39モフ目
お読みいただきありがとうございます。
グラウンドを抜けて校舎内に入ってきた。グラウンドでもう一戦大物とやりあうことになるかもと考えていたから、ちょっと拍子抜けだ。
校長室の前を通過。
職員室を通過。
校長室を通過。
校長室を通過。
校長室を通過。
校長室を通過。
「だあ! どんだけ校長室があるんだよ!」
「校長室の中の何かをどうにかしないといけない?」
「それだ!」
勢いよく扉を引き開ける。
「鎧?」
校長室の中にはやたら重厚な机と、その向こうに武士が使う鎧兜。
「あからさまだよな」
「だよね」
室内に一歩踏み込んだ瞬間、兜内の仮面の目が赤く光る。
武者動鎧
アクティブ
年月を経た鎧に武士の魂が宿った。その剣術で生けるものを屠る。
よし。
「先手必勝。いきなり迦具土炎槍!」
ドラゴンがまたいで通るあの人じゃないけども。
炎槍は頭というか兜を狙ったんだけれど、武者動鎧が立ち上がりかけていたからちょうど兜と鎧の間に当たって、兜を吹き飛ばした。
≪おめでとうございます。プレイヤーがレベルアップしました。任意のステータスに2ポイント割り振ってください。≫
「勝ったみたい、だね」
「うん。ニャコのレベルアップが来てるよ」
「僕も来た」
プレイヤー:毛皮丸 Lv:22 up
HP:319 up
MP:247 up
STR:22
VIT:18 up
DEX:20
AGI:17
INT:16
MIN:16
≪おめでとうございます。従魔:淡雪 がレベルアップしました。任意のステータスに2ポイント割り振ってください。≫
淡雪もか。さすがに経験値稼いでるなぁ。
フェザードラゴン:淡雪 Lv:11 up
HP:429 up
MP:220 up
STR:32
VIT:30
DEX:20 up
AGI:23
INT:21
MIN:20
HPの伸びがすさまじい。さすがドラゴンというべきかな?
「お、甲冑はドロップアイテム扱いか。モフナーいる?」
「いらない。毛皮丸は?」
「僕も使わない。どっかで換金するか」
「ごはんか何かおごってね」
「あいよー。で、これで進めるようになったかな」
「ごーごー」
一回はループ以外の罠も、鎧以外の敵も出てこずに、僕らは二階に上がった。
かつかつかつかつ
かちゃかちゃかちゃ
「何か来るね」
「あれは……うげっ」
人体模型 オス
アクティブ
理科室でおなじみ。パーツが一個だけないことがよくある。
うごめくスプーン
アクティブ
もぞもぞうごめくスプーンの群体。ぞわぞわくる。
うごめくフォーク
アクティブ
もぞもぞうごめくフォークの群体。鎧にはならない。
「うわー背筋がぞわぞわする」
「学校の肝試しで人体模型は鉄板だね」
「ちょい待ち。一体だけ別のやつがいる」
ムービングナイフ
アクティブ
バターナイフに低級霊が宿った。這って移動することしかできない。
「なんかおもしろそうだ」
「えー、私パス」
「あれだけ残して。テイムしてみる」
「はーい」ぶぅん「おわったよー」
「はやっ!」
鎌の一振りで終わるとか、弱すぎね?
ま、楽に終わったならいいや。とりあえずムービングナイフを拾って、と。
「テイム」
手の中でぴっちぴっちしてるけど簡単に抑えこめる。アメーバのほうが強いかもしんない。
≪ムービングナイフ のテイムに成功しました。名前を登録してさい。≫
ムービングナイフ:カービング Lv:1
HP:5
MP:0
STR:1
VIT:1
DEX:1
AGI:1
INT:1
MIN:1
スキル:這いずり 硬化
弱っ!
≪召喚可能枠がありません。送還されます。≫
「どうだった?」
「すさまじく弱かった。ステータスオール1」
「うわー、それは……」
「でもああいうやつが育つと化けるもんだよ」
「よくあるパターンだね」
「ま、今は気にしてもしょうがないし、先に進もう」
「おー!」
最後のモフナーが一掃するくだりはわざと改行していません。




