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高校生150名が異世界廃墟に集団転移したようです。みんなは戸惑っているようですが、おれたち三人は好きにやらせて貰います。  作者: (=`ω´=)
接触篇

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199/401

異世界ロリ

「それで、異世界ロリを拉致って来た、と」

「別に、拉致って来たわけではないですけどね」

 帰宅してから、恭介は一応、生徒会にも報告しておく。

「本人が勝手に居残っていたんで、仕方がなく保護しただけで。

 それと、ロリっていい方、いろいろと問題がありますよ」

「まあ、それはそれとして」

 小名木川会長は、恭介の苦情を軽く聞き流す。

「今後、どうするつもりだ?」

「本人が納得するまで、そこいらを見学させておくしかないでしょう」

 恭介はそう答える。

「世界を渡る方法は、あちらしか知らないわけですし。

 おれたちがどうこういっても、果たして聞く耳を持っているのかどうか。

 とりあえず、今日のところはうちに泊めるつもりですが、明日以降は魔法少女隊の家か合宿所にでも放り込もうかと思っています」

「そうなるのか」

 小名木川会長は、数秒、何事か考え込む様子だった。

「あ。

 先に言っておくけど、うちでは面倒見ないからな。

 というか、そんなの面倒見ている余裕、今、ないからな。

 くれぐれも、こっちに押しつけようとはしないように」

「筋からいえば、そっちで面倒見てくれる方がなにかと問題が起きにくいんですけどね」

 恭介は、そう指摘しておく。

「まあ、一人くらいなら別に、うちで面倒見ても問題はないでしょう。

 ただ、今後、多人数で押しかけられるとなると、全然別種の問題になってくると思いますが」

「おい、おい」

 小名木川会長が、目に見えて狼狽した声を出す。

「容易に想像出来るがゆえに、差し迫った問題だなあ、それ。

 なんといっても、総人口では向こうのが圧倒的に多数なんだ。

 そのうちの、ほんの数パーセントがこっちに来たとしても、こっちはかなり圧迫される」

「最終的にどれくらいの人数になるのかはわかりませんが」

 恭介はいった。

「向こうにはなくて、こっちにはある要素がいくつかある。

 だから、こちらに長期間滞在する人はそれなりに出て来るでしょう。

 ダンジョンだけでも、長期間こっちに滞在して挑戦していく価値はあると思います」

 アトォ一人だけ、の、問題でもないのであった。

「そうだな」

 小名木川会長は、素直に頷いた。

「そっちの対応も含めて、関係各所に連絡を取って、対応を検討しておこう」


 恭介が小名木川会長と連絡を取っている間、遥と彼方は、夕食の準備をしている。

 なんとなく、お子様向けの外国人にも受けがいいメニューということで、カレーを作っていた。

 もちろん、子ども向けの甘味の強いルゥを使うつもりだった。

 三人は空を飛んで移動したので、車で移動しているアトォらよりは、かなり早く帰宅していた。

「うぃ」

 支度をする二人の背中を一瞥したあと、恭介はうぃを呼ぶ。

 すると、瞬時にうぃが姿を現し、

「うぃ」

 と、声をあげて挨拶した。

「お前のことも、ちゃんと紹介しないとな」

 恭介はそういいながらうぃを抱きあげ、椅子に座る自分の、膝の上に載せた。

「それはいいけど、この場合、なんて説明すればいいんだろう?

 向こうの世界にも、お前に相当する存在が居るのかな?」

 説明するよりも、実物を見せた方が早いか。

 と、恭介は思った。


「お待たせしましたー!」

 やがて、運転手を務めていた赤瀬が、アトォを伴って玄関先に現れた。

「お疲れー」

 遥はそういって、赤瀬からアトォの身柄を受け取る。

「さあ、アトォちゃん。

 まずは、お風呂に入りましょうねー」

「え、いや、あの」

 アトォは、物珍しそうに周囲を見回していたが、遥にいわれるまま、玄関でサンダルを脱ぎ、家にあがる。

「アトォちゃん、明日はどうするんっすか?」

「とりあえず、拠点内は案内するかな」

 赤瀬に問われて、彼方が即答している。

「あとは本人とも相談してから決めるよ」

「了解っす。

 それでは、また明日」

 赤瀬は、そそくさと玄関を閉じて去っていった。

「アトォちゃんには、こっちの流儀をいろいろとおぼえて貰わないとねえ」

 アトォの肩に手を置き、背中を押しながら、遥がいった。

「とりあえず、外出先から帰ってきたら、手を洗う。

 こっちの水道を使って……」

「ひゃっ!」

 アトォは、その場に跪いて顔を伏せた。

「どうしたの?」

 遥が、訝しむ表情を作って首を傾げる。

「あああ。

 あの!」

 アトォは顔を伏せたまま、恭介の膝の上に乗ったうぃを指さした。

「ななな、なんで!

 ここに、そのようなお方がおわすのですか?」

「おわす?」

 彼方も、首を傾げた。

「最近、なかなか使わない用語だよね、それ。

 そのようなお方、って、うぃのことかな?」

「どうやら、そうらしいな」

 恭介も、そういって頷いた。

「こいつは、野生の精霊っぽいなにかで、一応、おれたちのパーティメンバーってことになっている。

 何度も危ないところを助けられているんで、その意味ではそれなりにリスペクトもしているつもり、なんだが。

 ええと、アトォは、これがなにか知っているのか?」

「なにか、っていうか、正体まではわかりませんけど」

 アトォは、強ばった声で答える。

「とてつもなく神聖な存在ってことは、わかります!」

「神聖」

「だってさ」

 遥と彼方は、そういって顔を見合わせる。

「ああ、ひょっとして」

 恭介が、そんなことをいい出した。

「おれについていた、うぃの気配かなんかを感じて、おれを審判者とやらに指定したのかな?」

 恭介は、他のプレイヤーたちと比較して、自分が特別な存在であると思ったことがない。

 ましてや、別世界の人間から見て、特別な資質があると目されるような存在ではない、と、心の底から思っていた。

 ただ、このうぃとの関係を除けば、であるが。

「その推測は」

 アトォがいった。

「おそらくは、正しいかと」

 顔を伏せたまま、だった。

 まるで、うぃのことを、

「正視できない」

 と、でもいうように。

「だってさ、うぃ」

 そういって恭介は、うぃの体を持ちあげてアトォの目の前に置いた。

「うぃ。

 アトォに挨拶して」

「うぃ」

 うぃが片手をあげると、うぃが、

「ひゃっ!」

 と、短い悲鳴をあげて後ずさる。

「いやいや」

 遥が、アトォの肩を両手で掴んみながら、いった。

「この子、そんなに怖い子じゃないから」

「いや。

 あの、その」

 アトォは、涙目になって周囲を忙しく見渡す。

「ど、どうか。

 ご容赦のほどを」

「ねーちゃんさー」

 彼方が、半眼になって指摘をした。

「からかうのはそれくらいにして、アトォちゃん、お風呂にでも入れてあげて」

「はいはーい」

 遥は軽い口調で答えて、アトォの背中を押してバスルームへと移動する。

「うぃのこと、あんなに怖がるとは思わなかったな」

「怖がるっていうよりも、あれは、畏まりすぎてわけがわからなくなっているじゃないかなあ」

 恭介がぼつりと呟くと、彼方がそうコメントする。

「畏怖が極まりすぎて、パニックに近い状態になっている、っていうか」

「畏怖ねえ」

 恭介が、心底不思議そうな表情で、首を傾げている。

「これが、そんなに大層なものかなあ」

「アトォちゃん、別の世界の人だからね」

 彼方はいった。

「ぼくたちとは、いろいろ基準が違うんでしょ」


「あのぉ」

 しばらくして、バスルームから首だけを出して、アトォが確認してくる。

「あのお方は、今、居ませんよね」

「うぃの存在については、おれたちにも判断しかねる部分が多いんだが」

 恭介は答えた。

「今は、見えない状態になって貰っているな」

「あ、はい」

 アトォは、弱々しく頷く。

「当面は、それで十分です。

 ってか、なんで、あなた方は、あのお方の前でも平然としていられてるのです?」

「そういわれても、ねえ」

 風呂あがりの遥は、首を傾げた。

「そんなに畏まる要素が、ないっていうか。

 わたしらには、あれ、ぬいぐるみみたいな不思議生命体に見えるんだけどね」

「ぬいぐるみ」

 アトォは、明確に衝撃を受けた表情になった。

「不思議、生命体。

 ……わかりました。

 あなたがたは、やはり、別世界の人間なんですね」

「最初から、そういっているしな」

「お互いに受け入れがたい価値観を持っているのは、仕方がないよね」

 恭介と彼方は、涼しい顔で、そういう。

「まあ、落ち着いたら、メシでも食おうや」

「そうだね。

 今日はいろいろあったから、疲れているだろうし」

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