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高校生150名が異世界廃墟に集団転移したようです。みんなは戸惑っているようですが、おれたち三人は好きにやらせて貰います。  作者: (=`ω´=)
ダンジョン篇

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調査遠征

「最近、罠にかかる動物がまた増えて来ててさあ」

 朝食の席で、遥がそんなことをいい出す。

「少し前まで、ほとんどかからなくなっていたのに。

 どうも、少し離れたところから、わざわざこの近くまで移動して来る動物が増えてるみたい」

「なにかの異変、その前触れなんかなあ」

 恭介がいった。

「地震とかの前に、そういう行動する動物が居るって聞いたことは、あるんだが」

「わからないけど」

 彼方が、そういう。

「用心だけは、しておいた方がいいようだね。

 拠点内の設備を点検して、他の人たちに伝えて注意を喚起しておこうよ」

 ここ数日、罠にかかる動物はほとんど居なくなっている。

 罠の存在が近隣の動物に周知され、迂闊に近寄らなくなっていたのだ。

 その事情が変わったとすると、遥が指摘したように、どこか他の場所からこちらに移ってきた動物が増えた、と、そう見るのが妥当であった。

「取り越し苦労だと、いいんだがな」

 恭介は、本心からそうそうコメントした。


「ちょうどいい機会だ」

 酔狂連にそのことを伝えにいくと、対応に出た八尾がそんなことをいい出す。

「少し落ち着いたら、森の外を探索しようと前々から思っていたんだよな。

 それ、今、やっちまわないか?」

「森の外、か」

 恭介は、考える。

 確かに、この森がどこまで続いているのか。

 その端の外にはなにがあるのか。

 疑問に思わなかったといえば、嘘になる。

 八尾もいっていたように、これまで、

「落ち着かなかった」

 ので、探索する機会を見失っていただけだ。

 今、ダンジョン攻略もどうにか先が見えてきて、トライデントのみだけに限っていえば、ここから別に攻略を急ぐ必要もない。

 むしろ、休養を多くして、他のパーティに追いついて貰いたいくらいであり。

 この機会に、森の外を目指してみる。

 というのは、案外、いいアイデアにも思えた。

「個人的には賛成だけど」

 恭介は、口に出してはそういった。

「一度持ち帰って、他の二人からも意見を聞いて、それから決めるよ」


「確かに、いい機会かも知れないね」

 彼方は、そういった。

「この世界の、ここ以外の場所がどうなっているのか。

 興味がないといったら、嘘になるし」

「どこにいくにしても、三人いっしょで行動した方がいいと思う」

 遥は、そんな意見を述べる。

「今までの例から考えても、出先でどんなアクシデントがあるのか、まったく予想がつかないし。

 魔法少女隊の四人にも、声をかけておこう。

 あの子たちも居ると、なにかあっても対応の幅が増えるし」

 確かにな。

 と、恭介は思う。

 声さえかければ、魔法少女隊の四人も、喜んで同行しそうな気がする。

 なにより、ランドクルーザーを出して貰えるのが、大きい。

「そういや、足はどうする?」

 恭介は、他の二人に確認する。

「魔法少女隊のランクルだけだと、全員は乗り切らないと思うけど」

「一台、適当なの買おうか?」

 遥がいった。

「無免許で、習熟運転がてら、最初に遠出かあ」

 彼方が、慎重論を唱える。

「買うとすれば、運転が簡単なのね」

「こんな環境だから、オフロード車にしておいた方が無難な気がする」

 恭介も、意見を述べる。

「市街地からここまでの道は舗装されているけど、ここから先は未舗装のままだからね。

 かなり、道の状態が悪いと思う」

 舗装される前までは、市街地から拠点までの道も、かなり状態が悪かったのだ。

「……やっぱり、車を買うのはまたの機会にして、空を飛んでいかない?」

 遥はあっさりと前言を撤回した。

「魔法少女隊の子たちが、安定して飛べる一人乗りの箒も作っているっていうし。

 現状だと、それ使った方が快適かなあ、って」

「それも、いいかもね」

 彼方が、そういって頷く。

「いずれにせよ、酔狂連の人たちとも再度連絡を取って、足並みを揃える必要はあると思う」


 魔法少女隊は、四人全員。

 酔狂連からは、八尾と樋口和穂。

 それに何故か、ユニークジョブズの二人、吉良明梨と左内覇気までもがついてくる、という。

「食堂とか合宿場、大丈夫なの?」

 遥が、左内に確認した。

「一応、作り置きは余裕を持っておいてきていますし」

 左内はそう答える。

「いつも手伝ってくださる方に頼んでいますんで、留守中くらいは大丈夫なはずです。

 こんな、なにが起こるのかわからない時こそ、お手伝いしませんと」

 吉良の方は、仕事をしているのかいないのか、はっきりしない、すっかり拠点内ニートと化していた。

 当人曰く、

「女子寮と風呂場の掃除、寝具の洗濯くらいはしている」

 とのことであったが、逆にいうと、それ以外の仕事をしている様子を誰も見たことがない。

 合宿所関連の仕事は、おおかた左内が取り仕切っていた。

 その左内が大丈夫だというのなら、問題はないのだろう。

「他はともかく」

 彼方が吉良に視線を向けて、そういった。

「吉良さんが同行するとは、思わなかった」

「酔狂連の他の人たちが多忙なので」

 吉良がいった。

「仕方がなく、というか。

 多少の手伝いくらいは出来るかと」

 この吉良明梨も、基本的には、酔狂連の生産拠点内に隠れて出てこない。

 恭介たちが吉良の姿を実際に目にするのも数日ぶりであり、今回の調査にも出て来るとは思わなかった。

「最近、うちの方にも頻繁に人が来るようになってなあ」

 八尾がいった。

「それも、風紀委員とかSソードマンの女子とか、この樋口の知り合いが、割とよく来るんだわ。

 で、なにかの間違いで鉢合わせするのもばつが悪いから、それを避けるために参加するらしい」

「はあ、なるほど」

 恭介は、要領の得ない返事をする。

「いや、女子寮チーム(仮)の関連で、なにかあったとは聞いているんですけどね」

 顔を合わせづらくなる、何事かがあったらしい。

 樋口に関しては、その程度のことしか、恭介たちは聞いていない。

「でも」

 と、彼方は、疑問を口にした。

「女子寮チーム(仮)って、一時期はやたら人数が多くなかった?

 関係者全員から、いつまでも隠れ続けることって、あんまり現実的ではない気がする。

 いずれは誰かに見つかる、っていうか」

「わ、わかってますけどぉ」

 樋口は、情けない表情をして、そういった。

「まだちょっと、気持ちの整理がついていなくて」

 人それぞれ、だな。

 と、恭介は思う。

 もちろん、そうした個人的な事情に、自分から関わろうとするほど、恭介たちも物好きではなかった。


 ランドクルーザーは、運転手の赤瀬とユニークジョブズの二人、それに樋口が乗ることになった。

 魔法少女隊とトライデントは全員、箒で。

 八尾は、わざわざオフロードバイクを購入して、それに乗って同行するという。

 基本的に、不整地でのランドクルーザーの乗り心地を知っている者たちは、なんのかんのと理由をつけて乗らないように努めているようだ。

「調べるって、なにを調べるんです?」

 出発する前に、赤瀬が質問した。

「それがわからないから」

 彼方が答える。

「時間で区切って、動こうと思う。

 三時間ほど、外に向かって進んで。

 そこまで、何もなかったら、あるいは、なんらかの障害があって先に進めなかったら、そこで引き返そう」

 調査、とはいっても、明確な目的があるわけでもない。

「なにがあるのかわからないから、とりあえず、現地に足を運んで確認してみよう」

 程度の、軽い遠征になる。

 初日ではあるし、まずは日帰り可能な距離に限定する予定だった。

「なにも見つからなかったら、ピクニックみたなもんですね」

「本当に、なにも見つからないといいんだけどね」

 彼方はそういって、頷いた。

「ただ今日は、恭介が同行しているからなあ。

 なにが起こっても不思議ではないから、そのつもりで覚悟だけは決めておいて」

 この世界に来て以来、恭介がはじめての場所に足を運ぶと、必ずといっていいほど、何事かが起こっているのだ。

 彼方などは、

「見方によっては、便利な体質だよね」

 などと評すほど、慣れっこになっているのだが。

 ともあれ、こんな感じで一回目の調査遠征ははじまった。

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