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高校生150名が異世界廃墟に集団転移したようです。みんなは戸惑っているようですが、おれたち三人は好きにやらせて貰います。  作者: (=`ω´=)
ダンジョン篇

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反応

「わぁ」

 Sソードマンのゆずりは夜は、心の底から感心した声をあげた。

「この人、うちのリーダーなんかよりもずっと、剣の腕、上なんじゃない?」

「だよねー」

「間違いない」

 同じく、Sソードマン所属の内海美佳、美濃早樹も、その意見に賛同する。

「動きに迷いがないし」

「シンプルであるが故に、動きに無駄がないのが、浮き彫りになる」

「これで、狂戦士バーサーカーなのか」

「理性がなくても、術理は体がおぼえているってこと?」

「そういうこと、なんだと思う。

 最適解を瞬時に判断して、すっと体がその通りに動いている」

「ここまで来ると、ジョブとかはあんま関係ないのかなあ」

「ぶっちゃけ、達人の域でしょ。

 これ出来る人」


 この三人も、これまで何度もダンジョンに潜ってモンスターとの戦いを経験している。

 プレイヤーの目利きに関しても、自然と育ってしまった形だ。

 動きが速いとか、力が強いとか。

 そうした単独のパラメーターだけで判断出来るものでもなく、実戦の際に躊躇いなく動けるのか。

 そういう部分がいかに重要なのか、身に染みて理解していた。

 弓を使うにしても剣を使うにしても、実際の使い方はスキルに任せておけばいい。

 そのスキルを自由に使うのにも、ある程度の才覚は必要となる。

 自分に出来ることと出来ないことを弁えて、自分に出来ない分野はすべてスキル任せにする。

 そういう度量も、一種の才覚であると、この三人は思っていた。

 この狂戦士は、そのスキルの使い方が、抜群に巧い。

 というより、不安を解消するために、新しいスキルを使う際に、いやになるほど反復練習でもしているのだろう。

 そうとでも考えなければ、あの無駄のない動きは説明出来なかった。

 他のプレイヤーたちは、そこまでスキルの性能を疑ったり、どこまでのことが出来るのか、検証したりしていない。

 モンスターとの戦闘している最中に、ときおり、ほんの数秒だけだが、妙に動きが止まるプレイヤーは、結構多い。

 この場でどんなスキルを使うのが有効なのか。

 つい、考えてしまう。

 それが、隙になる。

 大半のプレイヤーたちは、そんな有様だった。

「説明テキストにある内容なら、最初から出来るもの」

 そう決めつけて、ぶっつけ本番で使う者が、ほとんどだったからだ。


「そういや、この人。

 なんか難しい名字の人、初日に大物モンスターを単独でやった人、だったな」

「ああ。

 その頃から、判断だけは的確、だったわけだ」

「その頃は銃器を使ってたってことだけど、初動の早さは、今でも評価されている」

「有効射程距離がめちゃ広くて、狙いも正確。

 おまけに、この攻撃力。

 いや、それを通り越した破壊力、か、これ」

「この人、なんか別格いうか」

「うん。

 ピン同士の戦いだったら、この人に勝てるプレイヤー、まず居ないと思うよ」

「三人ともレベルカンストってのが、凄いよなあ。

 このパーティ」

「この人一人が突出しているだけではなく、三人ともまんべんなく強いって」

「首狩り娘と鉄壁の姉弟が相方でしょ?

 ヘッドハンティングしようにも、この三人の関係が密過ぎてつけいる隙がなかった、って」

「まあ、無理でしょね。

 姉の方は、この人とつき合っているって聞いたし」

「なんか、あの二人、ひたすらべったりしているっていうしね」


 ヘッドハンティングも、一時期は、とても多かった。

 チュートリアルが終わりかけてから、ダンジョンが解放されるくらいの時期に、ひたすら強そうなプレイヤーに声をかけては自分のパーティに入れる、という行為が流行したのだ。

 少し時間が経てば、そういう手合いは結局、他人の力量に頼ってなんらかの益を得ようとしていることが広まったので、今ではすっかり廃れてしまっている。

 パーティの解散や結成が妙に多かった時期だったし、今では、

「そういうことも、あったね」

 程度の昔話になっている。

 今では、いつでもダンジョンに入れる環境であることも手伝って、

「気心が知れて、ある程度信頼関係が結べる人同士でパーティを組んだ方がいい」

 という風潮に落ち着いている。

 実力は二の次、というか、ダンジョンに入って実戦経験を積めば、地味に成長していくのだから、別に慌てる必要ない。

 そういう意識が、プレイヤー間で共有されるようになっていった。

 かくいうこの三人も、その当時は女子寮チーム(仮)を皮切りにいくつものパーティを点々とし、今のSソードマンに落ち着いている。

 リーダーの奥村はある意味では単純な男だったが、それだけに、こちらが思う方向に誘導するのは楽だった。

 女子だけのパーティだと、なにかとちょっかいを出して来るのが居るので、そういうのの魔除けとしても役に立っている。


「うちら、ようやくレベル九十を超えたくらいだけど」

「うん。

 まだまだ、っていうか」

「トップパーティとの差は、全然、大きいね」

 Sソードマンも、決して弱いパーティではない。

 この時点で二カ所のダンジョン攻略を、完遂している。

 複数のダンジョン攻略に成功したパーティは、この時点で数えるほどでしかない。

 プレイヤー全体で見ても、かなりの「強豪」パーティで、あるはず、だった。

 客観的に見て、その、はず、なのだ。

 それでも。

「こんなのを見せられちゃうとなあ」

 実力差は、大きい。

「この人以外の戦い方も、じっくり見たかったかな」

「姉の方?

 弟の方?」

「とっちも。

 最速と、難攻不落って聞いているし」

「今回のでは、あまり活躍しなかったしね」

「駄目もとで、さ」

「ん?」

決闘デュエル、申し込んでみようか?」

「あー。

 姉の方は、全員瞬殺される未来しか見えないけど」

「弟の方なら、全員でかかれば、なんとか?」

「うーん。

 あの子の防御力がどれほどのものか、ほとんど判断材料がないのがなあ」

「判断材料がないから、それを知るために申し込むんじゃない」

「申し込み、受けてくれるかなあ?」

「そこは、試してみないと」


「なんか、決闘の申し込みがいきなり増えているんだけど」

「へー」

 自分たちのコピーと決闘した翌朝、朝食の席でそんな話題が出た。

「彼方も、かあ」

 遥も、そういって頷く。

「わたしんところも、いくつか申し込みが来ている」

「すごいねー」

 恭介は、素っ気なくいって、味噌汁を啜る。

 正直、完全に他人事だった。

「って、ことは。

 恭介には、来ていない、と」

 彼方は、したり顔で頷く。

「まあ、アレの直後だしね。

 当然の流れというか」

「アレを見たら、普通に敵わないとおもうでしょ」

 遥も、そういって頷く。

「ほとんどの人は。

 キョウちゃんの場合、なんていうか、わかりやすい死角がないんだよね。

 遠距離も近距離もいける。

 その癖、破壊力は強大、って」

「その代わり、防御力は紙同然だけどね」

「でも、昨日のアレを観た後だと、挑戦してくる人はいないと思うよ。

 ほとんど、ボスキャラみたいなもんだし」

「それで、どうしよ?」

「なにが?」

「決闘、受けた方がいいのかな?」

「それは、任せるよ」

 恭介は、遥にそういった。

「お好きにどうぞ、としか。

 当面、毎日ダンジョン攻略するってわけでもないし」

 時間は、以外にあるのだ。

 三人それぞれに拠点内での日課はあるのだが、それもほとんど午前中には終わってしまう。

 ダンジョンに行かない日は、かなり暇を持て余している。

 今のところ、トライデントというパーティ宛てには、決闘の申し込みは来ていない。

 遥と彼方、個々人に来た申し込みについては、申し込みを受けた人が各自で判断するべきだ、と、恭介は思う。

「お好きにどうぞ、かあ」

 遥はいった。

「正直、あんまり気が進まないんだよねえ。

 やっても、こっちにはメリットがない、っていうか」

「ねーちゃんの場合、ほとんどの人は、瞬殺されるだろうからね」

 彼方がいった。

「その点、ぼくの方は、少しは長引くと思うけど」

「相手によりけり、だろうなあ」

 恭介はいった。

「彼方の場合、相手の防御力次第では、多少、時間はかかるかな」

 彼方が他のプレイヤーに敗れることは、まったく想定していない。

 しかし、彼方単独だと、攻撃力が若干見劣りするようにも思える。

 相手の性質次第では、勝負が長引くかも知れない。

「断るにせよ、受けるにせよ。

 相手のことをしっかり見定めて判断する方が、いいと思うよ」

 恭介がそういうと、

「そうだねー」

「そうする」

 遥と彼方が、揃って頷いた。

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