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高校生150名が異世界廃墟に集団転移したようです。みんなは戸惑っているようですが、おれたち三人は好きにやらせて貰います。  作者: (=`ω´=)
チュートリアル篇

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狙撃手の力

 四日目。

 朝起きてから恭介、遥、彼方の三人は同時にお互いの手を繋ぐ。

「彼方、ポイント割増しのスキルを教えてくれ」

「右に同じく」

「恭介には気配遮断と感知遮断、命中補正、集中を、ねーちゃんは察知を教えてくれ」

「キョウちゃん、命中補正と集中、欲しい」

 三人ともにそれぞれのシステム画面が立ちあがり、確認メッセージが表示され、三人とも「YES」をタップする。

 これで、三人の所得したスキルは同一になった。

「あっけなく成功したな」

「意外なような、当然のような」

「いや、わたしとキョウちゃんで成功するんだから、彼方でも成功するっしょ」

 そんなことをいい合う三人。

「で、次は上級職だけど、なんか新しいの増えた」

「増えているけど……こえは」

「うん。

 正直、微妙」

 恭介と遥は顔を見合わせる。

「なんていうジョブ?」

「塹壕兵」

「伝令兵」

 恭介と遥は、それぞれに答える。

「性能とかはわかんないけど、地味で華がないことは確かだね」

 彼方は率直な感想を述べた。

「で、そっちは?」

「うん。

 陣地守護者、だって」

「は?」

「固有スキルは、自分の陣地の防御力を二割程度アップする『守は則ち足らざればなり』と、陣地内に居る自分の仲間の各パラメータを一割ほどアップする『攻は則ち余りあればなり』」

「いきなり長文のスキル名が来たな」

 恭介は軽く顔をしかめた。

「しかも、孫子からの引用って」

「なんでイヤそうなん?」

 遥が恭介に確認する。

「どうみても、指揮官向けのジョブとスキルだから。

 ってことはつまり、この先、団体戦も想定されているってことで」

「なるほど」

 その説明に遥は頷く。

「戦争みたいなのは、あまりよろしくない、と」

「せいぜい数名同士の衝突と、大人数同士の激突はまったく別物だからなあ」

 恭介はいった。

「人数が増えればそれだけ制御が難しくなる。

 偶発的なことが全体に大きな影響を与えてくる。

 勝敗が読みにくくなる」

 自分自身がそんな事態に身を置きたいかというと、恭介としては断拒否する。

 拒否したい。

「わたしらの新ジョブも、そっちに引っ張られたかな?」

「その可能性は、あるかな。

 ってか、絶対にそうだろ。

 彼方の陣地守護者とセット、というより、配下として設定されている感じ」

「兵、だもんね。

 完全に戦争のユニット扱いだ」

 性能的にも微妙だったこともあり、恭介と遥は新しく発生した塹壕兵と伝令兵のジョブを自主的に封印した。


「おはよーございまーす!」

 そんなことをいい合いながら、魔法少女隊の四人プラス正体不明の一体が入って来た。

「はい、おはよう」

 三人を代表して彼方が挨拶を返す。

「どう?

 そいつ、おとなしくしてた?」

「抱き心地がよかった」

 こちらも代表して、緑川が答えた。

 本当にそいつと添い寝したのか、と、恭介は思う。

 いつものことながら、この四人の順応性は高い。

 高過ぎて、ちょっと引く。

 当の「あれ」は、とことこと恭介の近くまで歩いてきて片手をあげ、

「うぃ」

 と、鳴く。

 どうやら、朝の挨拶のつもりらしい。

「知能は割と高そうなんだよな、これ」

 それに手を振りながら、恭介はいった。

「どうやら、こっちがいっていることはだいたい理解しているっぽいし」

「それでこの子、昨日からなにも飲まず食わずなんですよ」

「いろいろ勧めてみたのですが」

「システム曰く、野生の精霊(?)だしねえ」

 彼方がいった。

「完全に生物とは別の存在なんでしょ」

「うぃ」

 それが、そうだといいたげに頷く。

「それでこの子の名前、どうします?」

 仙崎が恭介の方に顔を向けて訊ねる。

「いつまでもあれとかそれ扱いですと、可哀想だと思うんですが」

「え?」

 恭介は驚いた。

「それ、おれがつけるの?」

「この子、そちらのパーティメンバー」

 緑川が指摘する。

「名前がないのなら、リーダがつけるのが順当」

「それもそうか」

 恭介は頷く。

 てっきり、なついている魔法少女隊の方で勝手につけてくれるのかと思っていたのだが。

「おれがつけると、すっげぇ適当なものになるぞ。

 それでもいいか?」

「うぃ」

「そうか」

 本人、いや、本精霊(?)にも異存がないようだったので、恭介はその場で命名する。

「それじゃあお前、これからうぃって名前な。

 それしかしゃべれないみたいだし」

 本当に、適当だった。

「うぃ!」

 しかし、当精霊(?)はいたく気に入った様子で、その場で万歳するように両手を挙げてパタパタと左右に動かす。


「それで今日は、家造りの続きをしようかと思うんだけど」

 しばらくして、彼方がいった。

「あ、おれ」

 恭介は片手をあげる。

「外れてもいいかな?

 今日は、新しいジョブとかスキルの試しをしてみたい」

「そうだね」

 彼方はあっさりと頷く。

「ねーちゃんはどうする?」

「わたしは、森に入って経験値稼ぎしたい」

 遥が答える。

「早く転職したいし」

「まあ、そうなるよね」

 これにも、彼方は頷く。

「そうなるんじゃないかな、って予想はしていたけど。

 でもねーちゃん、一人で森の中に入るのは……」

 不用心ではないか、と続けようとしたところに、

「うぃ!」

 うぃが、勢いよく片手をあげる。

「ああ、そうか」

 彼方は頷く。

「君にとっては、むしろ森の方がホームグラウンドになるのか。

 じゃあ今日は、ねーちゃんといっしょに森に入ってくれる?」

「うぃ!」

 うぃが元気よく両手を挙げ、その場でくるりとトンボを切る。

「少しあざとくない、この子?」

 と、遥が、感想を述べる。

 魔法少女隊の四人は、揃って彼方の家造りを手伝う、という。

「完全に3K仕事で、今日の作業は溶接なんかもあるけど、大丈夫かな?」

 念のため、彼方は確認した。

「自分たちの家を作る時のために、経験を積んでおきたいんです」

 と即答された。

 どうやら、昨夜のうちに打ち合わせて意見をまとめて来たらしい。


 朝のミーティングを終えると解散。

 魔法少女隊の四人は、一度戻って作業着に着替えてくるといい、遥とうぃは森に出るため、出入り口のある方に去って行った。

 恭介はマジックと紐、釘、コピー用紙、それに複合プリンターをマーケットから購入。

 マジックと釘を紐で結び、コピー用紙の上でぐるりとマジックを回して、同心円を描く。

 最初の何枚かは失敗したが、すぐに満足のいく出来のものが描けた。

「それ、標的?」

「そ」

 恭介は即答する。

「これがないと、狙撃手の性能がうまく判断出来ないし」

 複合プリンターの電源を入れて、成功例の紙をセットし、残りの紙すべてにコピーする。

 コピーし終えた紙は、そのまま倉庫内に収納した。

 それから恭介は拠点内の、建築現場から少し離れた場所まで移動する。

 途中に見かけた魔法少女隊の四人は作業着と安全靴、ヘルメットという完全装備姿で、通りかかった恭介に気づくと軽く手を振ってくれる。

 手を振り返して、恭介はさらに歩く。

 一キロほど歩いた場所で足を止め、手近な防壁まで近寄り、自分の胸あたりの位置に標的の紙を当て、その四隅を釘で留めた。

 レベルアップした筋力があったので、土で出来た防壁に、あっさりと釘がのめり込み、ちゃんと標的の紙を固定できる。

 その標的から千歩、数えながら遠ざかり、そこで標的の方に体を向けた。

 標的の紙は、とても小さいが、かろうじて「そこにある」と判別できる。

「さて、いけるかな」

 小さく呟いて、恭介は倉庫の中からアサルトライフルを取りだし、マガジンを入れて単発モードに設定、それを構えた。

 ん?

 と、恭介は、疑問に思う。

 銃を扱うのは初日以来であったが、その時とは違い、自分の姿勢や構えが、意識せずとも修正されている。

 ような、気がする。

 これが、「命中補正」の効果か。

 と、恭介は納得した。

 おそらく、だが、恭介のフォーム全体が、自然と最適化されているのだ。

「集中」

 スキルの名を、口に出す。

 すると、遠くにあるはずの標的が、ぐんと近づいたような気がした。

 実際に目視している状態に変化はないのだが。

 標的の円、その中心部まで、はっきりと見える。

 狙える。

 恭介はそのまま引き金を引く。

 標的の中心部、一番経が小さい円の中に、弾痕が出現した。

 恭介は、続けて一発ずつ、立て続けに引き金を引いた。

 標的の中心部分に、集中して命中する。

「凄いな、狙撃手のスキル」

 マガジンひとつ分を空にしてから、恭介は感嘆の声を漏らした。

 恭介は、ずぶの素人である。

 にもかかわらず、この距離で、この命中率。

 ジョブの、スキルの効果は、これまでのものなのか。


「もっといろいろ、試してみないとな」

 恭介はアサルトライフルを倉庫内に収納し、かわりに、マーケットから何種類かの弓と、それに矢も購入する。

 狙撃手の力は、別の得物でも有効なのかどうか。

 これについても、今のうちに検証しておきたかった。

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