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高校生150名が異世界廃墟に集団転移したようです。みんなは戸惑っているようですが、おれたち三人は好きにやらせて貰います。  作者: (=`ω´=)
ダンジョン篇

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仮の宿

「悪いなあ。

 なんだかんだで、手伝って貰うような形になって」

「いやあ。

 別に、こいつの試射のついでだから、いいですけど」

 八尾にそう話しかけられ、恭介は答える。

「あちらの方々、大丈夫ですか?

 だいぶお疲れのようですが」

 少し離れた場所で、浅黄姉妹と桃木が地面に座り込んでいる。

 三和は、その近くに立っていて、疲れた様子をしていたが、流石に座り込んではいなかった。

「まあ、普段運動してないやつらだからな。

 気疲れでもしたんだろう」

 八尾は、ことなげにそういう。

「レベルアップして身体能力が向上しても、慣れていない作業は疲れる。

 その、精神的に。

 豆を一つ一つ箸で摘まんで隣の椀に移す作業は、誰にでも出来るが、ずっとそれをやり続けると疲れもする。

 それと同じようなこと、なんだと思う」

 なるほど。

 と、恭介は思う。

 今、座り込んでいる人たちがこれまでにやっていたのは、八尾や恭介が伐採した木の幹や根を自分の倉庫に入れる作業だった。

 運動量としてはたいしたことがない、そのはずであったが、そのかわり、結構頻繁に走って行ったり来たりする。

 慣れない運動をして気疲れした、という線は、十分にありそうに思えた。

「基本的にインドアで、体育の授業以外で運動らしい運動をしてこなかった連中だからなあ」

 と、八尾は、恭介に説明する。

「一人、本物の引きこもり不登校児が混ざっているし。

 まあ、たまになら、いい経験だろう」

 八尾がそういうのなら、そのままにしておいても大丈夫、なのかも知れない。

 見ると、浅黄青葉が座り込んだまま何もない空間に手を伸ばし、ぐいっと引いている。

 なにをしているのか、と、不審に思っていたら、引き込んだ手の中に青に物体があって、浅黄青葉は即座にその物体、うぃを抱きしめた。

「おい」

 思わず、恭介が声をあげる。

「今、なにをやった?」

 恭介の目には、なにもない空間から、浅黄青葉がうぃの体を引きずり出した。

 ように、見えた。

「姉貴、これでも分析者ですから」

 妹の浅黄紅葉が、申し訳なさそうな顔をして、説明してくれる。

「魔力の微細な流れとか、そういうのに、結構敏感で。

 で、この子のことも、ここいらへんにいそうだなーって手繰って、ぐいっと引っ張り出したのではないかと」

「そんなことを出来るとは、知らなかったよ」

 恭介はいった。

「ってか、うぃ、普段はそこいらに隠れているの?」

「隠れている、っていうと、少し語弊がありますね」

 紅葉が説明してくれる。

「どうやらこの子、わたしたちの目に見えるこの状態の方が、どちらかというと不自然で。

 普通は、周囲に溶け込んでいるような存在らしいですから」

「そうなの?」

「昨日、姉貴の感知した情報と総合して考えると、多分、そういうことなんだろうな、と」

 そう口にする紅葉の表情から、いまひとつ確信がない状態が読み取れた。

 おそらく、だが、まだうぃに関するデータが出そろっていなくて、確証が持てるところまでいっていないのだろう。

「まあ、野生の精霊(?)、らしいからなあ」

 恭介は、それ以上の追求を諦めた。

「今のところは、そういう存在だと認識して受け入れるしかない、か」

 見ると、青葉はうぃを抱きしめて頬ずりし、その毛並みの感触を存分に楽しんでいる最中だった。


「適当に土を詰めただけですから、まだまだ中に空間が残っているかも知れません」

 足元の地面を蹴りながら、彼方が三和に説明している。

「重量物などを置く前に、一度しっかり地固めをしておく方がいいと思います。

 ああ、それと、この上に水とか流したら、一気に陥没とかするおそれがありますんで、その点にも気をつけてください」

 今日、土を盛ったのは、あくまでその上を歩くため、だった。

 この上に建物を建てたり、水を使ったりするためには、まだまだ工程を踏む必要があるのだろう。

「地盤固めなど、本格的な作業は明日以降にするつもりだが。

 まあ、一日二日、宿泊する分には、現状でも十分だろう」

 三和はいった。

「プレハブと仮設のトイレなんかを置いて、建築作業が終わるまでの仮設拠点に使うつもり。

 明日は、ほじくり返して浄水槽を置いたり、排水路を確保したり、かな」

「やっぱり、処理済みの水は、一時的に貯水池にでも溜めておくつもりで?」

「そうなるかなあ。

 そこから、外に流出させる水路も、いずれは作ることになるだろうけど」

「工業用水とか、出て来ます?」

「いや、具体的な水量としては、ほぼ生活用水のみだと思ってくれれば。

 生産の現場で水を使うことは、今の時点では予定していない」

「その程度の水量なら、森の中を抜ける形で水路を掘っても構いませんよ。

 そのまま、外の空堀にでも流してくれれば。

 水路の分の土地は、賃貸契約外ということで」

「そういって貰うと助かるな。

 そうなると、重機はもちろんだが、ロードローラーくらい揃えておいた方がいいのか」

「重機は魔法少女隊が、ロードローラーは生徒会が持っています。

 向こうが使っていない時なら、交渉すれば貸してくれるかも知れません」

「それは、知っている。

 ただ、市街地の方も、当面忙しそうだからなあ。

 やはりここは、自前で揃えておいた方が面倒がないか」

「その程度の購入資金は残っていますが」

 桃木マネージャーが口を挟んでくる。

「でもそういった器機は、使い終わってしまえばそれまで、ですよね?

 無駄が大きすぎませんか?」

「その場合、生徒会や他のパーティにでも売却、ないしはレンタルすればいいのでは?

 まだまだ、そうした用途は続くと思うが」

「……それも、そうですね」

 少し考え込んでから、桃木マネージャーが頷く。

「市街地方面の整備も、すぐには終わらないだろうし」

「面積があるし、それに、あちらは手を入れなければならない場所が多いからな。

 整備事業とダンジョン攻略、しばらくはその二つが、生徒会活動の大きな柱になると思う」

「おい、三和」

 八尾が、声をかけてきた。

「今日の作業は、これで終わりってことでいいんだな?

 今夜の寝床出して、作業も再開したいんだが」

「ああ、好きにやってくれ」

 三和が、そう返答する。

「くれぐれも、事故にだけは気をつけて」

「わかってる!」

 そう答えて、八尾は開墾したばかりの土地の隅に移動し、そこで大きめのプレハブを倉庫から出して、安置する。

「水平とか、取らないんですか?」

 彼方が、疑問を口にした。

「ほんの数日の、仮の宿になる予定だからな」

 八尾は、そう返した。

「こんなもんは、適当でいいんだよ。

 手を抜くべきところは、抜く」

 豪快ではあったが、それなりに理に適った理屈でもある。

 八尾がもう一つ、プレハブを設置すると、酔狂連の女子組がすぐに中に入っていった。

 どうやらそちらの棟が、当面の女子の宿舎になるらしい。

 と、いうか。

「もう、今日からこちらに泊まるんですか?」

 恭介が、三和に訊ねる。

「いちいち、市街地まで戻るのも手間だしね」

 三和は、そう答えた。

「なにか用事が出来れば、生徒会あたりから呼び出しの連絡が来ると思う」

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