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熾天使さんは傍観者  作者: 位名月
断章:セラス、異世界に立つ

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集団戦・性能テスト

 四方八方から飛びかかってくる狼と猿の仮想体に応戦しようとする蒼を一旦手で制して、僕は拳を構える。


 「最初は僕だけでやるから、蒼は上手く逃げてて?」


 「ワウッ!」


 短く僕に答えた蒼は、大きく跳躍して雪崩れ込んでくる仮想体の波を飛び越えて僕から離れる。仮想体が多すぎて蒼が見えないけど、あの子なら上手くやってくれるだろう。…さて、それじゃあ僕も始めるか!


 「〈破壊〉!」


 構えていた拳に『破壊』の異能を纏わせて、手始めに大きく口を開いて僕に向かって飛びかかってきていた狼型の仮想体にストレートを叩き込む。


 「ふっ!」


 「…!」


 口の中に突っ込むように放った右の拳は、狼が鳴き声を上げる前に顔面から背中にかけて突き抜けていく。みたらし団子のゴミと同じように極小の粒子になって頭のあたりが崩壊して、拳大の大きさで不格好に体の一部を抉られた狼はそのまま崩れ落ちていく。


 「…キィーッ!」


 「バウバウッ!」


 その様子を見た周りの狼と猿は警戒したような鳴き声をあげて僕から一定の距離をとり始める。…ただ、さっきの対応で君たちの司令塔がどの子かわかっちゃったぞ?


 「ふんっ!」


 「キィッ?!」


 手始めに、さっき周りの猿に指示を飛ばしていた様子の猿に向かって一息で飛び込む。その途中にいた猿と狼も突き出していた拳で消し去って吹き飛ばしながら進み、ボス猿の目の前まで一気に到達して拳を振り上げる。


 「ウキャッ!」


 「…流石に気付くよね」


 ボス猿は僕が振り下ろした拳を触らないように、腕を弾くように受け流して距離をとってくる。やっぱりある程度の知能があれば拳を避けるよな。そんなことを考えている間にも、距離をとったボス猿との間に周りの猿と狼が雪崩れ込んでくる。


 「対応策そのいちっ!ゴリ押し!」


 「キャッ?!」「キャウンッ!?」


 僕の拳を避けて攻撃しようとしてくる狼と猿に、身体能力のゴリ押しでガードを無視して無理やり体に拳をねじ込んで行く。呆然としながら体の一部を削られて地面に落ちた後粒子に変わっていく仮想体を見て、雪崩れ込んできていた仮想体の足が止まる。


 「うーん…身体強化していないとはいえ、ただの仮想体じゃあ僕と身体能力に差がありすぎるなぁ」


 「〈…一体一体が5人単位の小隊で対応してやっと倒せる強さなんだけどナァ〉」


 一条先生が何か言ってるけど、流石にサブ機とはいえただの一世界の人間と比較できるはずないじゃないか。…一応この世界に常に存在しても問題ないレベルに収めてるけど。


 「さーて、次はちょっと縛ってみるか」


 そう言いつつ、拳に纏わせていた『破壊』の異能を消す。すると周囲でこちらを警戒していた仮想体達がそれを察して、今が好機とばかりに飛びかかってくる。


 「ほっ!はっ!」


 「ギャウッ!」「キィッ!?」


 一番近いところに来た仮想体から順番に拳を叩き込んでいく。僕の拳は狼の牙でも猿の爪でも傷付かず、逆に狼と猿の体は僕の拳で潰れたトマトのように弾けていく。弾けた肉と血が周囲にばら撒かれて僕にかかりそうになったのを慌てて避ける。


 「あぶなっ!う〜ん…このやり方だと視界が遮られるし、あんまりいいことないな」


 血肉は後で粒子になって消えるから汚れとかは気にしなくてもいいんだけど…戦い方としてあんまり綺麗じゃないなぁ。ま、とりあえずテストとしてはこれぐらいで十分か!


 「蒼!おいで!」


 「ワウッ!!」


 僕の呼びかけに答えて一息で僕のところまで跳んできた蒼の頭を撫でながら、蒼へのオーダーを出す。


 「もう十分だから、一緒に全部片付けるよ。本気出して暴れちゃって?」


 「…!アオーーーォン!!」


 蒼は僕の言葉に頷くと、大きく遠吠えをして姿が変わって行く。僕と視線の高さが同じぐらいになるまで体が大きくなり、体の節々から出ている炎も激しく勢いを増す。体の変化が落ち着いた蒼は、口の端から炎を漏らしながら近くの猿に向かって一瞬で飛びかかり消し炭にしていく。


 「よし!僕もちょっとだけ本気で!」


 蒼に遅れを取らないように拳に『破壊』の異能を纏わせながら駆け出し、文字通り手当たり次第の仮想体を破壊していく。地面に触れてしまうとシミュレーターごと破壊してしまうので、蹴りで足が地面から離れた瞬間だけ足に『破壊』を纏わせたりもして四肢をフルに活用して猿と狼を処理していく。


 「…ほっ!」「グルァア!」


 「ウキャウ!」「ギャウッ!」


 僕と蒼がそれぞれ残っていたボス猿とリーダー狼を処理して、シミュレーションは終了していった。


 「〈…ハァ〜、相変わらず圧巻の強さだネ。蒼クンもしばらく見ないうちにかなり強くなってるネェ〉」


 「ふぅ…一条先生、ありがとうございます。とりあえず満足です。蒼もありがとね」


 「アウッ!」


 「〈ウン、それじゃあ聞きたいこともあるし私の研究室に戻ろうカ?〉」


 …そうして研究室に戻ってからも一条先生から異能について聞かれたり検査されそうになったりして面倒になり、適当に切り上げて対仮想から蒼と一緒に脱出できたのは日が暮れた頃だった。


新セラスの戦法は、ゴリゴリの肉弾戦でした!オーバースペックとはまさにこの事よ…。


閲覧、ブックマーク、評価やいいねして頂けた方、誠にありがとうございます。

感想も励みになっています。誤字報告も助かります。


作者プロフィールにあるTwitterから次話投稿したタイミングでツイートしているので気が向いたらどうぞ…

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― 新着の感想 ―
[一言] この「破壊」とかもみんな持ってるから〜で付けてるやつで本来なら1歩も動かずに見るだけで消したり出来そうだなぁと思う今日この頃
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