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高校生150名が異世界廃墟に集団転移したようです。みんなは戸惑っているようですが、おれたち三人は好きにやらせて貰います。  作者: (=`ω´=)
接触篇

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接触

「……と、いうわけでして」

 恭介はシステム経由で小名木川会長と連絡を取っている。

「どうやら、こっちに転移して来てからはじめての、知的生命体との接触は、避けられないようです」

『いや、その』

 小名木川会長は、戸惑いを隠せないようだった。

『そんなことをいわれても、なあ。

 なんの準備も心構えもしてないし、この場合、どうすればいいんだろうか?』

「いや、それを訊きたいから、連絡しているんですが」

 恭介は、苦笑いを浮かべる。

「こちらとしては、どうなっても責任は取れませんが。

 任せて貰えるのなら、こちらで対処します。

 するしかないです」

『まあ、そうなるよなあ』

 小名木川会長は、ため息をついた。

『車でそこにいくまで、二時間以上はかかっているってことだし。

 今から誰かをそこに差し向けても、二時間以上はかかるってことだし。

 会話が可能な相手かどうかも、まだわからないってことだろう?』

「まだ、遠目にお互いの姿を視認した程度ですので」

 恭介は答えた。

「正式な交渉はあとではじめるにせよ、挨拶くらいは早々にしておいた方がいいと思いますが。

 あまり対応が遅れても、相手の不信感を増す結果になりますし」

『ああ、うん』

 小名木川会長は、どこか気の抜けた声を出す。

『今、正式な交渉隊を組織しはじめた。

 何時間かあとにはそちらに着くから、それまでに、交渉のとっかかりを作っておいてくれ。

 出来る限り穏便に、平和的な方向で頼むな』

「もちろん、そうするつもりではありますけどね」

 恭介はいった。

「なにしろ相手があることですから。

 どんな結果になるのかは、保証出来ませんよ」


「こっちで交渉を開始してもいいってさ」

 小名木川会長との通話を切った恭介は、他の面々を見回してから、そういう。

「ええと。

 まずは、トライデントの三人が姿を見せて、軽く挨拶をしてみる、ってことでいいかな?」

 トライデントの三人は、全員がレベルカンストしている。

 当然、有事の際に一番、命が助かりやすい。

 最初の交渉役として相手に姿をさらす役目としては、妥当な人選だろう。

 相手にしてみても、空を飛ぶ魔法少女隊の姿をすでに目的していて、見えない場所にその他に人員が潜んでいることは、予想しているはずだ。

「挨拶するのはいいとしても」

 彼方がいった。

「そのあとは、どうするの?」

「相手の出方次第だが」

 恭介はいった。

「会話が通じるようならば、まず相手の用件を確認するかな」

「まあ、わざわざ、こんなところまで来るくらいだしね」

 彼方は、その言葉に頷く。

「なにかしらも目的は、あるんだろうけど。

 それが確認出来たあとは?」

「場合によっては、その目的を手伝ってもいいかな。

 ただ、それも、正式には生徒会の判断を待った方がいいのか」

 恭介は、そう続けた。

「個人的には、もしも交渉が可能な相手だったら、あの術、魔法?

 を、教えて貰いたいかな」

「ああ」

 彼方も頷いた。

「妥当、ではあるね。

 わざわざこんなところで出現したってことは、つまりは、彼らは世界を渡る術を持っているってことだし。

 ただ、こちらが、交渉材料になりそうなものを、なにか用意出来るかな?」


 他の人たちは、とりあえず、もうしばらく森の中に潜んでいて貰うことにして。

 恭介たち三人は、相手の元へと向かう。

 魔法少女隊は上空を旋回しながら相手を監視していて、しきりに相手の様子を伝えてくれる。

 相手は、どうやら二種類の集団が居る様子。

 背が高く、金属鎧を身につけた集団と、背が低く、革鎧を身につけた集団。

 二種類の集団は、あまり仲良くない様子で、睨み合いは続いているが、すぐに衝突する様子はない。

 空を飛ぶ魔法少女隊の様子も確認しているが、過度に騒ぐということもない。

 害意がなく、すぐに攻撃して来る様子ではない、と確認した途端、魔法少女隊への興味を失ったように見える。

 二種類の集団の目的は、はっきりとはしない。

 ただ、しきりに周囲の、森の様子を窺って気にかけている。

 ひょっとすると、

「誰か、あるいは、なにかと、待ち合わせでもしているのではないか?」

 との、ことだった。

 何事か、目的があってここに来たのは確かなようだが、それが実際になんであるのかは、この時点でははっきりしない。

 面倒だなあ。

 と、恭介は、思う。

 まず、言葉は通じないだろうし。

 その状態で、相手の顔色を読んで交渉、少なくとも、そのとっかかりを作る。

 恭介たちが今回こなさねばならないミッションとは、つまりはそういうことになる。

 こんなもん、真面目に成功すると、やる前から確信出来る方がおかしい。


「とりあえず、敵意がないってことを示すため、両手をあげて相手の前に姿を出すぞ」

「了解」

「こっちに注意を向けるため、少し音を立てながら近づいた方がいいよね?」

「そうだな。

 そうしよう」

 三人は故意に近くの枝などを触って音を立てながら、二種類の集団が居る場所まで近づいていく。

 しばらくそうして歩くと、不意に視界が開けて、先ほどまで穴だけが空いていた場所に出た。

 今では、赤茶けた土が円形に広がっているだけの広場で、その中心近くに、二種類の服装をした連中がたむろしていた。

 恭介たち三人が姿を現しても、すぐに攻撃をしてくるとかはなかった。

 ただし、こちらを指さしてなにやら仲間うちで騒いでいる。

 好奇心、はあるのだろうが、特に意外そうでもない。

 そのことに、恭介は引っかかりをおぼえた。

 ひょっとして。

 こいつらは、おれたちが来ることを、予想していたのか?

 金属鎧の中から、ひときわ体格のよい、装飾品が多い一人が進み出て、恭介たちに向かってなにやら大きな声で語りかけた。

 宣誓、というか、口上、というか。

 普通の会話とかではなく、なにか、儀式めいた挙動であり、口調だった。

「悪いけど」

 恭介は、日本語で返答した。

「そちらの言葉は、まったくわからないんだ。

 なにか、翻訳する術とかを持っていたら、それを使って貰いたい」

 最近読んだその手のラノベでも、魔法やら神様の加護やらで、異世界の言語を自動翻訳してくれるのがセオリーになっていた。

 本当にこれでいいのかわからないが、当面、

「言葉が通じない」

 ということさえ、相手が理解してくれればいい。

 まずは、そこがスタート地点だ。

 と、恭介は、考えていた。

 だが。

 革鎧の一団の中から、ひときわ小柄な人影が進み出て来た。

 一人だけ、鎧を身につけていない。

「女の子、か」

 恭介は、そう呟く。

「見たところ、他に女性の姿は見えない。

 あの子だけ、なにかの役割を持った、特別な存在のようだな」

 他の連中は、二種類の集団に共通して、武装している。

 この子だけ、普通の衣服を身につけただけに見えた。

 それも、かなりの薄着だ。

 この気候だと、かなり寒いのではないか?

 小柄な少女は、なにやら長々と呪文? らしきものを詠唱した。

 三分くらい、だろうか。

 その間、恭介たちは、両手をあげたまま、相手の出方を待っている。

 この少女がなにをしているのか、まったくわからなかった。

 が、どうやら、なにか儀式であることは、想像がつく。

 だとすれば、それをこちらの都合で中断しかねない真似は、謹んでおいた方が無難だった。

「……んしゃたる方々よ。

 失礼をいたしました」

 気づくと、少女は呪文を詠唱しおえて、こちらに、恭介たちに向かって語りかけている。

「これで、言の葉の意は通じているのでしょうか?

 これで通じていないとなると、こちらとしても困るのですけど」

 おかしな感じだ。

 少女は、相変わらず、恭介たちから見て、まったく未知の言語を口にしている。

 しかし、それが耳に入ると、はっきりとその意味が理解出来るようになっていた。

「言葉は、通じている。

 と、思う」

 恭介は、短く答えた。

「二つほど、伝えたいことがある。

 まずは、こちらには、あなた方に対する害意を持たない。

 次に、あなた方を攻撃するつもりはないから、両手を降ろしてもいいかな?」

「よかった」

 少女は、薄く笑った。

「古い、使い手もほとんど残っていない魔法でしたから。

 なにか間違いがあって、効果がなかったらどうしようかと心配しておりました。

 両腕については、お好きになさってくださいませ。

 両手をあげているのは、なにかの宗教儀式ではないかと思っていました」

「いやいや」

 恭介はそういって、腕を降ろす。

「こっちにしてみても、こんなところでよその人と接触するのは、これがはじめてなんだ。

 どう接すればいいのか、わからなくてさ。

 とりあえず、敵意がないことを示すポーズとして、両手をあげてみたんだけど。

 ええと、早速、本題に入っていいかな?

 あなた方は、なんの用があって、ここまで来たのですか?」

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