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熾天使さんは傍観者  作者: 位名月
境界に立つ

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修学旅行2日目:朝礼

 朝の散歩を終えて部屋のみんなと合流して布団の片付けを済ませる。昨日僕が眠った後もコソコソと話していたらしくて眠そうな目をこすっているみんなとホテルのロビーに向かう。


 「みんな結局何時まで起きてたの?」


 「あ゛〜…何時だったけなぁ…先生が2回目の見回りに来た時に隠れてそのまま寝ちまったんだよな」


 「見学中に寝たいとか言い出さないでよね?」


 「おうそれは大丈夫だ。てか今日の予定ってなんだっけ?」


 顔を叩いて眠気を覚まそうとしているケンに聞かれて、昨日の班長会議で言われた内容を思い出す。…ていうか昨日も一応言ったんだけどな。


 「今日は神様の歴史博物館と龍災の資料館を見に行くんだよ。昨日の夜も言ったんだけど、聞いてなかったでしょ?」


 「おう!悪りぃな!」


 「まぁそんなことだろうと思ってたけどさ…」


 昨日に比べて勉強寄りの内容だし、興味なかったんだろう。しっかり調べれば色々参考になるし面白いんだけどなぁ。


 そんなことを考えながらロビーに入ると、すでに半分ぐらいの生徒は集合していた。ただ少し違和感があったのが、さっき散歩の前に会議をしていた先生達が半分程しかいなかった。


 「ん?先生達寝坊か?」


 「そんなことないよ、僕が朝散歩してた時には全員集まって会議してたから」


 「そうなのか…ってか散歩するんなら誘ってくれよ」


 「僕が普通に準備してたのに起きなかったのはそっちでしょ?」


 「そりゃそうだけどよ…お、西園達も来たみたいだな」


 そう言ったケンの視線の先を見れば、散歩の時に見たジャージ姿から着替えた流奈ちゃん達班の女子達がロビーに入ってきた。僕らを探している様子の3人に手を振るとこちらに気付いたようで手を振り返してくれながらこちらに歩いてくる。


 「3人ともおはよう、さっきぶりだね」


 「おはよう皆、葵くんもさっきぶり」


 「ん?アオ達さっきぶりってなんだよ?」


 「あぁそれはさっき流奈ちゃんと早乙女さんと椿さんが…」


 「葵くん!ちょっといいかしら!」


 ケンにも3人がクラブの練習を頑張ってたことを教えようと思ったところで、急に早乙女さんに強く手を引かれてケンと零君から引き剥がされてしまう。


 「早乙女さん?急にどうしたの?」


 「その、ごめんなさいね急に引っ張ってしまって」


 「それは大丈夫だけど…」


 僕がそうして話の続きを促すと、早乙女さんは口をもごもごさせて話ずらそうにしながら小さな声で話し出す。


 「えっと…さっきのことはあんまり桂くん達には言わないでほしいの」


 「え?どうして?」


 「だってその、旅行先でも練習してたとか…私たちジャージで汗まみれだったし…本当は葵くんにも見られたくなかったんだけど」


 聞こえるか聞こえないかの声で顔を赤らめながら話す早乙女さんは、普段の落ち着きのある様子とのギャップが大きくてなんだか可愛らしく見えた。


 …とにかく、確かに年頃の女子からしたらそんなところ見られたくはないのかな。散歩の前にあった時に逃げるように部屋に戻って行っちゃったのもそういうことだったのか。


 「…そっか、わかった。ケン達には黙っておくよ」


 「そうしてくれるとカナも流奈も助かるわ」


 「…でも、そんなに恥ずかしがることでもないと思うけどね。みんな頑張っててすごくかっこいいよ」


 「…そうかしら?ありがとう」


 「あはは…戻ろっか」


 …余計なこと言ったかな?僕も鍛錬の後は汗だくになるし頑張ってる感じで全然いいと思うけど。早乙女さんは僕から顔を背けてそそくさと戻っていってしまった。


 「アオ?結局何だったんだ?」


 「ん?いや別に…あ、それより朝礼始まるみたいだよ」


 「お、そうか?先生は全員揃ってないみたいだけど…」


 「はーい全員いるかなー?」


 ちょうどいいタイミングで先生の声がロビーに響き、生徒達が一斉に静かになる。ケンの言葉通り姿が見えない先生はいるものの、修学旅行2日目の朝礼が始まった。


 昨日はトラブルまみれだったし、今日は普通に楽しめるといいなぁ…。


 「え〜、突然ですが!今日の予定が少し変わることになりました!」



 …えぇ?


色々と思うようにいかない


閲覧、ブックマーク、評価やいいねして頂けた方、誠にありがとうございます。

感想も励みになっています。誤字報告も助かります。


作者プロフィールにあるTwitterから次話投稿したタイミングでツイートしているので気が向いたらどうぞ…

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