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熾天使さんは傍観者  作者: 位名月
戦闘狂の誕生

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屋敷への帰り道

Twitterで明日の昼投稿と言いましたね…あれは嘘です!!!

いや更新してないのが気が気じゃなくて寝れなかったので書いちゃいました。

ほんで気が済むまで書いてたら長めになっちゃいました。

 …終わった。何もなく終わった。仮想体も犯罪者も何も来なかった。びっくりするぐらい平和に時間が過ぎてひたすらに海を眺めて終わった。


 「葵さん?どうされたんですか?」


 「あ、いえなんでもないです」


 「そ、そうですか…?」


 お嬢様の声で現実に戻ってくる。そうだ…もう護衛も慰霊碑での予定も終わって、帰りの森も抜けて車に連行されたんだった。


 「すみません、少しぼーっとしてました」


 「い、いえ…葵さんもお疲れでしょうし…」


 だめだ、お嬢様も色々とお疲れだろうに気を使わせてしまった…いけないいけない。まだ護衛中なんだから気を張ってないと!


 「いえ!全然大丈夫ですよ!お嬢様こそお疲れじゃないですか?」


 「…そうですね、少し疲れたかもしれないです」


 僕の言葉に少し疲労の見え隠れする表情で答えるお嬢様。まぁそうだろうなぁ。昨日公の場に初めて出て、犯罪者に襲われて、色々あったからなぁ。


 「そうですよね…ただでさえお疲れでしょうに、昨日も怖い目に遭わせてしまいましたから」


 「そ、それは違います!」


 「あ、ちょ…」


 今朝の再現のように身を乗り出してくるお嬢様を静止しようとするも、間に合わずにガッと肩を掴まれてしまう。まっずい…また顔が近い…。


 「あの!確かに怖かったかもしれないですけど、でもそれは葵さんが私のせいで死んでしまうかもとかそういう怖さで!ええと…とにかく大丈夫なんです!」


 「わかりました!十分わかりましたので!」


 「…本当ですか?それなら良いんですけど」


 お嬢様はそう言って僕からすっと離れる。…あれ?意外と平気そうだな。


 「…っ!」


 …そんなことはなかった。思い出したように顔が真っ赤になってらっしゃる。えーと、何か別の話題は…。


 「そうだお嬢様、少しお聞きしても良いですか?」


 「ひゃっ!は、はい?なんでしょうか?」


 お嬢様は頑張って平静を装っている様子だけど、顔の赤みが引けていないのでなんだか微笑ましい感じになっていた。


 「思い出したくなかったら教えていただかなくても大丈夫なんですが、昨日私が気を失った後はお嬢様は大丈夫でしたか?」


 「葵さんが気を失った後、ですか?」


 「はい、私は昨日気がついたらホテルの部屋で寝ていたので…最後までお嬢様のお側に残れなかったので、あの後お嬢様がどうなったのかよくわかっていないんですよ」


 「た、確かに…昨日は中庭で別れて以来お会いしていませんでしたね…」


 お嬢様は得心いったような様子で、僕と別れた後の話を初めてくれる。


 「とは言っても、葵さんと別れた後はほとんど何もなかったんですよね」


 「そうなんですか?」


 「は、はい…あの、炎の壁で葵さんがどうなっているのかわからなくなっても、私腰が抜けてしまって動けなくて…呆然としていたら守宮さんが駆けつけてくださいまして」


 「そうなんですね…それじゃあ別れてすぐに師匠が到着していたんですね」


 僕の言葉に、お嬢様は少し不思議そうな顔で何かを考え込んでから口を開く。


 「すぐ…でしょうか?」


 「え?」


 「葵さんが炎の壁の中に入られて守宮さんが来られるまで、結構長い時間があったと思ったんですが…?」


 …?どういうことだ?僕、あんなに決死の覚悟で分断したのにかなり早くやられちゃったと思うんだけど…。


 「…そうですか?自分で言うのもなんですが、僕多分一分も持たずにやられちゃったと思うんですけど…」


 「え…そ、そうなんですか?」


 「えぇ、ですからお嬢様が大丈夫だったかと気が気じゃなかったんですが…」


 「そ、そうなんですね…(葵さんが私を…)」


 「…?何かおっしゃいましたか?」


 「い、いえ何もっ!」 


 お嬢様が何か言った気がしたけど、本人が言っていないと言っているんだから何もないんだろう。…しかし、なんで僕とお嬢様で時間の感覚にズレがあるんだろう?僕があの黒装束に集中し過ぎて、時間が経つのが早く感じてたのかなぁ?


 「あ、あのっ!もしかしたら私の思い違いかもしれませんっ!私も冷静ではなかったですし、そう感じていただけかもしれません…」


 「いえ、私の方こそ正確に時間を確認していた訳でもないですし…思い違いですかね?」


 「お互い冷静ではなかったと言うことですかね…?」


 僕とお嬢様は、口ではそう言いつつも不思議な表情で首を傾げていた。また思考の海に没頭しそうになったところでお嬢様が話の続きを始めた。


 「とっ、とにかく…守宮さんに保護されてからはすぐに部屋まで運んで頂いて、診察を受けた後はお医者さまからもお父様からも休むように言われまして…それから今朝まで休んでいたんです」


 「そうなんですね…はぁ〜っ。とにかく、なんとかお嬢様をお守りできていたみたいでよかったです」


 「は、はいっ!ちゃんと守って頂きました!とっても格好よかったです!」


 そうして真正面から言葉をぶつけてくるお嬢様に、僕まで少し気恥ずかしくなって顔が赤くなっていく感覚がある。お嬢様自身も自分の発言に気付いたのか、どんどん顔が赤くなっていく。お嬢様って、変なところで強引なんだよなぁ…。


 「あの、葵さん…」


 「へっ?!なんですか?」


 気づくと、お嬢様がすぐ近くに居た。同じ車内にいる道也様や真由子様に聞こえないようにか、耳元に口を寄せて小さな声で話しかけてびっくりしてしまった。


 「あ、あの…変なことをお願いしても良いですか…?」


 「お願い…ですか?私に出来ることならなんでもおっしゃってください」


 僕がそう返すと、お嬢様は口元をもごもごさせながら恥ずかしそうに言い淀んでいた。思い当たることもないし、お嬢様の言葉をじっと待つ。


 「えっと、その、れ…」


 「れ?」


 「連絡先を交換しませんか!」


 「もちろん良いですよ」


 「…へっ?」


 なんだそんなことかぁ。護衛の僕から言うのも変かなと思って言わなかったけど、お嬢様の方から仲良くしてほしいと少しでも思って頂けたのなら嬉しい限りだなぁ。


 「それじゃあ私の連絡先は…お嬢様?」


 僕がお嬢様に自分の連絡先を見せようとお嬢様の方を見ると、お嬢様はなぜかポカンとした顔で固まっていた。


 「お嬢様?何かありましたか?」


 「へっ…?い、いえなんでもありません…」


 「そうですか?でしたらこれが私の連絡先です」


 「あ、はい…ありがとうございます…」


 …?お嬢様、なんだか拍子抜けしたみたいな顔だなぁ。どうしたんだろう?


 「いつでも好きな時になんでも送って頂いて大丈夫ですからね?」


 「あ、はい…ありがとうございます…」


 「…?」


 その後も、お嬢様はなぜか上の空な様子で車は一条家の屋敷へ進んでいった。まぁいつでも連絡が取れるようになったし大丈夫か。なんて、そんなことを思いながらあっという間にお屋敷へ到着していた。


葵とお嬢様の認識の違い…一体どうしてですかねぇ?


閲覧、ブックマーク、評価やいいねして頂けた方、誠にありがとうございます。

感想も励みになっています。誤字報告も助かります。


作者プロフィールにあるTwitterから次話投稿したタイミングでツイートしているので気が向いたらどうぞ…

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