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高校生150名が異世界廃墟に集団転移したようです。みんなは戸惑っているようですが、おれたち三人は好きにやらせて貰います。  作者: (=`ω´=)
チュートリアル篇

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生徒会のミーティング(三)

「他に質問がある方はいらっしゃいますか?」

 小名木川会長はそういって周囲を見渡す。

 しん、と静まりかえっていた。

「ちょっといいか?」

『Sソードマンの奥村氏です』

 知ってる。

 と、小名木川会長は心中で呟く。

「どうぞ」

「この件と直接関わりがない、わけでもないか」

 奥村はそう前置きして続ける。

「基本、生徒会ってのは、自分たちで問題とかを直接解決するつもりはない、ってことでいいんだな?

 今回のも、設備の提供ってはいいにしても、あとは勝手にしろってことだろ?」

 そうだそうだ、と賛同する声がいくつか、あがった。

 ただ、全体の人数からすると、そういう声を出したのは決して多くはない。

 せいぜい、数名といったところか。

「当生徒会を構成する人員は、五名です」

 小名木川会長が続ける。

「たったの、五名です。

 そんな少人数では、出来ることは限られています」

「なら、なあ。

 そんな生徒会がこの場を仕切っているってのは、ちょっとおかしくないか?

 おれは直接見ていなかったが、昨日、そこの中央広場で、あわや集団戦がはじまるところだったって聞いているぜ。

 今後そうした、力をつけたどこかのパーティが、他の生徒たちを威圧していいように使いはじめたら、生徒会で対処出来るのか?」

「もっともな懸念ですね」

 小名木川会長はあっさりと頷く。

「おっしゃる通り、当生徒会は、警察や軍隊に相当する、治安を維持するための固有の武力を持っていません」

「だったら……」

「そこで!」

 なにかいいかけた奥村を、小名木川会長が語気も荒く制する。

「今後の対応も睨み、新たに協力してくれるパーティを作りました。

 新設したばかりのパーティ、風紀員会のリーダー、新城あらき志摩さんを紹介します」

「ど、どうも」

 小名木川会長の背後から出て来た新城志摩が、少し気後れした様子で挨拶をする。

「ご紹介にあずかった、新城志摩といいます。

 その、風紀委員会のリーダーをすることになりました。

 市内の見回りとか治安維持活動を、生徒会の人たちと協力してやっていく予定です。

 レベルは二十八、得意技は火系の魔法、ジョブは戦士になります。

 よろしくお願いします」

 長身の、女生徒だった。

「レベル二十八!」

 奥村が、叫ぶ。

「志摩さん、あなた!」

 樋口も、叫んだ。

「あなた、うちのパーティだったじゃない!」

「昨日までは、そうですね」

 新城は、頷く。

「でも今は、風紀委員会に所属しています」


「風紀委員会の志摩さんには、当生徒会からの勧めで鑑定スキルを取っていただきました」

 にわかにざわめき出す会場を気にした様子もなく、小名木川会長が続ける。

「新城さん、どうでしょう。

 今、この会場に居る方全員を前にして、これを鎮圧する必要が出て来たと、そう仮定します。

 新城さんなら、鎮圧可能ですか?」

「ええっと」

 新城は目を細めてぐるりと会場を見渡す。

「そうですね。

 僭越ながら、自分なら、可能だと思います」

「出来るだろうなあ」

 坂又どすこいズの坂又が、ため息混じりにいった。

「ただでさえ倒しにくい戦士をレベル二十八まで育てて、その上、広域殲滅能力に定評ある魔法も使うっていうんだろ?

 下手すりゃ、一瞬で全滅だよ」

「さらに補足すると」

 酔狂連の三和も、勝手に発言する。

「あの、新城って子。

 バレー部のアタッカーだろ?

 スキルとかジョブとか除いた素の身体能力でも、この場に居るたいていのやつより上だよ」

 この二人の声はよく通り、会場にはっきりと響いた。

 しばらくして、会場が静まりかえった。


「風紀委員は、この新城さんを筆頭に全六名で構成されています」

 小名木川会長は先を続ける。

「全員、レベル二十五以上の戦士です。

 治安維持能力としては、十分だと思います。

 あともう一人、紹介したい人物が居ます」

「まだ居るのかよ」

 奥村が、低く呟く。

「こちら、ユニークジョブ聖女の、結城紬さんです。

 このジョブは特権的なスキルが与えられていて、それは、条件付きながら、死んだ人を生き返らせることが可能だ、ということです。

 その能力の性質上、在野に置くわけにはいかないので、本人と相談の上、六人目の生徒会役員として働いて貰うことになりました」

 新城のときと同じように、小名木川会長の背後から歩いてきた結城紬が、一礼する。

「ははははは」

 酔狂連の三和が、突如笑い出す。

「これは、駄目だ。

 誰も、生徒会に逆らえない。

 死人を生き返らせるジョブだって?

 そんな人材を確保したてたら、誰も逆らえないじゃないか!

 いや、やるなあ。

 生徒会の人たち!」


「さて」

 小名木川会長はさらに続ける。

「ご存じの方もいらっしゃると思いますが、生徒会は皆様の個人データ、ポイントの推移や現在のレベル、スキルなどを閲覧する権限を持っています。

 これまでは、生徒会のみで参照していたわけですが、今後、無用な混乱を避けるため、一部の情報を全プレイヤーに公開することにいたしました。

 みなさま、各自、システム画面のランキングという欄を参照してください」

「なんだよ!

 レベル五十超えって!」

「宙野彼方……彼方エリアの、彼方か。

 だったら、まあいくかな」

「馬酔木恭介。

 ああ。

 あの、ちっこい鉄砲射ちか」

「初日にイグアナ野郎とやり合ってたやつだろ?

 まあ、あいつなら、三十くらいにはなるか」

「レベル二十台が、魔法少女隊と風紀委員が団子になってて。

 あとちょっと、女子寮チーム(仮)の子も、ぼちぼち入っている」

「高レベルプレイヤーが一目瞭然になったわけか。

 少なくとも、この高レベル組に喧嘩を売るやつはいないわな」


「ここまでで、なにか質問のある方はいらっしゃいますでしょうか?」

 会場が静まるまで、しばらく待ってから、小名木川会長が確認をする。

「それでは、次の議題に移ります。

 全プレイヤーの人数は百五十名。

 で、現在登録されているパーティの数は八十以上になります。

 これ、ちょっとおかしいですよね?

 パーティの数が、総人数の半分を超えています。

 多分、一人パーティの方が相当数、含まれているせいで、見かけ上のパーティ数が増えているんですね。

 おそらく、この会場内にいらっしゃると思いますが、一人パーティが悪いとはいいません。

 ソロで活動が可能な方は、どんどんソロ活動をやってください。

 ただ、そういう方は、残念ながら、生徒会が実施する、これまでに説明したような一部のサービスを利用出来なくなる可能性があります。

 もちろん、排水から汚物の始末まで単身でやれるよ、って方には、通常のパーティと同じ支援をおこないます。

 が、維持が難しいなと判断した方には、残念ながら、該当する設備を返却していただきます。

 繰り返しますが、ソロで活動すること自体は、なんら、悪いことではありません。

 ただ、他の人と同じようなサービスを受けたかったら、仮にでも方便でも結構ですから、誰かと組んでください。

 提供した設備をちゃんと維持出来てさえいれば、生徒会としてはパーティ内の活動内容にまで関与することはありません。

 形だけでいいので、誰かとパーティを組んでください」


「本日の生徒会からの広報は、以上となります」

 小名木川会長は、そう締めくくった。

「 当生徒会の目的は、皆様を守り、皆様の活動を支援することになります。

 まず手始めに、ホームレスみたいな生活を続けているプレイヤーを一掃し、生活環境を整える。

 という目標を、設定しました。

 あと一時間ほどで、本日のオーバーフロー現象が起こります。

 皆様もお気をつけて、オーバーフロー現象に対処してください」

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