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高校生150名が異世界廃墟に集団転移したようです。みんなは戸惑っているようですが、おれたち三人は好きにやらせて貰います。  作者: (=`ω´=)
接触篇

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検討の結果

 それ以降も小名木川会長とアトォのやり取りはしばらく続いたが、要するに、

「アトォ一人がこちらに残ったことで、こちらのプレーヤー側がなんらかの責任を追及されるのではないか?」

 という懸念を確認することを重視しているようだった。

 生徒会の立場としては、そうなるのだろうな。

 と、恭介としても思う。

 せっかく接触してプレイヤー以外の集団と、こんなことで関係を悪化させたくはないのだろう。

 幸いなことに、アトォが属するフラナの一党は集団に帰属する感覚は希薄な社会のようで、よくもわるくも自己責任の世界であるらしい。

 自分の選択とその結果に、誰もケツ持ちをしてくれない社会ということで、気楽ではあるが過酷でもあるだろう。

 多分。

 と、恭介は思う。

 人間社会内部の論理よりも、過酷な自然と向き合う機会の方がよほど多い生活をいているのだろうな。

 そうなれば、責任論などはあまり役に立たず、どんな結果が待っていようがそれを甘受する、的な精神性が優位になる。

 人間的な倫理よりも結果論が重視される社会であり、アトォは多分、自分の行動が深くは追求されないだろうということを理解した上で今回の居残りに踏み切っている。

 したたかというか、思い切りがいいというか。

 まだ幼い容姿をしているのに、随分と苛烈な判断をしたものだ。

 という思いも、以前から抱いている。

 こちらの住人が、アトォのことなどまるで尊重する態度を取らない場合とか、想定していなかったのだろうか。

 いや、初接触の現場である程度プレイヤー側の様子を観察した上で、これならば与しやすいと結論したからこその、決断だったのだろう。

 いずれにせよ、度胸はあるよな。

 と、恭介は結論する。


「それで、そっちの三人なんだが」

 アトォとの確認事項が一段落すると、小名木川会長は恭介たちに向き直った。

「まずは、結城姉弟との決闘について、快く承諾してくれたことに礼をいう」

「決闘、やっても別にデメリットはないですからね。

 おれたちにしてみれば」

 恭介が、代表して答える。

「その逆に、断った場合、生徒会との関係がギクシャクするなどのデメリットが確実に出て来るわけで。

 どっちを選択するのかは、まあ自明ですわ」

「そういってくれると助かる」

 小名木川会長は真面目な表情のまま、頷いた。

「あの二人がどこまでやれるのか、こちらとしても確認しておきたかったのでな」

「わたしらは、あの二人の強さを測るための指標になるわけですか?」

 遥が、そんなことをいう。

「現状、そちらの三人ほどの適役がいないからなあ」

 小名木川会長は悪びれることもなく、遥の言葉を首肯した。

「お前さんたち三人の強さは、ほとんどのプレイヤーに知れ渡っている。

 その三人を相手にあの二人がどこまでやれるのか。

 それを周知するためのイベントだと思っておいて貰いたい。

 手を抜く必要はないし、全力で相手をして欲しい」

「手加減を出来るほど器用じゃないんですけどね、こちらも」

 彼方がいった。

「やる以上は、あまり時間をかけたくないんで、本気を出すしかないです」

「そうして貰えると、助かる」

 小名木川会長はそういって頷いた。

「銭湯の完成は、まあいった通りだ。

 決闘のあとなら、いつ使ってもいいぞ」

「セントウ、ですか?」

 アトォが、首を傾げた。

「また知らない単語が出て来ました」

「大きなお風呂よ」

 遥が、即座に補足説明をする。

「男湯と女湯に分かれていて、一度に大勢の人が入れるような、大きなお風呂」

「なるほど」

 アトォは、生真面目な表情で頷いた。

「大勢の人が一カ所に集まって暮らすと、そういう施設はあった方が便利かも知れませんね」

 元の世界では行水がせいぜいで、熱い湯に入った経験はこちらに来てからというアトォだったが、その風呂も特に好きでも嫌いでもなく、あくまで「こちらの習慣」として受け入れている。

 強いていえば、毎日のように全身を洗うのは、衛生上好ましい。

 程度には、認識しているようだった。

「それで、ここからは、これまで話題にあげていなかった件になるんだが」

 小名木川会長は、そう続ける。

「アトォ氏には、別の世界からこっちに来やすいような印を、中央広場に設置して貰いたい。

 数日後、あちらの準備が整ってから、改めてこちらの世界に来るという約束をして貰っているわけだが。

 先日のような不便な場所に再度出てこられると、対応するのに一苦労なんだわ」

「はぁ」

 アトォは、要領の得ない返答をする。

「それなら、しばらくキョウスケ様の身柄を確保しておくといいですよ。

 それか、キョウスケ様と懇意にしている大精霊様に頼み込んで、同じ場所に居て貰うようにするとか。

 わたしでも、ある程度の細工をすることは可能ですが、このお二人ほど目立てる保証はありません」

「そう、なのか?」

「そうなのです」

 小名木川会長に訊き返されたアトォは、表情を崩さずに頷く。

「世界を跨ぐ転移をするためには、目立つ指標があった方が確実なんです。

 それは確かなんですが、現状、このお二人以上に目立つ指標は、ちょっと思いつきません」

「つまり、次の転移も、この馬酔木の近くで起こる可能性が高い、と?」

「そうなりますね」

 アトォは、再度頷いた。

「お前、何者なんだ?」

 小名木川会長は、恭介に顔を向けてそういった。

「普通の高校生、だったはずなんですけどね。

 実際、向こうではまるで目立たない存在でしたし」

 恭介は、そう答える。

「こっちに転移してきてから、いろいろとあり過ぎて、正直、自分でもよくわからなくなって来ました」

「それじゃあ、馬酔木。

 次に向こうさんが転移してくるまで、中央広場付近に居てくれるか?」

「えー」

 恭介がなにか答える前に、遥が盛大に不満の声をあげる。

「それ、横暴過ぎません?」

「そうだなあ」

 小名木川会長は、遥の反発に、素直に頷く。

「そういうよなあ」

「それじゃあ、うぃに出て来て貰って、しばらく中央広場に居て貰うってことでどう?」

 彼方が、別案を提示した。

「それ、可能なのか?」

 即座に、恭介が疑問を口にする。

「大丈夫じゃないかな」

 彼方は呑気に答える。

「恭介が頼めば。

 あ、あと、時間のある人に集まって貰って、うぃといっしょにしばらく踊りまくっているといいと思うよ。

 あの子、踊るのが好きなようだから」

「なんだ、それは」

 小名木川会長は、その意見に呆れたようだ。

「だが、それは本当に効果がある方法なんだろうな。

 つまり、大精霊様とかいう存在を中央広場に引き留めるためには、という意味で」

「効果があるといえば、あるでしょうね」

 恭介はいった。

「あいつ、踊るの好きだから。

 ただ、二十四時間ずっと踊り続けってわけにもいかないでしょう。

 現実問題として。

 うぃの方はともかく、こっちは生身の人間なんだから」

「別に夜通しでなくてもかまわんだろう」

 小名木川会長はいった。

「真夜中に突然、何十人も異世界からやって来ても、対応に困るしな。

 まあ、昼間の何時間かだけでも十分だろう。

 希望者募って交替しながら踊り続ければいい」

「真面目に対応法検討しているのに、出て来る結論がこれかあ」

 遥がいった。

「実行した光景想像したら、やたらシュールに思えて来た」

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― 新着の感想 ―
輪になって踊ろうの動画が脳内再生されたけどそんなにシュールかなー
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