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高校生150名が異世界廃墟に集団転移したようです。みんなは戸惑っているようですが、おれたち三人は好きにやらせて貰います。  作者: (=`ω´=)
ダンジョン篇

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結果、タイムアタック

「おい、あれ」

「破壊の射手に首狩り娘、鉄壁まで揃っている」

「本物の、トライデントが来ている」

 三人が到着すると、先にダンジョン前で順番待ちをしていたプレイヤーたちが、ざわめきはじめた。

「やつら、こんなところまで、なにをしに来たんだ?」

 三人は、マウンテンバイクから降りてそれを倉庫の中に収納する。

「失礼な」

 遥が、小声で呟いた。

「プレイヤーがダンジョンを攻略しに来て、なにが悪いってーのよ」

「こちらに直接いって来ているわけではないからなあ」

 恭介は、あくまで鷹揚な態度を崩さなかった。

「無理に相手をしなくても、いいんじゃね?」

「まあ、そうだよね」

 彼方も、その意見に同意する。

「ぼくらはあくまで、ダンジョンに用事があるだけだし。

 彼らも、仲間うちで話しているだけで、別に悪意があるわけではない、はずだし」

「暴れるのなら、こんなところじゃなくて、ダンジョンの中に入ってからな」

 恭介は、遥に耳打ちする。

「こんなやつら相手にしても、メリットなんもないから」

「そこまで馬鹿じゃないし」

 遥は、いった。

「それくらいの分別、あるわ」

 その割には、語気が強い。


 三人の前には、三つほどのパーティが順番待ちをしていたが、そんなに待つこともなく三人の出番となった。

 おそらく、

「中に入って、二戦か三戦して、すぐに出る」

 パターンが、続いたのだろう。

 安全にプレイヤーの成長を促すための方策としては、それでいい。

 だが、そういうプレイヤーばかりだと、いつまで経ってもダンジョンの攻略は出来ないだろうな。

 と、恭介は思った。

「順番待ちの連中、レベル七十を少し超えたくらいだったね」

 子のダンジョンの中に入ると、すぐに鑑定スキルを持っている彼方が伝えてくる。

「つまり、このダンジョンは、そのレベルのプレイヤーだと、あまり長持ちしない難易度、ってこと。

 二人とも、気をつけてね」

「ほい」

「了解」

 遥と恭介は、軽く返事をした。

 三人とも普段着から着替えていなくて、かろうじていくつかの装備を身につけている。

 武器は、当然手に持っていた。

 三人とも、モンスター相手に素手で格闘する趣味はなかったからだ。

「ねーちゃん、わかっているよね。

 今日は、あくまで様子見だからね」

 彼方は、繰り返し強調する。

「あんまり本気にならないでよ」

「わかっている、わかっているって」

 遥は、反射的にそう返答していた。

「でも、はい!」

 遥は、その場で短剣を投げつけた。

 ぐげぇ!

 みたいな断末魔の悲鳴が聞こえ、どさりとなにかが倒れる音がする。

「モンスターの方から出向いてくるんだから、手を抜くわけにもいかないっしょ」

 涼しい顔をして、遥はそう続ける。

「あの距離で、一撃かあ」

 恭介は、素直に感心している。

「このダンジョンのモンスター、強めじゃなかったっけ?」

「レベル七十程度には、ってことでしょ」

 彼方がいった。

「ああ、ねーちゃん!

 一人で先にいかない!」

「だって、当分、なににも出くわさないよー」

 すでにかなり距離を取っている遥は、遠くから声を返してきた。

「ハルねーの察知スキル、かなり遠くまで見通すからなあ」

 恭介は、そういって遥のあとを追った。

「しゃーないねー」

 不服そうにそういってから、彼方も二人のあと追う。


 それからしばらくは、遥の独壇場だった。

 一人で先行して、一人でモンスターを倒しまくっている。

「いや、ちょっと、歯ごたえがなさ過ぎるんだが」

 などと、独語もしていた。

「止める?」

「止めて、止まると思う?」

 恭介が彼方に確認すると、彼方はそう返した。

「幸い、このあたりはそんなに危険なモンスター、出てこないようだし。

 しばらく、好きにやらせておこう」

 ため息混じりに、彼方はそうつけ加えた。

「卯のダンジョンで、フラストレーション、溜まっているみたいだし」

「確かに、さっきのは不完全燃焼だったしな」

 恭介も、そういって頷いた。


「あ」

 遥がいった。

「下のフロアに降りる階段、見つけてしまった」

「早いよ」

「まだダンジョンに入って、十分くらいだよ」

 恭介と彼方が、立て続けに反応する。

「なんか、イージーな展開だな」

「トラップ、ってことはないよね?」

「中に入ってみればわかる」

「それでは、彼方。

 先にどうぞ」

「どうして?」

「わたしら二人は、ジョブ的に紙装甲だし」

「まったく、こんな時ばかり」

 ぶつくさ文句をいいながらも、彼方は二人に先行して階段を下りていく。


「まだ進む?」

「進むでしょ、それは」

「時間的に、まだ入ったばかりだしな」

 恭介はそういった。

「今度は、おれがアタッカーやるよ。

 ハルねーは、敵を見つけたら方角と距離、教えてくれる」

「りょーかい!」

 今度はZAPガンを構えた恭介が、先頭になって進んでいく。

「二時の方向、二百メートル先」

「はい」

「十一時半、三百五十メートル先」

「はい」

「それ、本当にモンスター倒している?」

 彼方が、確認する。

「倒れているよ」

「倒しているよ」

 遥と恭介が、同時に返答した。

「いやまあ、うまくいっているんなら、それでいいんだけれど」

 彼方は、そういった。

「こんなに楽に進んでて、いいのかなあ」

 彼方は自覚していなかったが、この時点で遥も恭介もこのダンジョンに出没するモンスターの耐久力と比べ、圧倒的ともいえる攻撃力を持っていた。

 遥の索敵能力と組み合わせると、ほぼ瞬殺になる。


 さらに十数分後。

「また階段を見つけてしまった」

「いいのかなあ。

 先に進んで」

「少なくとも、敵の気配はしていないね」

 ということで、三人は階段を下りてさらに先に進む。

「今度はぼくが、先行するからね」

 彼方が宣言した。

「ねーちゃん。

 敵をみつけたら、ナビよろしく」

「それはいいけど、あんた、遠距離攻撃出来たっけ?」

「これ」

 彼方は、倉庫から取り出したZAPガンを遥に見せる。

「恭介ほど、威力は出ないかも知れないけど。

 この手の武器にも、慣れておかないとね」

「了解。

 では早速、零時三十五分の方向、二百メートル」

「ここ、あたりかな。

 ん。

 やはり、二度か三度当てないと、倒れないか」

「いやいや。

 最初にしては、上等じゃないか」

「なるべく距離がある状態で敵の位置を教えるから、焦らず何度でも当てていこう」


 などということを繰り返し、さらに一時間二十分後。

「ここまで、何階層下りたっけ?」

「十二階くらいまでは数えていたけど、それ以降はおぼえていないな」

「ここまで、モンスターの姿を見ていないし、近接戦も一度もしていないんだけど。

 いいのかなあ、これで」

 巨大な扉を前にして、三人はそんなことを囁き合う。

「これ、雰囲気的に、このダンジョンマスターが待ち構えているパターンだよねえ」

「今日、様子見だけっていっていなかった?」

「ここまで来たら、最後までいくのが正解だろ」

 恭介がいった。

「正直、また同じように歩き直すの、骨だぞ」

「それもそうだよねー」

「まあ、ここまで着いちゃった以上、最後まで挑んでみるか」

 遥と彼方も、そういって恭介の言葉に頷いた。

「それじゃあ、準備して」

 彼方がいうと、恭介は倉庫から杖を取りだし、遥はゴーグルを身につける。

「扉を開いたら、一発大きなのをお見舞いする」

 恭介が杖を構えて、そう宣言する。

 遥と彼方が頷いて、両開きの扉に手をかけ、開いた。


 戦闘が、はじまる。

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