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高校生150名が異世界廃墟に集団転移したようです。みんなは戸惑っているようですが、おれたち三人は好きにやらせて貰います。  作者: (=`ω´=)
接触篇

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総力戦(二)

「Sソードマンと魔法少女隊から、大型モンスターを迎撃していいかとの確認メッセージが届いています」

 横島会計がいった。

「つまり、今の持ち場を離れて、城塞の屋上を移動して、ということですが」

「どうなさいますか?」

 アイレスがシュミセ・セッデスに確認する。

「好きにさせてやれ」

 シュミセ・セッデスは、そう応じる。

「どの道、今日は大型モンスターが多過ぎる。

 多少は間引いて貰った方が、ありがたいくらいだ。

 フラナ勢からは、そういう要望は出ていないか?」

「今のところは」

 アトォが即答した。

「基本的に、開けた場所での狩りに慣れている人たちですから。

 今のまま、城塞外にまで逃げてきたモンスターを狩っている方が、楽に仕事をこなせると思います」

 城塞の屋上になると、地面ほど頑強でもないし、通路になっている場所には高低差も出来る。

 フラナの狩人たちにしてみれば、慣れた環境の方で狩りをするのを好む、のだろう。

「なら、その二組だけ、迎撃に向かわせろ」

 シュミセ・セッデスはいった。

「少勢でどれほどのことがなせるものか。

 手並みを確認してみるか」

 シュミセ・セッデスらセッデス勢は、こちらのプレイヤーがどういう戦い方をするのか、知らないからなあ。

 と、恭介は思う。

 ことに、ここ最近はダンジョン内部での戦闘が続いているはずだから、あちらのプレイヤーはほとんど、少人数での戦いに最適化されているのだが。

「結構、派手なことになりそうなんだがなあ」

 恭介は、小声でそう呟いた。

 Sソードマンと魔法少女隊、両方のパーティについて、事前に情報を持っていたからだ。


「はあ?」

 案の定というか、シュミセ・セッデスが間の抜けた声をあげる。

「やつら、飛べるのか?」

「条件さえ揃えば、ですけどね」

 恭介が簡単に解説する。

「基本的なスキルと、それに、あちらで得た知識を組み合わせた応用技になります。

 今のところ、実際に使える人は限られているようですが」

 画面の中では、魔法少女隊の四人が浮遊ボードに乗って滞空していた。

 そして、適切な場所に陣取った上で、大規模な魔法攻撃が開始される。

 城塞の屋上であることを配慮してか、質量攻撃を伴う土や水属性の魔法ではなく、風や雷属性の魔法を多用しているようだった。

 その方が、後始末も楽だろうしな。

 などと、恭介は思う。

「……大型モンスターを、あっさりと各個撃破しているんだが」

 目を丸く見開いたシュミセ・セッデスが、恭介の方に顔を向けながら、そういった。

「それも、一人で一体ずつ。

 いや、うちの者でもフラナの者でも、一人であの大きさのモンスターを個別撃破することは、出来ないぞ」

「彼女たちは優秀ですからね」

 恭介はなんでもないことのように断言した。

「それくらいは、当然、出来ますよ」

「反対側では、勇者様が暴れまくっているし」

 小名木川会長が、別のモニターを見ながら指摘する。

「あの技は、今までみたことがないな」

「うーん」

 そちらに視線をやり、恭介も唸り声をあげた。

「確かに、初見ですねえ。

 あれは、雷と一体化しているのかな?」

「精霊魔法の応用、みたいですね」

 その画面に眼を向けたアトォが、解説してくれる。

「あれほど見事な精霊との合体技は、よほどの資質がないと成功させられないのですが」

 雷光を身に纏った勇者、結城ただしは抜き身の剣を振りかざして、動く。

 瞬時に百メートル以上の距離を移動し、大型モンスターを倒しては、次の大型モンスターへと移動して撃破していく。

「雷と一体化することで、だいぶ、物理的な制約から解放されているらしいな」

 恭介は、そう漏らした。

「あれくらいのことをすると、体にもかなりの負担がかかるような気もするけど」

 人間が人間である限り、生物としての制約は存在する。

 本来のあり方からかけ離れた活動をすると、生体の部分に負荷がかかるのではないか。

 恭介は、そう考えた。

「それは、姉貴の聖女様にあとで頼むんじゃないか?」

 小名木川会長は、指摘した。

「回復なら、聖女様の十八番だ」

 それもそうか。

 と、恭介も納得する。

 いずれにせよ、恭介としては、ああいう無理なやり方は、頼まれても真似したくはなかったが。

 Sソードマンの他の面子も、結城ただしほどには派手な活躍はしていなかったが、それぞれの方法で着実に大型モンスターを始末していた。

 雷と一体化した勇者様ほどの機動力は望めなかったので、他の面子は固まって動いている。

 ゴツい甲冑を纏った美濃が大型モンスターの前に出て、他の三人が側面、あるいは後方から攻撃をする。

 という、スタイルらしい。

 ゆずりはは銃撃、奥村は片刃剣で斬りつける、という差こそあるものの、この二人はモンスターを左右から攻撃する役割になる。

 残る一人、内海は、モンスターの背後、あるいは、モンスターの背に乗って、攻撃を敢行していた。

 内海のジョブは、ストーカーっていっていたっけか。

 確か、ステルス状態になることが可能なジョブで、モニター越しにはわからないのだが、モンスターからは感知不能な状態になっているのだろう。

 一体の大型モンスターを四人で同時に、別の方向から攻撃しているため、攻撃を受ける側のモンスターの注意も一カ所に固定されず、結果としていい感じに袋だたきになっていた。

 接触するやいなや、一撃でモンスターを撃破してしまう勇者様ほどではないが、この四人もかなりの短時間で大型モンスターを沈め続けている。

 むしろ、この四人に関していえば、モンスターを倒したあと、別のモンスターが居る場所まで移動する時間が、ボトルネックになっている印象を受けた。


「それぞれの能力に応じた、的確な戦い方だな」

 シュミセ・セッデスは、こちらのプレイヤーの戦い方を観て、そう評する。

「空を飛ぶ者らと、雷光を纏った者。

 あれらは別格にしても、あの四人も十分に健闘している。

 というより、うちの者らに真似をさせるのならば、あの四人のやり方になるのだろうな」

 そうなるだろうなあ。

 と、恭介も心中で頷いた。

 勇者様と魔法少女隊の方法は、誰にでも真似できるというわけではない。

 その点、あの四人の方法は、ある程度の再現性があった。

 十分な訓練をすれば、セッデス勢の人たちでも同じようなことは出来るだろう。

「健闘しているのはいいが」

 モニターを注視しつつ、小名木川会長が指摘をする。

「それにしたって、大型が出ているペースが早すぎる。

 このままだと、いつかは抜かれるんじゃないか?

 あ。

 今度は、ワイバーンまで出て来た。

 次々と、空へ逃げている」

「ちょうど、こちらも遅れていた航空戦力が着いたところです」

 アトォが、澄ました口調で告げる。

「合計で、三十体ほど、だそうで」

「航空戦力、だと?」

 小名木川会長が、アトォの方に顔向けて訊き返す。

「そんなもの、この世界にあるのか?」

「あるようですね」

 恭介が、あるモニターを指さす。

「大きな鳥に乗っています」

「おお」

 その様子を確認した小名木川会長は、感心した声をあげていた。

「絵本かファンタジーでしか観たことがない光景だな」

「ダカライの戦士たちまで来てくれたのか!」

 シュミセ・セッデスが大きな声を出す。

「夜を徹して飛び続け、ようやく到着したようです」

 アトォが、そのように説明してくれる。

「その割には、やる気は減じていないようですが」

「さもあろう」

 シュミセ・セッデスは大きな声をでそういったあと、一人、頷いた。

「ダカライの戦士が来てくれたのなら、空の守りは万全だ」

 そのダカライとかいう集団は、ここでは有名人らしいな。

 と、恭介は推測する。

 単純に、空を飛ぶ戦闘集団が珍しい、ということもあるだろうし。

 それに。

 と、恭介はモニターの様子を見て、考える。

 巨大なワイーバーン一体の周囲に、ダカライの戦士が乗った鳥形のモンスターが数体ずつ、群がっていた。

 遠過ぎてモニターの中でも点のようにしか見えないのだが、彼らが乗る鳥形モンスターは、ワイバーンよりもかなり小さい。

 ワイバーンのサイズが全長二十五メートル以上とすれば、猛禽に似た姿をした鳥形モンスターのサイズはその数分の一、全長でいえばせいぜい五メートル前後、といったところだろう。

 人一人を乗せて飛べる生物とみれば、結構ぎりぎりなサイズに思える。

 あるいは、この世界では、恭介たちが知る航空力学とは別の原理で、空を飛ぶ生物も存在するのか。

 とにかく、ワイバーンの周囲に群がった鳥形のモンスターは、ワイバーンが身をよじって進路を妨害しても、身軽に避けている。

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