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高校生150名が異世界廃墟に集団転移したようです。みんなは戸惑っているようですが、おれたち三人は好きにやらせて貰います。  作者: (=`ω´=)
接触篇

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277/401

中央司令室

「よう」

「どうも」

 セッデス勢の中央司令室、という場所に案内されると、生徒会の面々が先に着いていた。

「皆さんも、こちらに詰める感じですか?」

「こっちは、そっちほど実戦慣れしているわけでもないんでな」

 恭介が問うと、小名木川会長はそう答える。

「レベルは順調にあげてはいるんだがな。

 今回は戦力が余り気味ということだし、しばらくは予備戦力として様子見、ってことろか。

 それに、戦力よりも、管制用の人員が足りていないし慣れていないし、ということで、むしろそっちを手伝って貰いたいそうだ」

 そういったあと、小名木川会長は首を動かして、横島会計と小橋書記の方を示す。

「どうもー」

「お疲れ様です」

 小橋書記と横島会計が、それぞれ、恭介に挨拶してくれた。

「なるほど」

 恭介は頷く。

 そりゃあ、「リアルタイムで戦況を確認出来る現場での、前線への指示出し」なんて、セッデス勢は経験ないよなあ。

 と、納得する。

 恭介は昨日、一応指示を受けた側だが、その指示もかなりぎこちなく、はっきりいえばかなり頼りなく感じた。

「うまくやれそうか?」

 誰にともなく、シュミセ・セッデスがそう問いかける。

「一応、彼らはチュートリアルを潜り抜けていますからね」

 恭介は答えた。

「うまくやれるかどうか、不確定要素が多くて断言は出来ませんけど。

 でも、彼ら以上にうまくられる人はいないとも思います」

 熟練、というほどでもないが、生徒会の人たちが似たような経験をしていることは、確かだった。

「十分だ」

 シュミセ・セッデスは頷いた。

「今は最善を尽くすしかない。

 お主らとわれらは、同じプレイヤー同士ということになるのであろう?

 であれば、力を合わせるしかないではないか」

 柔軟、というより、意外にセッデス勢のことだけを優先して考えている、というわけでもないようだった。

 あるいは、チュートリアル終了後までを見据えた上で、こちらに功績を分けようという狙いもあるのか。

 変に意地を張られるよりは、これくらい柔らかく対応してくれる方が、こちらとしても気が楽なのだが。

 ふとモニター群に目線をやると、モンスター出現地点で大勢の人が集まって、その前で高台に乗った吉良明梨が奇妙な身振りをしているのが見えた。

 どうやら、集まった人たちに、バフをかけているらしい。

 吉良の妙な身振りが落ち着くと、集まった人々はぞろぞろと城塞内部に入っていき、入れ替わりに新しい人たちが入ってくる。

「これ、全員にいき渡るんですか?」

「作戦参加者全員には、無理だよ」

 小名木川会長の返答は、にべもなかった。

「移動時間というものもあるし。

 この城塞、外周部まで、短いところでも八百メートルほどになる。

 中の通路は迷路のようになっているし、外の人たちは確実に間に合わない」

「なるほど」

 恭介は頷いた。

「ま、城塞内部の人たちだけでもバフをかけて貰えれば、上等か」

 そもそも、吉良を含むユニークジョブズの参戦も、昨日いきなり決まったことだ。

 なにもやらないでいるよりはマシ、であり、高望みをするのも間違いなのだろう。

「昨日は、城塞の外にモンスターが湧いたらしいな」

 小名木川会長は話題を変えた。

「沸いたのは、大型ばかりですね」

 恭介が答えた。

「全長三十メートルを超えるものも割と出て来たから、そういうのは超大型と呼んでも差し支えはないと思いますが」

「そんなもん、どう対処したんだ?」

「だいたい、おれが例の弓で吹き飛ばしました」

 恭介は口調をまったく変えずに答えた。

「幸い、魔法抵抗が強いタイプはいなかったようで、案外簡単に一掃できましたが」

「うんうん」

 小名木川会長は、したり顔で頷く。

「お前さんなら、それくらいわけないんだろうな。

 多分事実なんだろうが、他でそんな風にいうなよ。

 自慢をしてマウント取りにかかっていると、判断されかねない」

「ひどいいわれようだ」

 恭介は不満を述べた。

「質問されたから答えただけなのに」

「セッデスの大将」

 小名木川会長はシュミセ・セッデスに語りかける。

「こんなやつだが、本当にここに詰めておいていいのか?

 最初から外に出して暴れさせたら、他のやつらがかなり楽になるぞ」

「正直、そうしようとも考えてみたのだが」

 シュミセ・セッデスはそう答えた。

「今回は、昨日の倍以上の兵数が揃っているからな。

 あまり一部の者だけに手柄を立てさせると、他の者たちの面目が立たぬ。

 それに、なにが起きるのか予測がつかない部分であるし、まずは予備兵力として手元に置いておくのが確実だと思う」

「そう考えるか」

 小名木川会長は頷いた。

「八十年これやっている戦闘集団の頭領がいうことだ。

 その判断で間違いはなんだろうな」

「チュートリアル開始まで、あと三十分を切りました」

 小橋書記がいった。

「あちらでしたら、ぼちぼちカウントダウンをしているところですね」

「システムを経由すれば、この場に居る全プレイヤーに告知は出来ると思いますが」

 恭介は指摘した。

「システム経由で音声だけを送っても、魔法は、そこまでは翻訳してくれないみたいで」

 小橋書記がいった。

「今、待機している人たちのほとんどには、意味が取れない言葉がいきなり聞こえてくる形になります。

 それでは、不安を増長させるだけでしょ?」

「ああ、うん」

 恭介は、曖昧に頷く。

「アトォちゃん。

 システムで、ここに来ているフラナ勢だけを狙って、なにかを伝えることは出来る?」

「ええと、ちょっと待ってください。

 確認してみますね」

 アトォは慌てて自分のシステム画面を開き、ヘルプを参照しながら詳細な設定を変更しはじめた。

「ええと、出来そうです。

 なにか伝えることはありますか?」

「あと二十五分とちょっとくらいで、チュートリアルがはじまります」

 恭介は答える。

「落ち着いて、指定された場所で待機してください。

 まずは、これだけでいいや」

「了解しました」

「こちらのプレイヤーにも、アナウンスしておきますね」

 小橋書記がいった。

「では、セッデス勢にも」

 アイレスも、他の二人に倣う。

 これで、作戦参加者全員に、アナウンスがいったはずだった。

「そのようなことまで、わざわざ伝えるのか?」

 シュミセ・セッデスが疑問を口にする。

「自分で時刻を確認すれば、誰にでもわかる内容であろうに」

「時刻自体を報せたい、というより、この時点でなんの異常も発生していない、と伝えているようなものですよ、これは」

 恭介はそう説明した。

「なにかのトラブルがあった時は、その旨を告知します。

 まずは、全員にアナウンスが届くのかどうか、確認してみたところですね」

「そういうものか」

 シュミセ・セッデスは素直に頷いた。

「遠くの者に声を届けられる。

 その働きは理解出来たが、それを有効活用するのは、われらはまだまだ経験が足りぬようだな」

「この時点でそのことさえ理解出来ていれば、十分立派だと思います」

 恭介は、口に出してそう伝える。

「理論用出来ることと、それをうまく活用出来ることとは、まったく別のことですから。

 こちらは似たような仕組みが元の世界にもあったので、多少、扱いに慣れているだけですよ」


 やがてモンスター出現地点の人影もまばらになり、吉良明梨も城塞内部に引っ込む。

 その前後で、「チュートリアル開始十五分前」のアナウンスがなされた。

 人気がなくなったモンスター出現地点は、地面が剥き出しになり、規則性のない凹凸がそのまま晒されている。

 凸凹がありながらも、地面がすり鉢状になっていた。

 そんな様子が、モニター越しに確認出来た。

「爆心地みたいなものだもんなあ」

 誰にともなく、恭介は呟く。

「毎日砲撃に晒されているなら、いちいち整地もしないか」

「通路は、土魔法を取ったうちの手の者が、チュートリアル後に毎日整備しているがな」

 シュミセ・セッデスがそういった。

「そうしておかないと、履帯が外れかねないと、センシャ乗りどもにいわれた」

「ああ、それはどうも」

 恭介は、曖昧に謝る。

「おれたちの仲間が、お手数をおかけしているようで」

 基本、戦車は不整地でも運用可能なはずだったが、それでも、地面が平らであった方がなにかと動かしやすいのだろうな。

 などと、恭介は思う。

「あそこに、砲撃が集中するってことか?」

 小名木川会長が、恭介に質問した。

「ええ」

 恭介は、頷く。

「集中砲火ってやつですよ。

 状況から見て、榴弾ってやつがあそこに連発されるはずです。

 それに、射撃もかな?

 とにかく、出現したモンスターに対して、自動的に攻撃が集中します。

 それで九割前後のモンスターは姿を消すはずです」

「効率的なやり方だな」

 小名木川会長は頷く。

「十分なCPと準備期間があったら、こちらのチュートリアルでも同じような手を使ったかも知れない」

「そこまでやっても、全部は倒しきれないのですか?」

 今度は横島会計が、質問する。

「大きなモンスターを盾にしたやつとか、はしっこいやつとか。

 あるいは、未知のスキルを持っているのとか」

 恭介は答える。

「いずれにせよ、その集中砲火だけで全部が倒せる、ってことはありません。

 その残りをどうやって根絶するのか、ってのが、今後の課題になります」

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