修学旅行修学旅行1日目:土産屋での邂逅
バリ体調崩しました。
班のメンバーに新しくゆずが加わった僕らの班は、自由行動の最後の目的地である神様の住居を巡っていた。神様の住居とは言っても基本的に神様は人前に出ることはなくて、僕らも別に神様に会うのを目的に来たわけじゃない。
「こんな木の建物が1000年も残ってるなんてすごいよね…」
「だね、龍災の時は流石に神様が守ってたらしいけど。それでもこうして残ってるのはすごいよね」
神様の住居は約1000年前に建造されたもので、木造建築がほぼ存在しない現在では長い時間残っている建物自体に歴史的な価値がある。神様は普段奥にある住居スペースで暮らしていて、一般開放されているのは参拝用の建物だ。
「にゃ!」
「どうしたのゆず?ゆずも見たい?」
「にゃ…」
何かゆずが興奮していたからゆずも建物が見たいのかと思ったけど、どうやら違ったらしい。肩から腕の中に持ってきてよく見えるようにしてあげたら、なんだかがっくりしたように静かになってしまった。
「き、気難しい子みたいだね…?」
「にゃ?…にゃ」
零君がそんなことを言いながらゆずに手を伸ばすと、僕以外の相手では珍しく大人しく体を触らせていた。そんな様子を見てケンが目を見開いて驚いてからがっくりと肩を落とす。
「くそぅ…俺の何がいけないんだ…」
「桂がガサツなのは動物にもわかるんでしょ」
「なんだと?そう言う西園もゆずに触らせてもらえてねぇだろ!」
「わ、私は…!まだ慣れてもらってないだけだし…」
「あ、あはは…」
流奈ちゃんとケンのやりとりを見ながら、ゆずに普通に触れている僕と零君は気まずくなりながら目を見合わせる。…でも実際、僕と零君はなんで普通に触らせてもらえるんだろう。
「…にゃ!」
「わっ…とと」
僕の腕の中で丸くなっていたゆずが、肩を落としているケン達を尻目に僕の肩に跳んでくる。やっぱり定位置は肩がいいらしい。
それからゆずを肩に乗せたままでしばらく神様の住居の中を巡って、周辺のお土産屋さんを回ることになった。京都で有名な和菓子の店や、雑貨が並んだ通りをみんなで歩く。
「なぁアオ、この木刀って何に使うんだ?」
「…訓練用とか?」
「なんで土産屋に?」
「…買うの?」
「流石に邪魔になるから買わねぇ」
なぜか置いてある木刀なんて一昔前の訓練器具を見つけて試しに振って耐久性のなさを確認したり…。
「わぁ!このハンカチ綺麗!」
「昔からある織物らしいね。なかなか見ない素材だけど…」
「手触りも良いよ!これ買っていこうかな…」
「良いと思うよ。僕もお土産で買っていこうかな…」
綺麗な布のハンカチを見つけてお父さんとお母さん用のお土産で買ったり…。
「葵君!これ美味しいよ!食べてみて?」
「ん、ありがとう…美味しいね!」
「でしょ?睦橋って言うんだって」
「へぇ〜…生のやつってどれぐらい日持ちするんだろう?」
「結構持つみたいだよ?すぐ家に送っちゃえば大丈夫だろうし」
「それもそっか」
美味しいお菓子を買ったり…。普段見れないものを見つけたりして楽しくお土産屋さん巡りをしていた時に、零君が店の角で何かを見て止まっていた。
「零君?何かあったの?」
「あ、葵君…。葵君はこれ何に使うか知ってる?」
そう言って零君が見せてきたのは、厚さ1mmあるかないかの薄い板だった。手のひらに収まる縦長のサイズで、上の部分には紐が付いている。金属の縁で中はいろとりどりのガラスで彩られていた。
「ん?…なんだろうこの薄い板。これ、神様の住居の模様だよね?」
「うん、ステンドグラスみたいで綺麗だし置物にいいかと思ったんだけど…」
「名前は…しおり?」
「う、うん…そんなに高くないけど、聞いたことない名前だったから不思議で」
値札に書かれていたのは、僕らのお小遣いでも十分買える安めの値段と見覚えのないしおりの文字だった。僕がどこかで聞いたことのあるような名前に頭を捻っていると、後ろから知らない人の声で話しかけられた。
「そこのお二人、どうしましたか?」
「「?」」
僕と零君がその声に揃って振り向くと、いかにも老紳士然とした格好の人の良さそうな男性が立っていた。
1時間仮眠したと思っていたら13時間寝ていた時の驚きよ
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作者プロフィールにあるTwitterから次話投稿したタイミングでツイートしているので気が向いたらどうぞ…




