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熾天使さんは傍観者  作者: 位名月
境界に立つ

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修学旅行1日目:出発

 「葵君!おはよう!」


 後ろから聞こえた元気な声に振り向くと、大きな荷物を抱えた流奈ちゃんが歩きにくそうにしながらこちらに手を振っていた。


 「おはよう流奈ちゃん」


 流奈ちゃんも修学旅行が楽しみなのか、にこにこと嬉しそうにしながらこちらに駆け寄ってくる…が、


 「きゃっ!」


 僕の目の前で段差に躓いてしまう。咄嗟に引いていたキャリーケースを手放しながら流奈ちゃんの体と荷物を支える。


 「おっと…大丈夫?足挫いてない?」


 「だ、だいじょうぶ!ごめんね…!」


 僕に支えられていた流奈ちゃんは何が起こっているのかわからない様子で、僕に声をかけられてようやく状況を理解する。咄嗟の事とはいえ体に触ってしまったからか、流奈ちゃんは恥ずかしそうにしながら僕から離れる。


 「流奈ちゃんが怪我してないなら良かった。旅行の最初から怪我したら、ちゃんと楽しめないもんね?」


 「う、うん…葵君、ありがとう」


 申し訳なさそうにしている流奈ちゃんに笑顔で返しながら、さっき手放して転がっていたキャリーケースを拾って流奈ちゃんの荷物を肩にかけて歩き出す。そうした僕に流奈ちゃんは慌てた様子で口を開く。


 「あ、葵君!流石に私の荷物を持ってもらうのは悪いよ!」


 「ふふ、大丈夫。これでも結構鍛えてるんだよ?なんなら流奈ちゃんも運んで行こうか?」


 「…〜っ!も、もうっ!」


 恥ずかしそうに顔を赤らめる流奈ちゃんをからかいながら学校へ向かう。校庭には既に結構な人数が集まっていて、その中には珍しくケンの姿もあった。


 「おっす葵!遅かったな!…っと西園もおっす!」


 「ケンが僕より早く来てるなんて…明日は雨かな?」


 「桂…あんたさては寝てないでしょ?」


 「お前らヒデーな?!」


 ケンってば、こう言う時は元気なんだから…。そんなことを思いながら軽口を言い合うケンと流奈ちゃんを眺めていると、ふと流奈ちゃんの口調が僕と話す時より荒っぽくなっていることに気づく。懐かしいなぁ、流奈ちゃんは昔は僕にもこんな感じで強気だったなぁ。流奈ちゃんもケン相手の方が素が出せてるってことなのかな?


 「二人とも仲良いねぇ」


 「「それはない(ねぇ)!」」


 「ほら息ピッタリ」


 「「…」」


 二人して同時に渋い顔で睨み合うケンと流奈ちゃんに思わず笑いながら、二人に荷物を置きに行くと言ってその場を離れる。宿泊用の荷物は朝に集めて現地に送ってもらえることになっていて、既に先生が荷物を集め始めていたのでそこに流奈ちゃんの荷物も一緒に持って行く。


 「あ、佐々木君おはよう」


 「ふ、双葉君…おはよう…」


 荷物を置きにいった先で佐々木君と鉢合わせる。佐々木君は遠慮がちに僕の目をチラチラと見ながら挨拶を返してくれる。先生に荷物を渡してケンと流奈ちゃんのところに戻っている途中で佐々木君の方を見ると、佐々木君も僕を見ていた様でバッチリと目が合う。


 「あ!え、えっと…他の人は…もう来てるのかな…?」


 「う〜ん、どうだろう?さっきケンと流奈ちゃんとはあったけど、早乙女(そおとめ)さんと椿(つばき)さんはまだ見てないんだ」


 「…そ、そうなんだ?」


 佐々木君の方から声をかけてくれたことにはびっくりしたけど、僕の返答を聞いて短く返した佐々木君は目線を下げて黙り込んでしまう。班が決まってからずっとこうだけど、それでも佐々木君は頑張って話そうとしてくれてるし僕も頑張らないと!


 「佐々木君は昨日はちゃんと寝れた?」


 「!…え、えっとあんまり?」


 「大丈夫?もしかして楽しみで寝れなかった?移動中眠かったら寝ちゃっていいからね?」


 「う、うん…ありがとう双葉君」


 短いながら会話をしながらケンと流奈ちゃんの元に戻ると、さっきはいなかった班員の早乙女さんと椿さんの姿もあった。…この二人も流奈ちゃんの友達だし悪い子じゃないんだろうけど、なんでか僕相手だとうまく話せないみたいなんだよなぁ。やっぱり僕って話すの下手なのかなぁ?


 「早乙女さん、椿さん、おはよう」


 「あっ、葵君!おはよう!」「おはよう葵君っ!」


 なんでか二人とも僕と話す時だけすごい頑張ってる感じが伝わってくるんだよなぁ…。そんなことを思いながらも全員揃ったのを確認して先生に報告しに行く。…なんで僕が報告しに行くかと言えば、話し合いの流れで何故か僕が班長になってしまったからだ。みんなと自然に話せるケンの方がいいと思ったんだけどなぁ。


 そんなことを考えながらみんなと話していると、時間になったようで先生が大きな声で号令をかける。


 「はーい!みんな整列してー!」


 ソワソワした様子の皆が整列して先生達の話を聞く。遠足や宿泊学習恒例の校長先生の話を聞きながらも、みんなどこか落ち着かない様子だった。


 「…ですから、神様に失礼のないようにみなさん6年生として恥ずかしくない行動をしましょう!」


 校長先生の話が終わり、出発の時間がやってくる。修学旅行に同行しない先生や保護者の人に見送られて、僕達は学校を出発する。僕らが向かう先は、旧都「京都(ケイト)」。はるか昔から、実際に神様が住んでいる場所だ。


ケイトって中学校の英語の教科書に出てきそうな名前っすよね


閲覧、ブックマーク、評価やいいねして頂けた方、誠にありがとうございます。

感想も励みになっています。誤字報告も助かります。


作者プロフィールにあるTwitterから次話投稿したタイミングでツイートしているので気が向いたらどうぞ…

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