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熾天使さんは傍観者  作者: 位名月
戦闘狂の誕生

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事後処理と戦線復帰

 目が覚めた時には、すでに日付が変わって日も登っていた。時計を確認すれば、事前にもらっていた行動予定の時間には余裕がある時間だった。とりあえず師匠宛に起きたら連絡してくださいとだけメッセージを送って支度を始める。


 自分の格好はいつの間にかホテル備え付けの寝巻きに変わっていた。…誰かが着替えさせてくれたのかな?


 寝巻きのまま顔を洗って髪を整え、部屋に置かれていた仕事着に着替える。支度をしているところで腹の虫が鳴って、そういえば昨日のお昼から何も食べていないことを思い出す。


 「…お腹減ったなぁ」


 と、言ったところで師匠からのメッセージが入った。どれどれ…『今からそっちに向かう』か。部屋の外で待ってるかぁ。


 部屋から出てホテルの廊下に立っていると、廊下の角から師匠がすごい勢いでこちらに走ってくる。


 「え…ししょ」


 がばっ、と駆け寄ってきたそのままの勢いで師匠に抱き上げられて宙に浮く。わ〜、抱っこされるのってなんか久しぶりな気がするなぁ。


 「葵!体は大丈夫か!?」


 「あ、はい。大丈夫です、もういくらでも動けますよ」


 「そうか…!なら良い!」


 「え?はぁ…」


 師匠は喜んでいるような、安心しているような表情でそう言うと僕を地面に下ろす。珍しい顔だ。師匠が荒っぽいのはいつものことだけど、ここまで感情がむき出しな感じはほとんど見ない。


 「師匠、話の前にご飯だけ食べたいんですけど…」


 「おぉ!そういえば昨日の昼から何も食ってねぇか。ホテルの朝食があるから行くか?」


 「はい、お腹ぺこぺこです」


 そうして師匠に先導されてホテルのロビー近くの食事スペースへ向かう。並べられた料理から好きに取って席に持って行く。…流石高級ホテル、美味しそうな料理ばっかりだ。


 「…葵、結構食べるんだな」


 「え?何か言いました?」


 先に座っていた師匠のところに選んだ料理を持っていくと、師匠が何か言った気がしたけど流されてしまった。まぁいいか、とりあえず食べよ。


 「…!美味しい!」


 こういう種類のいかにも高そうな料理って食べたことなかったけど、かなり美味しいな!お母さんの料理が一番美味しいけど、これもなかなか美味しい。手が止まらないや。


 「…こんな食うなら今度から飯多めに用意させるか」


 「はい?何か言いました?」


 「いや、何でもねぇ。そんで葵が寝た後の話なんだが…」


 師匠の話では、昨日の事件で会食会場にいたテロリストさんは師匠が上手く鎮圧したようで会食の参加者に負傷者はいなかった。ただ、僕が相対した黒装束がホテル側の人間に出した被害は少なく無かった。死傷者こそ少なかったものの、会場の近くにいた従業員はほぼ全員意識を失う程度の怪我を負っていて残された従業員の方が今朝からかなり忙しくしているらしい。


 「…あの黒ずくめ、何したかったんですかね?」


 「それがまだわかんねぇんだよ。葵もこの後色々聞かれるだろうが、なんか言ってたか?」


 「それがよくわからないんですよね…事前契約が何とかみたいなことは言ってたんですけど。ただ、目撃者を消したがっていた様子でしたよ?」


 「…なるほどな、それはホテルの従業員から聞いた話とも辻褄(つじつま)が合うな」


 生きていたホテルの従業員の方に話を聞いても、全員誰に危害を加えられたのかわかっていないとのことらしい。他にもテロリストさん達がどうやってホテルの厳重なセキュリティを突破したのか、それぞれ何の目的があったのかはまだ判明していないらしい。


 「…それで葵、今日からどうする?」


 「え?どうするって言うのは?」


 話に区切りがついたあたりで、師匠が真剣な表情で口を開く。どうするって言われても、僕が知ってることを話して護衛に戻るだけじゃないのか?


 「昨日あんなことに巻き込まれちまったからな。これからも危険がないとは限らないし、葵だけ家に帰っても良いんだ」


 …なんだ、そんなことか。そんなの師匠の仕事について行くって決めた時から分かりきってることだ。


 「もちろん残りますよ。体に問題はないですし…」


 何より、危険だとかそんなことはどうでも良いぐらいに…


 「何より、今よりもっと強くなりたいので」


 「……そうか、ならオレからこれ以上は言わない」


 そう言った師匠は、どこか覚悟を決めたような不思議な表情をしていた。僕がやりたいことをやらせてもらってるだけなんだから、そう重く考えることでもないんだけど…。


 「なら飯食い終わったらすぐ仕事だ。深山のとこに行って昨日の件の報告からだ」


 「はい!」


 そうしてご飯を味わって平らげ、師匠と一緒に深山さんのところに向かう。


 向かった先に居た深山さん含む護衛の皆さんは、昨日までも張り詰めた空気だったのに、それ以上の雰囲気を纏っていた。…それこそ、戦場にいる兵士のような雰囲気だった。


 まぁ、戦場にいる兵士さんは見たことないけど。


おや…?葵くんちゃんの様子が…


閲覧、ブックマーク、評価やいいねして頂けた方、誠にありがとうございます。

感想も励みになっています。誤字報告も助かります。


作者プロフィールにあるTwitterから次話投稿したタイミングでツイートしているので気が向いたらどうぞ…

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― 新着の感想 ―
[一言] 葵さん?君?戦闘狂になるんですか?(タイトル見て今気づいた)
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