表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
高校生150名が異世界廃墟に集団転移したようです。みんなは戸惑っているようですが、おれたち三人は好きにやらせて貰います。  作者: (=`ω´=)
ダンジョン篇

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

128/401

子のダンジョン、攻略

 扉を開けるのと同時に、巨大な直径五メートルほどの火球が発生して中に突入していく。

 続いて恭介は雷撃の魔法もいくつか中に撃ち込み、それからスキルによりステルスモードに移行。

「今ので、半分以上敵が減った」

 システム経由で、彼方の声が聞こえる。

「危なくなったらぼくが割り込むから、二人は好きに暴れてみて」

 遥は、恭介よりも先にステルスモードに移行して、暴れているのだろう。

 残っていたモンスターが、一体、また一体と姿を消していく。

 なら、おれは。

 恭介は杖をZAPガンに持ち替えながら、そう思った。

 ダンジョンマスターっぽいやつを、攻撃しておくか。

 子の迷宮のダンジョンマスターは、ブルドッグみたいな頭部を持った、身長三メートルほどのモンスターだった。

 他のモンスターは、大きくても身長二メートルほどだったから、多分、一番大きなあのモンスターが、マスターなのだろう。

 巨大な盾と剣を手にしているところを見ると、戦士タイプなのかも知れない。

 手にしていた盾は表面が焼け焦げていて、どうやら、先ほどの恭介の魔法攻撃は、あれで防いだらしい。

 恭介がそんな風に観察している間にも、周辺のモブっぽいモンスターがバタバタと倒れていく。

 もう、ハルねーだけでいいんじゃね?

 などと、恭介は思う。

 思いつつ、何度もZAPガンを放ったが、すべてダンジョンマスターの盾によって阻まれた。

 ダンジョンマスターらしい実力は、どうやら持ち合わせているようだ。

 恭介は、ZAPガンを素早く操作して、威力を最大に設定し直した。

 実のところ、このZAPガン、威力を最大に設定して撃ったことは、まだない。

 ここで試してみてもいいか。

 軽く、そう思いつつ、恭介は引き金を引く。

 ダンジョンマスターが持つ盾が、瞬時に、半分ほど消失した。

 無属性魔法、強いな。

 そう思いつつ、恭介は立て続けに引き金を引く。

 ダンジョンマスターは、手に残っていた盾の残骸を恭介の方に投げつけ、その軌道に割り込んだ彼方が盾で敵の盾の残骸を弾く。

 ダンジョンマスターが、吠えた。

 一瞬、体が痺れるような感覚があったが、恭介はそのままZAPガンの銃口をダンジョンマスターに向ける。

 ダンジョンマスターの巨体がこちらに突進して来て、それを、彼方が盾で受け止めた。

 重い、厚みのある音が、あたりに響き渡る。

 恭介が引き金を引くと、ダンジョンマスターの頭部が消失した。

 その頃には、周辺に散らばっていたモブっぽいモンスターも遥に掃討されている。

 恭介は、残ったダンジョンマスターの体にも、何度か引き金を引く。

 戌のダンジョンマスターのように、再生能力を持っていることを危惧していたため、ここで手心を加える必要は感じなかった。

 何度か引き金を引いて、ダンジョンマスターの体が完全に見えなくなった頃。

 ようやく、頭の中にメッセージが響いた。


『子のダンジョンが攻略されました』


「攻略完了、なのか?」

「攻略完了、だねえ」

 恭介と彼方は、顔を見合わせて頷き合う。

「ってえことは、このダンジョン、推奨レベル九十以上、ってことなのかな?」

「これまでは、ね。

 これからは、もっときつくなってもおかしくないけど」

「一度クリアしたから、難易度の調整、入るかあ。

 他のプレイヤーに、怨まれるかな?」

「他のダンジョンは、ここよりは緩いようだし。

 大丈夫じゃないかな?

 それに、きついダンジョンで苦労してレベルあげしておくのも、プレイヤーにとっては悪いことではないよ」

「あっちになんか、宝箱が出ているんだけど」

 ステルスモードを解除した遥が、二人に声をかける。

「あれ、開けちゃっていいかな?」

「三つあるから、三人で同時に開けよう」

 彼方が、慌てて提案する。

「攻略完了のアナウンスがあった以上、トラップはないと思うけど」

 三人は宝箱の前まで進み、いっせいの、と合図をして、一気に蓋をあげる。


 三人が子のダンジョンから出ると、順番待ちをしていた人が、無言で三人を見守っていた。

 おそらく、だが。

 と、恭介は考える。

 ここのところ、このダンジョンでは、一度中に入っても、ごく短時間のうちにダンジョンの外に帰還してくるのが「普通」のプレイスタイルだった。

 ところが恭介たちは、最初のアタックで一時間以上の中に入り続け、結果、いきなりダンジョン攻略を終わらせてしまっている。

 攻略終了のアナウンスは、プレイヤー全員に通達されるわけで、誰がやったのか、間違えようがない。

 呆れ。

 恐れ。

 戦慄。

 そういった感情が錯綜して、どう言葉をかけていいのか、迷っているのだろう。

「お、お疲れ」

 手前のプレイヤーが、ぎこちない笑みを浮かべて、ようやくそんな言葉を絞り出した。

「お疲れ」

「お疲れ」

「お疲れ」

 残りのプレイヤーたちも、強ばった表情で、そう続けていく。

 なんだかなあ。

 と、恭介は思う。

 周囲は、思いっきり微妙な雰囲気に覆われていた。


 三人は適当に返答しながらマウンテンバイクに乗り、そのまま逃げるように拠点へと向かう。

 なぜだか、いたたまれない気分になっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
さぁお家を作ろう みんなは戸惑っているようですが、おれたち三人は好きにやらせて貰います。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ