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高校生150名が異世界廃墟に集団転移したようです。みんなは戸惑っているようですが、おれたち三人は好きにやらせて貰います。  作者: (=`ω´=)
接触篇

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現状確認と報酬

「スキルや魔法を使うモンスターには、どうにか対応出来ている、と」

 恭介は、そういった。

「となると、今、対応しきれていないモンスターというのは、どういう種類のものになりますか?」

 わざわざそう確認したのは、

「八割は処理出来ている」

 という現状がある以上、わざわざ外部の助力を求めるのには、それなりの理由があるからだろうと思ったからだ。

 普通に考えれば、残りの二割も自分たちで処理した方が早いはずなのだ。

「処理しきれていないのは、いろいろな種類のモンスター、まんべんなくといったところかな」

 シュミセ・セッデスが答える。

「現状の戦力だと、どうしても討ちもらしが出てしまうのだ。

 いや、これまでわれわれが、処理しきれないモンスターを故意に逃がす方策をとっていたのが、習いになっているのかも知れん」

「なるほど」

 恭介は、短くそう答えた。

 達成率という概念を意識していなかった頃は、倒しにくいモンスターはそのまま逃がしてしまうのが、合理的な処理方法だったのだろう。

 そうでもしないと、限られた戦力を無駄に消耗することになる。

 モンスターの発生が毎日同じ時刻にはじまるとすれば、どうしても戦力の消耗を避ける戦い方になるのは仕方がない。

「つまり、特定の傾向を持つモンスターに対応出来ていない、というわけではなく、全体的に、まんべんなく戦力が足りていない、と?」

 少し考えてから、恭介はそう結論する。

「あまり声高に触れ回ることでもないが、いってしまえば、そういうことになる」

 シュミセ・セッデスは殊勝な表情をして頷いた。

「無闇に達成率をあげようとはせず、これまで通りにこなしている分には、問題はないのだが」

 そういうことか。

 と、恭介は思った。

 達成率を気にせず、従来通りに。

 つまり、

「より多くのモンスターを討ち果たし、外部の被害を軽減する」

 という方針でいくのなら、特に問題はない。

 しかし、完封を目指すとなると、明らかに戦力が足りていない。

 そういう、状態なわけだった。

「スキルや近代兵器などを扱えるようになった分、兵士一人あたりの攻撃力は明らかに向上している。

 これは、間違いがない」

 シュミセ・セッデスはそう続ける。

「ただ、出現するモンスター数と比較して、討伐にあたる人数が絶対的に少なすぎる。

 お主ら、向こう側のプレイヤーは、本当にわずか百五十名で達成率十割を達成したというのか?」

「ああ、それは」

 彼方が、そう答えた。

「こちらには、ぼくらのようなプレイヤーが居ませんしね」

 特に気負った様子もなく、事実を事実として伝える口調だった。

 仮にトライデントの三人がいなかったとすれば、向こう側の事情も今とはかなり違っていたはずなのだ。

 少なくともチュートリアルのクリアは、かなりうしろにずれ込んでいただろう。

「セイトカイでも、そのように説明された」

 シュミセ・セッデスはいった。

「お主らは、向こう側のプレイヤーの中でも、かなり特殊な存在であるようだな。

 それで、その特殊なプレイヤーに、助力を求めたいのだが」

「こちらの現状をもう少し詳細に把握しないことには、どうにも出来ませんね」

 恭介はいった。

「それと、報酬代わりといってはなんですが、達成率十割になった暁には、多少の融通を利かせて貰いたい事項があります」

「そうだな。

 先に報酬を明確にしておくことは大事だ」

 シュミセ・セッデスは恭介の言葉に頷いた。

「こちらの指揮下に入りたくはない、ということは、通信で聞いているが。

 その他に条件があるのなら、早めにいってくれ」

「無事にチュートリアルを終えることが出来たら」

 恭介はそう続けた。

「こちらの何カ所かに、向こうの世界へ渡るための魔方陣を設置する許可を頂きたいです。

 それと、この世界におけるおれたちの拠点、そんなに広い場所でなくてもいいので、自由に使える地所をいくらかお貸しして頂きたい」

「お、おう」

 シュミセ・セッデスは、虚を突かれた顔になった。

「そんなことでいいのか?

 その程度のことならば、好きにすればいい。

 おれの裁量でも、すぐに手配が可能だ。

 しかし、お主らは欲がないのだなあ」

「そうでもないですよ」

 恭介はいった。

「ポイントとかアイテムは、おれたちなら自分で稼げますし。

 しかし、こちらの世界の情報を自分で集められる体制を早くから整えるのは、そんなもの以上の価値があると判断しています。

 今のところ、両方の世界に通じている事情通は、存在しないようですから」

「そういうことか」

 しばらく思案顔をしてから、シュミセ・セッデスは何度も頷いた。

「お主らは、セイトカイとは別口の、こちら側との架け橋になろうとしているのだな?」

「なにごとも、一極集中はよくありませんからね」

 彼方が、そう答える。

「選択の余地が増えることは、健全な変化でしょう」

「違いない」

 シュミセ・セッデスは、彼方の言葉に頷いた。

「前言は取り消す。

 お主らは、思っていたよりも抜け目がないな。

 それで、セイトカイの方は、そういたお主らの思惑を知っているのか?」

「先ほど、告げてきました」

 彼方が答える。

「立場上、生徒会としても、そうした動きを抑制することは出来ないでしょう」

「想定外に、面白いやつらだなあ、お主らは」

 シュミセ・セッデスはそういって、笑った。

「そうとなれば、さっさとチュートリアルを終わらせてしまおう」

「シュミセ・セッデス様」

 その時、アイレスがそう声をかけた。

「もうすぐ、本日のチュートリアルがはじまります。

 詳しい事情を説明するのはあとにして、まずは実物を見学して頂いてはいかがでしょうか?」

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