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高校生150名が異世界廃墟に集団転移したようです。みんなは戸惑っているようですが、おれたち三人は好きにやらせて貰います。  作者: (=`ω´=)
ダンジョン篇

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揚げ物

 夕食を用意する時間となったので、三人で自宅のキッチンに入る。

 しっかりとした設備が整ったので、夕食は揚げ物にするか、ということになった。

 中央広場の屋台とか食堂のメニューとかでは揚げ物を取り入れているのを確認しているが、その多くは冷凍食材かレトルト食品を加工したものになるはずだ。

「せっかくだから、材料から作ろう」

 彼方はそう宣言し、例のイノシシもどきの肉を倉庫から出す。

 これに限らず、モンスターの肉は消費する機会もほとんどないので、余り気味だった。

「それと、これ。

 鳥っぽいモンスターの肉」

 彼方はもう一種類の塊肉を出す。

 こちらは、イノシシもどきの肉とは違って、なんとなく生前の姿が想像出来る大きさと形をしていた。

 ブロイラーよりは、二回りくらい大きい感じか。

 イノシシもどきの肉を適切な大きさに切り分け、鳥っぽい方の肉は、一度小さく切り取ってからゆであげて、三人で味見してみる。

 彼方の鑑定スキルで無害なことは判明しているが、味まではその鑑定スキルではわからない。

「なんだろうな」

「あまり味がしない」

「強いていえば、鳥っぽいけど」

 硬くはないが、これだけでは、おいしいものでもないな。

 という点で、三人の意見は一致する。

 だたったら、ということで、下味は少し濃い目にする。

 一口大に切り分けて、生姜、みりん、醤油、料理酒、玉子などを混ぜた汁につけこむ。

 味が染みるまでの間に、切り分けたイノシシもどきの肉に衣をつけて、熱した油に入れた。

 じっくりと時間をかけて、肉に熱を通していく。

 その時間で、米を研いで炊飯器にセットし、味噌汁を作る。

 つけ合わせのキャベツは、マーケットで買ったカット野菜をそのまま皿に盛った。

 人数が多いので、なにを作るにしても手際よくやっていく必要がある。

 先に線切りキャベツを持っていた皿の上に、あがったカツを細切りにして乗せ、冷めないように再び倉庫に戻す。

 別の鍋に油を入れ、十分に油が暖まったところで、味のついた肉片を入れる。

 カツにしろ唐揚げにしろ、一度に大量の肉片を入れると油の温度がさがるので、いっぺんに大量には作れないのが難点だった。

「フライヤー、用意した方がいいかなあ」

 彼方が、そうぼやく。

 使用頻度はさほど高くはない気がするが、あると便利ではある。

 多少嵩張るが、使わないときは倉庫にでも放り込んでおけばいい。

 むしろ、料理の時短のためには、その程度の投資はしておいた方がいいのかも知れない。


 どうやら人数分の料理が出来た頃、測ったかのように魔法少女隊の四人が訪問してくる。

「おー、お疲れー」

 恭介は、そう挨拶する。

「寅のダンジョン、無事にクリア出来たようだな」

「おかげさんでー」

 赤瀬が、そう答えた。

「浮遊魔法があったので、思ったよりも楽勝でした」

「モンスター、あまり強くなかった」

 緑川も、そうつけ加える。

「それは、ダンジョンマスターも含めて?」

 遥が、訊ねる。

「間合いを取って、空中から四人で大出力の魔法を連発すると、どうにか倒せました」

 仙崎が答える。

「時間こそ、ある程度かかりましたけど」

「近距離攻撃しかないパーティだと、それなりに苦労したんじゃないかなあ、あれ」

 青山がいった。

「こーんな強大なムカデだったんですけどね。

 形からして、毒とか持っていそうだし、生命力も強そうだし」

「わたしらは、攻略完了のアナウンスがあるまで、間合いをとって魔法を連発し続けましたら」

 赤瀬が、いう。

「相手のアウトレンジから攻撃連発しておけば、そんなに怖い敵でもなかったです」

「浮遊魔法と大出力魔法のコンボかあ」

 彼方が、感心したような声を出す。

「それは、たいていのモンスターに有効だよね。

 たまに、魔法がほとんど効かないのも居るから、それだけは警戒しておいて」

「はーい」

「了解」

「承知」

「わかってます」

 など、それぞれに答える四人。

 それから、卓上の様子に気づいて騒ぎはじめる。

「ええ!」

「揚げ物っすか?」

「それも、唐揚げととんかつのコンボだ!」

「ベタだけど、それがいい!」

「ちゃんとしたキッチンが出来たら、揚げ物をやるっていっちゃったからなあ」

 彼方はいった。

「鳥っぽいのとイノシシっぽいの、どっちも現地調達した野生動物が原料だから。

 あくまで、元の料理のパチモンみたいな感じになるけど」

「味は、まあ悪くはないと思うよ」

 遥が、情報を補足する。

「どちらも肉自体には、あまり味がついていないんだよね。

 その意味では、物足りないかも知れない」

「いえいえ。

 ちゃんと、料理の形になっているっていうのが、大事なんですよ!」

 何故か、赤瀬が力説した。

「肉自体よりも、味つけのが重要です!

 その点、三人様の味つけは、これまで外れがないですから!」

「だってさ」

 彼方が他の二人に顔を向けると、恭介と遥は顔を見合わせる。

「だいたい、レシピ通りにやっているだけなんだけどな」

「ねえ」

「入るぞー」

 その時、酔狂連の六人がどやどやと入ってくる。

「いい匂いじゃないか。

 今日はなんだ、揚げ物か!」

 例によって八尾が、挨拶もそこそこに大きな声を出す。

「それはそうと、今度はまた難儀な注文をしてくれたなあ。

 刃渡りが超長い剣、か」

「作るの、難しそうですか?」

 恭介が、確認する。

「難しい部分もあるが、まあ、出来ないことも、ないだろうよ。

 おれには、スキルがあるからなあ」

 八尾は、そう豪語する。

「元の世界でも、そういう長い刀は、ないこともないんだ。

 戦国時代に使ったやつがいたとかいう記録もあるし。

 現存している物は、神社への奉納用として打たれたものではないかといわれている」

「え?」

 遥が、目を丸くする。

「そんだけ長い日本刀って、相当な重量になるんじゃない?

 そんなもの、まともに振り回せるの?」

「振り回したやつもいた、という記録はある」

 八尾はいった。

「その記録がどこまで正確なのかまでは、知らん」

「普通に考えたら、それだけの長物なら、槍なり薙刀なりを使った方が楽だし便利だよなあ」

 恭介が意見を述べる。

「元の世界は、人間の身体能力って、そんなに差異がないわけだから」

「レベルアップまで加味した、こちらの基準だとそうなるよね」

 彼方も、そういう。

「まあ、誤差の範囲かな、って」

 恭介にしても、今回、そうした長物を発注したのは、レベルカンストした身体能力が前提になっている。

「まあ、続きは、食べながらにしようや」

 八尾はそういって、いつもの自分の席に座る。

「せっかくのメシが冷める」

 他の面子も、それに続いた。


「例の注文なんだが、片刃にしてもいいか?」

 食事をしながら、八尾が恭介に確認する。

「技術的にはどちらでも問題はないんだが、片刃の方が若干、重量を軽減出来る。

 それだけ、扱いが容易になると思う」

「どちらでも構わないよ」

 恭介が即答した。

「諸刃でも、片刃でも。

 どちらでも、特に拘りがあるわけでもないし」

「そういってもらえると、助かる」

 八尾が、そう答える。

「刃を研ぐ手間が、半減するからな」

「刃を研ぐのも、スキルじゃないの?」

 遥が質問した。

「スキルでも出来るが、最後の仕上げは手仕事にしておきたいな」

 八尾はいった。

「最後のチェックも兼ねて。

 なんでもかんでもスキル頼りだと、勘が鈍る」

 そんなもんかな、と、恭介は素直に感心する。

 物作り関連のことは、はっきりいってまるでピンと来ない。

「時間は、かかっても構わないから」

 言葉に出しては、そういっておいた。

「こっちも、剣士のジョブ全般に慣れていないし。

 明日辺り、慣らしもかねて、どこかのダンジョンに入ろうかなと相談していたところだけど」

 ダンジョンマスターのところにまでいかなければ、既存の武器で十分に間に合うだろう。

 と、恭介は判断している。

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