表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
高校生150名が異世界廃墟に集団転移したようです。みんなは戸惑っているようですが、おれたち三人は好きにやらせて貰います。  作者: (=`ω´=)
ダンジョン篇

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

173/401

Sソードマンの詳細

 翌日、朝の日課が終わったくらいの時刻に、約束通り、Sソードマンの面々が拠点を訪れて来た。

 市街地よりも拠点の方がなにかと都合がよかったので、わざわざ来て貰った形だ。

「はぇー」

 楪たち女子三人組は、物珍しさを隠そうともせず、周囲を見回している。

「お、おい」

 奥村は、若干、落ち着かない様子だった。

「本当に、ここ、お前らだけで整備したのか?」

「わたしらだけ、ってわけではないけどね」

 奥村とは以前から顔見知りであった遥が、代表して答える。

「魔法少女隊とか、酔狂連の人たちにもかなり手伝って貰ってるし」

「いや、そういうことではなくて、だなあ」

 奥村は、なにかをいいかけ、それを途中で止める。

「労力を提供した具体的な人数は、ともかく、としてだ。

 ここの整備をしながら、お前らは、ダンジョン攻略をして来たんだな?」

 少し間を空けてから、そう、続けた。

「こちらの感覚でいえば、ダンジョン攻略の方が明らかにおまけ扱いなんだけどね」

 遥は、率直なものいいをした。

「そっちは別に、わたしらが直接手をかけなければならない理由がないし」

 自分たちの住環境などは、自分たちで整備するしかない。

 トライデントの三人からすると自明の事実でしかないのだが、Sソードマンの面子にとってはそうでもないようだった。

 程度の差こそあれ、なんだかその発言にショックを受けているように見受けられる。

「なんか、さ」

「根本的なところで、考え方が違うんだ」

「うちら、そんなところはだいぶん、手を抜いてきているし」

 女子たちは、三人で固まって小声でそんなやり取りをしている。

「ええと、身内での会話は、あとにしてくれるかな」

 彼方がいった。

「まずは、そうだね。

 師匠がいない範囲で、全員のジョブとその特性なんかを教えて欲しい。

 そうでないと、指導のしようもないから」

「はいはーい」

 楪が、最初に前に出た。

「うちのジョブは、ガンナーっす」

「それは、狙撃手とは違うのか?」

 恭介が、すかさず疑問を口にする。

「ジョブ固有スキルとかは?」

「ジョブ固有スキルは、速射っすね。

 連射しても、命中精度が変わらない、って」

「命中補正に関連したスキルとかは、ないの?」

「狩人の固有スキルはそのまま使えますが、このジョブで命中補正関連のスキルはないっすね」

「そうか」

 恭介は、少し考える。

「正直、まだ理解しきれない部分はあるんだが、だいたいはわかった」

 連射しても、命中速度は変わらない、か。

 多分、マシンガンとかアサルトライフルとか、その手の火器に特化したジョブ、なのだろう。

「次。

 うちは、ストカーっすね」

 片手をあげて、内海が発言する。

「斥候の上位互換、だと思う。

 固有スキルは、隠蔽。

 あと、スキルとはちょっと違うのかも知れないけど、このジョブになってから、足が速くなりました」

「どう思う?」

 同じく、斥候の上位互換職に就いている遥が、恭介に意見を求める。

「その名前の通り、追跡とか尾行に特化したジョブ、なんだろうな」

 恭介は、印象を告げた。

「案外、単独行動に向いているのかも知れない」

「そのジョブ、力とかは、あがってますか?」

 彼方が、確認する。

「正直、そっち方面はあんまりっすね」

 内海は答えた。

「攻撃力は、基本の攻撃職並み、だと思う。

 あんま、強くなった気がしないっす」

「静音行動と追跡特化、ってところかな」

 彼方が意見を述べた。

「忍者ほどには、不意打ちに向いていないっぽい」

 忍者は、斥候よりも攻撃力が高くなっており、さらに、クリティカル補正も持っている。

 それに比べると、攻撃力はかなり見劣りする感じに思えた。

「攻撃力の高い武器を持たせて、どうにか補正したいところだね」

 恭介は、そういった。

「あー、うちは、重装歩兵っす」

 今度は、美濃が発言する。

「力は、かなり強くなっています。

 その代わり、素早さなんかは見劣りします。

 つまり、他の人たちと比較して。

 あと、あまり速く走れません」

「ジョブ固有スキルは?」

「忍耐と、反撃っすね。

 忍耐は、受けた攻撃のダメージが半減されます。

 反撃は、一定確率で、受けたダメージをそのまま返します。

 ただし、その際、こちらが受けるダメージが減るわけではありません」

「タンク向きのジョブだねえ」

 遥は、そういって頷いた。

「それで、そんなジョブの子が、なんで重装備をしていないの?」

「坂又さんたちみたいな格好を、っていうことですか?」

 美濃は、平然とそういった。

「いや、でもあれ、可愛くないし」

「可愛くない」

 遥は、絶句した。

 酔狂連が開発した全身鎧類は、現在のところ、二種類に大別される。

 主として女子が着用しているのが、柔軟性のある素材で、防刃、対衝撃性能がある、「ソフトシェル」。

 機能はしてはそれの上位互換になるが、重くて硬い、いわゆる、「甲冑」というイメージに近い、「ハードシェル」。

 このうち、ハードシェルは、男子とか、女子の中でも力が強いジョブに就けた者が、着用していることが多い。

 耐久力は増すのだが、その分、重くて動きが制限されるからだ。

 新城ら、風紀委員たちは、ソフトシェルを装備しており、坂又どすこいズは、ハードシェルを着用していた。

「あとで酔狂連さんと相談して、装備から考え直そう」

 彼方が、平静な声で、そういう。

「そだねー」

 遥も、平坦な声で応じた。

「あと、そこの三人は、固有スキルを教授し合っているでしょ?」

「わかりますか?」

「わかるよ」

 遥は即答する。

「昨日、三人でステルスモードになっていたし」

 あれは、内海の隠蔽スキルの効果なのだろうか。

 いずれにせよ、察知スキルがあれば対応可能だった。

「最後に、おれなんだが」

 奥村が、いった。

「おれのジョブは、侍だ」

「それは、魔法と剣を使えるジョブなの?」

 すかさず、彼方が確認する。

「なにをいってるんだ?」

 奥村は、そういって首を傾げた。

「プレイヤーなら、誰でも、魔法も剣も使えるはずだろう。

 侍は、剣士の上位互換だな。

 攻撃力も、剣対応スキルの威力もあがっている」

「ジョブ固有スキルは?」

 恭介が、確認する。

「居合い」

 ぽつりと、奥村が答えた。

「鞘から抜いて、さっと斬る、あれだ。

 攻撃力は倍増するが、一度刀身を鞘に収めなければならないから、使いどころが難しい。

 敵の数が多いときや、乱戦だとまず使えない。

 それと、この剣では、すっごく使いにくい」

 そういって奥村は、普段使っている諸刃の直剣を腰から外して示す。

「ああ」

「そりゃあ、ね」

 恭介と遥は、そんなことをいい合いながら、頷いた。

「そっちも、あとで酔狂連と相談だね」

 彼方が、そうまとめる。

「あとは、ちょっと。

 こっちでも方針なんかを相談してみるから、ちょっと時間を貰えるかな?」

「それはいいが、その間、おれたちはどうすればいい?」

「あっちの建物、合宿所の食堂になっているから。

 とりあえずそこで待っていて」

 彼方はそういって、合宿所の方を指さした。

「時間的にはちょっと早いけど、昼食でも摂っててよ」


「楪さんは恭介。

 内海さんはねーちゃん。

 美濃さんはぼくが担当するってことで、いいかな?」

 三人きりになってから、彼方がそういう。

「ジョブの性質的に」

「奥村はどうする?」

 遥がいった。

「剣士経験がある、キョウちゃんくらいしか指導出来ないと思うけど」

「まあ、いいけど」

 恭介はいった。

「順当だと、思うしね。

 あと、こうなったら、教えるのが一人でも二人でも、あんまり関係ないっていうか」

 昨日、三人で相談した結果、

「まずこのSソードマンをある程度鍛えてから、坂又どすこいズや風紀委員の対戦相手をして貰おう」

 と、そういう予定になっていた。

 まず、このSソードマンに、ある程度まで仕上がって貰わないと、次の予定に移れないのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ