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高校生150名が異世界廃墟に集団転移したようです。みんなは戸惑っているようですが、おれたち三人は好きにやらせて貰います。  作者: (=`ω´=)
チュートリアル篇

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忍者の働き

 五日目、AM10:20。


「いや、だからね」

 遥は、生徒会を説得している。

「中央広場から抜け出したモンスター。

 そのいくらかが、閉鎖区域に潜入して来ているんですよ。

 総数はわかりませんけど、こっちに来ているのはステルス性能持ちばかりです。

 わたしも可能な範囲で撃退するつもりですが、放置していると他のプレイヤーが被害を受ける可能性が大きくなります。

 早いとこ、増援貰えませんか?

 あ、出来れば、察知持ちで」

『斥候職はあまり人気なくて、察知スキル持っている人数も限られているんですよ』

 横島会計の口調は同情的ではあったが、実質的な回答はにべもない内容だった。

『太い道に配備してされているプレイヤーの中にも、それなりに察知を持っている人はおりますので。

 全プレイヤーに注意を呼びかけることは出来ますが、こちらで出来るのはそこまでですね』

 これは期待出来ないな。

 と、遥は心中で結論する。

「やれるだけのことはやりますが、結果は期待しないでくださいね」

 遥は、そういい捨てて生徒会との通信を切る。

「こっちも、体はひとつしかないし、同時に二カ所以上の場所に居ることも出来ないんで」

 そしてすぐさま、恭介に通信を入れる。

「キョウちゃん、へるぷみー。

 バリケード越えてこっそり脇道に入り込んでいるのが、かなり居る。

 察知で確認。

 狩人みたいに、気配やなんかを消すスキルみたいなのを持っているやつが居るっぽい」

『わかった。

 こちらからも援護する。

 その敵の位置を出来るだけ教えて』

 恭介の返答は静かで速やかだった。

 余計なことをいわず、出来ることを報せてくれる。

「出来るだけ、こっちで倒すよ」

 遥は、気分が軽くなった。

「もしも、討ち漏らしそうになったら、その時はお願いする。

 それよりも今は、空の方が大変そうなんだけど」

『それもそうか。

 あの箒、元の世界の航空機よりも、性能がずっと劣るしな』

 通信を切り、遥は頭を切り替える。

 察知のスキルに集中し、近い順から、倒すべき優先順位を頭の中で整理する。

 その敵の元へ至る経路も。

 忍者に転職してから、遥のステルス能力はかなり向上している。

 それは、昨日まで、森での行動で確認済みだった。

 走って近寄って、殺す。

 そんな単純な挙動を、今の遥であれば簡単に繰り返すことが出来る。

 少なくとも、通常の野生動物相手には、楽勝だった。

 今の問題は。

「敵が、ばらけて動いていることなんだよなあ」

 心の中で、そう呟く。

 近い者から順番に始末をつけていくのは、いい。

 そうすると、すべての敵を始末する前に、味方プレイヤーに奇襲をかける者も出て来るだろう。

 敵が広範囲に散らばっていて、それを対応する者が極端に少ない。

 そういう、人手の問題だった。

 考えつつ、遥は一体、また一体と敵モンスターを倒していく。

 背後から近寄って、至近距離でいきなり頸椎もろとも首を切断する。

 というのが、こうした時の遥のセオリーとなっている。

 忍者に転職した遥は、それくらいの真似は片手間に可能な能力を得ていた。

 すでに十体以上の敵モンスターをそうした手法で始末してきたが、最後の瞬間まで遥の接近に気づいた者はいない。

 倒した敵はほとんど、二本足歩行のヒト型だった。

 体の大小その他、細部に異同はあるものの、急所もほとんど同じ。

 体の構造が同じならば、極論すれば、首を切り取られて生きていける生物はいない。

 仮にいたとしたら、それは遥が知る生物以外の、なにかだ。

 たまに、二本足歩行意外の、獣型のモンスターが居ることもある。

 この手のモンスターは勘か感覚かが鋭く、遥が背後から斬りかかる直前に気がつき、短い揉み合いになることもあった。

 遥は、内心では焦るものの、すぐに持ち直して、冷静に、両手に握った二丁のナイフでどつき合う。

 今の遥の反応は、そうした獣型モンスターにも劣らないほどだった。

 冷静に殴り合えば、まず負けることがない。

 こうした時の遥は鋭利な爪の代わりにナイフを持った野獣と変わらなかった。

 そして、忍者の順敏さはそこいらの野生動物さえ、凌ぐ。

 野生動物相手に手数で打ち勝ち、血まみれになって、最後には遥が勝利した。

「シャワー浴びてえー」

 愚痴りながら、遥はマーケットで二リットル入りの水を購入して、それを頭から被る。

 匂いなどは忍者としてのスキルを発動すれば他者に気取られることはないのだが、本人の気分の問題として、いつまでも返り血を浴びたままでいたくはなかった。

 それよりは、ずぶ濡れの状態の方が、いくらかはマシというものだ。


『ハルねー。

 どこから攻撃すればいい?』

 そうして獣型と殴り合い、僅差で取り逃がしたところで、恭介から通信が入った。

「こっちの位置はわかるね?」

 取り逃がした獣型、ステルスモードだから詳しい形状などは把握出来なかったが、殴り合った感覚からすると、かなり大型のネコ科モンスター。

 おそらくは、三体くらい。

『マップで把握出来る程度の精度なら』

「前方三十メートル付近に、何体か。

 現在、追尾中」

 そのモンスターは、遥の動きが鈍くなった隙を見逃さず、すぐさま遥から距離を取り、そのまま駆け出す。

 遥は、そのモンスターたちに追いすがる。

『了解。

 これからそのあたりを攻撃する。

 巻き込まれないように気をつけて。

 その言葉が終わるや否や、遥の前方、狭い路地は唐突に形を変える。

「わぉ!:

 遥の声は、驚きの声をあげた。

「今のなに?

 半径五メートルくらい、円形に吹っ飛んでるんですけど!」

 その円形の中には、モンスター群も居た。

 当然、無事では済まなかったはずだ。

『三和さんの弓の性能。

 自分の手柄だとは、思えないな』

 いやこれ、弓、どころではないでしょ。

 と、遥は心の中で突っ込みを入れる。

 性能的にみれば、指向性を与えた爆弾、みたいなものだ。

 この性能、つまり、かなり射程距離、威力を兼ね備えているのなら。

「もう、キョウちゃん一人でいいんじゃないかなー」

 遥は、素直な感想を口にする。

 かなりのチートだよね、これ。

『そういうわけにもいかないんじゃないか?』

 恭介の返答はあくまで冷静だった。

『これ、魔法の力だっていっていたから、魔法耐性がある相手には厳しいだろうし』

 相性の問題か、と、遥も納得する。

 ひとつの方法だけでなにもかもが解決するほど、甘くはないか。

『あとこれ、乱戦とかになったら、あまり役に立たないと思う。

 味方もろとも吹っ飛ばしてもいい状況なら、問題ないんだけど』

 これも、頷ける意見だった。

 威力が大きすぎるのも、時には短所になり得るのだ。

「それ、精密射撃とかは出来ないの?」

『まだ試してないから、なんともいえない』

 恭介の返答は、やはり冷静なものだった。

 なにしろ、今朝になっていきなり手渡された武器なのだ。

 まだ試していないことは、いくらでもあるだろう。

『他の敵は?』

「察知出来ているのはいくつか居るんだけど、ちょっと遠いね」

 遥は答えた。

「位置を正確に教える方法がない、っていうか。

 マップで示しても、そっちが知る頃にはもっと移動していると思うし」

『そういう問題も、あるか』

 恭介の口調は、いかにも残念そうだった。

『射程が無闇に長くても、それを活かせる状況って、あまりないような気がしてきた。

 せいぜい、飛んでいるワイバーンを落とす程度だ』

 いやそれ、十分に凄いことじゃん!

 と、遥は、心の中で突っ込みを入れる。

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