びるんだ。

 どれかだけが伸びて、それ以外が伸びない、ってことがない」

 初期の、初心者向けのジョブだと、馬鹿にしたもんじゃないぞ。

 というのが、坂又どすこいズのいい分であった。

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― 新着の感想 ―
自分が想定していたビルドがどすこいズのそのものだった。
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