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高校生150名が異世界廃墟に集団転移したようです。みんなは戸惑っているようですが、おれたち三人は好きにやらせて貰います。  作者: (=`ω´=)
ダンジョン篇

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対応策

 恭介と遥は自分たちの周囲を結界術のバリヤーで包み、その上で周囲に沸いて来るモンスターを攻撃し続けていた。

 モンスターはいくら倒しても、間髪おかずに沸いて来る。

 つい先ほどまで手榴弾を遠くに投げることで対処していた遥は、その作業も面倒臭くなって、今ではガトリングガンを設置してまとめて銃撃していた。

 それでモンスターも多少は減ったよぅに見えたが、いぜんとして沸いて来るのでまだまだ終わりが見えない。

「これ、根本的な対策とかないの!」

 銃撃の音に負けないように、遥が、怒鳴るように問いかけてくる。

「そういわれてもなあ!」

 恭介も、怒鳴るようにいい返した。

「どうなればこのモンスター湧きが終わるのか、その条件がわからない!」

 結局、この場を支配するルールを見つけないことには、どうしようもないのだった。

 恭介は、これまで、このダンジョンを支配していたルールから推測すると、なにかしらの「正解」を見つけ、その通りに行動出来ればクリア可能となると、そう見ている。

 しかし、その正解が、思いつかない。

「いっぺんにこのモンスターたちを全滅させる方法とか、ない?」

「ないことも、ないけど!」

 恭介は答えた。

「それをやると、おれたち三人も無事では済まないよ!」

 遥に問われるまでもなく、

「モンスターを一気に片付ける方法」

 については、恭介はすでにいくつか思いついている。

 しかし、そうした方法は結局大きな物理的ダメージを無差別に、周辺にまき散らす方法であり、恭介たち三人もまず巻き添えになる。

 この間、辰のダンジョンマスターを倒した時に、遥はかなりしつこく恭介を批判し、今後のために釘を刺してきた。

 だとすれば、恭介が思いつくような方法に賛同することは、まずないであろう。

「つまり、過激な方法になるってこと?」

「そういうこと!」

「それ以外の方法は?」

「だから、思いつかないって!」

 この場における正解、とは、なんなのだろうか?

 恭介は、今一度考える。

 この申のダンジョンマスターは、どういう状況になれば、諦めてくれるのか。

 次々と沸いて来るモンスターを全滅させればいいのか?

 それはまた、違う気がする。

 これまでの傾向からして、もっととんちの効いた方法を、求めているような。

 恭介は、今の自分に出来そうなことを頭の中で列挙し、次々と検証していく。

「もし、それを、実行したらどうなるのか?」

 と。

 しばし、考えて、

「あ」

 と、小さく呟いた。

「なにか、思いついた?」

「正解かどうかは、わからないけど」

 恭介は、正直にそう告げる。

「これまでとは違うアプローチを、思いつきはした」

 これが正解となるのかどうか。

 これは、実際に試して結果を見るしかない。


 背後から、絶え間ない銃撃の音が聞こえてくる。

 ガトリングガンを出したか。

 と、彼方は思う。

 聞き覚えのある音だった。

 この状況ならば、その対処法も正しいといええる。

 少なくとも、少ない労力で対象のモンスターを効率的に倒すことは出来る。

 彼方はといえば、相変わらず、一本道を次々とやって来る埴輪兵士型のモンスターを倒し続けていた。

 そのモンスターは、彼方の攻撃力と比較するとかなり脆かったので、だいたい一撃でも攻撃が当たれば全身が砕けて倒れてしまう。

 彼方にしてみれば、戦いというよりも単純作業の繰り返しになる。

 いい加減、うんざりしていたところだったから、どうにかしてこの状況を終わらせられないかな、と、先ほどから考えていたところだった。

 妙案は、すぐには思いつかなかったが。

『彼方、聞こえる?』

「聞こえるけど」

 そんな時、遥から通信で呼び出される。

「なにか、状況の変化があった?」

『それは、これから試してみないとわからない、って』

「試すって、なにを?」

『人形を出して、それにモンスターと戦わせてみて。

 戦力が不足するようだったら、人形を作って増やして』

「……なるほど」

 少し考えて、彼方は頷く。

「そのアプローチは、ありかも知れない」

 それがここのダンジョンマスターが求める正解なのかどうか、彼方にはわからなかった。

 しかし、少なくとも、彼方たち三人の労力は大幅に削減される。

 楽には、なる。

 幸いなことに、今、出現しているモンスターたちは、そんなに強くはない。

 不器用な人形たちにも、数体で一体を相手にさせれば、どうにか倒すことは出来るだろう。

 人形たちがコツを掴めば、効率はさらにあがるかも知れない。

「試してみる価値は、あるね」

 彼方は早速、倉庫から十体以上の人形を取り出し、同じく倉庫の中に死蔵されていた武器を持たせる。

 そのほとんどはこれまで、モンスターを倒した時にドロップした鹵獲品になるわけだが、あまり性能がよくないので、これまでは使う機会に恵まれなかった。

 しかし、人形たちに持たせる武器としては、十分だろう。

 剣とか槍とか盾とか弓矢を持った人形たちは、彼方の指示に従って、埴輪兵士型モンスターに向かっていく。

 それぞれ、不器用な動きだったが、人形たちにとって、この手の作業に従事するのはこれがはじめてなのである。

 多少のぎこちなさは仕方がない部分があったし、それに、少し経験を積めば、すぐにコツを掴んで円滑に作業をするようになることを、彼方は知っていた。

 この人形たちとは、経験知とでもいうものを、集団で蓄積していく性質があるのだった。

 それは、これまで、人形たちを使役して来た経験から、わかっている。

 だから。

 今の彼方に出来るのは、人形たちがより戦いやすい環境を整えること、だった。

 人形を増やして、戦力を増強する。

 マーケットからより高性能の武器を購入して、人形たちに貸し与える。

 など。

 人形を使役する立場として、彼方は可能な限りの手を打ちはじめる。

 案の定、最初のうちは埴輪兵士型モンスターに押されていた人形たちは、すぐにコツを掴み、増援の人形が合流する頃には、埴輪兵士型モンスターを次々と倒してその奥に進撃していくようになっていた。

 この通路に関しては、どうやらこちらの人形たちが優勢になったようだ。

 一応、予備選力として、さらに三十体ほどの人形を武装させて、この場に置いておくことにする。

 もしもここを敵モンスターに突破されそうになったら、すぐに伝令を走らせて、彼方に異変を伝えるように指示を出して、彼方は恭介と遥に合流するため、歩き出す。

 さて、あの二人の方は、どうなっているのか。

 なんとなく、想像はつく。

 あの二人なら。


「あ、来た」

 彼方が近づいて来たことを目聡く見つけた遥が、すぐに声をかけて来る。

「そっちの方は、どう?」

「敵モンスターを押し返せるようになったんで、防衛戦として三十体ほどの人形をおいて、こっちに来た」

 彼方は、簡潔に状況を伝える。

「で、こっちは?」

「ま、見た通り」

 遥は、そういって両手を大きく開く。

「自動で迎撃する態勢を作って、これから反撃していこう、ってところ」

 遥の背後では、ガトリングガンが三台設置され、放射状に射線を延ばして敵モンスターを掃討していた。

 さらに、自動小銃やアサルトライフル、手榴弾などを持たされた人形たちが、数十体整列している。

「出来るだけ同士討ちは避け、敵モンスターを片っ端から倒して来て欲しい」

 恭介は、人形たちに指示を出している。

「弾薬などを使い切ったら、この場に帰還してくれ。

 それでは、健闘を祈る!」

 ざ、っと人形たちが恭介に敬礼をして、手にした銃をモンスターたちに向かって乱射しながら、敵群に突っ込んでいく。

 なんだかなあ。

 と、彼方は思う。

 数は多いとはいえ、銃弾程度で倒れるモンスターだから、こういう手段を取ることが可能だったわけだが。

 これで、いいのかな。

 とは、正直、思う。

 少なくとも、通常のダンジョン攻略からイメージされる、戦闘シーンではない。

「おお、彼方。

 来たのか」

 彼方の存在に気づいた恭介が、そういって片手をあげた。

「これで、正解だと思う?」

 彼方は、すぐに恭介に、疑問をぶつける。

「正直にいって、わからない」

 恭介は即答した。

「ただ、こちらにかなりの心理的余裕が出来たのは、確かだな」

「まあ、ねえ」

 彼方は、頷いた。

「それで、これからどうするの?」

「敵モンスターの出現ペースを完全に上回るまで、人形の戦力を増やす。

 モンスターの大群を、完全に無力化する」

 恭介は、答えた。

「そこまでは、決まっているんだけど。

 あとは、相手の出方次第、だな」

「ここで終わりではない、と?」

「これまでの例から考えると、ダンジョンマスターって、そんなに簡単な連中ではないだろう」

 恭介はいった。

「おれたちの立場からいえば、簡単に終わった方が、楽でいいんだが」

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