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38モフ目

お読みいただきありがとうございます。

 おばんでやす。現場から東海……じゃなくて、毛皮丸がお送りいたしました。いや、します。

「はふぅ。毛皮丸ったら激しいんだから」

 モフナーさん! そのセリフはまずい! まずい! 周りの男どもから殺気のこもった視線とか投げナイフとか魔法とか飛んでくるから! ほら、流れ弾に当たってうさ耳娘さんじゅうはっさいが吹っ飛んでるから!

 ヒトのイカ焼き奪って逃げるから追いかけただけだっつうのに、まったく。

 そんなこんなで僕らは今、夜間イベントの肝試しに参加すべく列に並んでいる。

 肝試しの参加はいくつかルートがあり、プレイヤーと従魔の一対一、プレイヤーと従魔のコンビ×2、コンビ×2のランダムマッチング、フルパーティ、レイド、だ。

 当然というべきか僕はモフナーと一緒に参加する。コンビは淡雪とニャコ。……男女ペアがあまりいないのはなんでだろう。

「毛皮丸、次だよ?」

 おっと。

 空中に出ているGOサインを確認してから、前の組が消えていった魔法陣に足を踏み入れる。

 一瞬の立ちくらみのような感覚を覚えるとそこは、目の前に墓地、そしてずっと奥に学校があった。

「墓地を抜けて学校の校庭へ。そこから校舎内をぐるっと一巡りして体育館がゴール、だったよね」

「だな。んじゃいくか」

「きゅい」

「にゃ」

 墓地に一歩踏み込んだ瞬間、そこは外から見ていたものとは全く違う光景が広がっていた。外から見ている限りでは見えなかった卒塔婆がそこらここらに立っているし、無数の人魂も飛び交っている。かといって人魂の光は人魂が見えるだけであたりをまったく照らしはせず、墓石に備えられたろうそくだけが墓地の光源になっている。

「肝試しだけあって奇襲されやすそうなフィールドだね」

「頼りにしてるぞ淡雪」

「きゅい。きゅい!?」

「何が……来た!」

 墓石の向こうからスケルトンが1、2……7体。

「馬鹿な」

 寄ってきたスケルトンを見て僕は愕然とした。

「どうしたの!?」

「全部おしゃれ個体だと!?」

 そう。7体のスケルトンはろっ骨や頸椎にカラフルなリボンを巻いていた。

「まあ、気にせずぶん殴るんだけど」

 骨だからな。打撃も効く。

「ここは僕に任せて先に「行ってもペアじゃないといきづまるからね」そうでした」

 そういえばそうだった。

 ならちゃきちゃき倒しますか。

 先頭のスケルトンの足を踏んで逃がさないようにしつつ、体を横にずらして膝を背骨の後ろに出す。そのまま腕を頸椎にかけて。

「そいや!」

 っと折る。

「いっちょ上がり。淡雪、ブレスはなるべく温存な」

「きゅい」

 とかやってるうちに淡雪、モフナー、ニャコは二体ずつスケルトンを倒していた。

 僕が一番役に立ってない、だと。

 orz

「さ、次に行こうか」

 きゃーこわいーなモフナーを期待していた僕は悪くないはずだ。

 何体ものスケルトンやゾンビを倒していると、やがて未見のモンスターが現れた。


地縛霊 オス

アクティブ

幽霊。人魂が姿を得た。足があるかどうかは気分。


レイス オス

アクティブ

年月を経た霊が変化した。個体により様々な魔法を使う。


「レイスか。ほかのやつらより強いな」

「中ボス的な?」

「男爵じゃないけどな。まあ、ここからの敵が強くなるっていう可能性も」

「微レ存どころじゃなくたっぷりありそうだね」

「くかかかかか」

「くるよ!」

 レイスの構える杖の先端がほの黄色く光る。

「くか「淡雪! ブレス速射!」かか?」

「きゅい!」

 レイスはブレス一発で沈んでいった。

「おっし、地縛霊も巻き込んだ。残敵掃討戦はっじめっるよー」

「ひどい出落ちを見た気がするよ」

 地縛霊は迦具土炎槍で経験値に変わっていきました。まる。


「フラグだったな」

「えーん、ごめーん」

 最初のレイスからこっち、モンスターの強さがあからさまに上がっている。


フライングアイ

アクティブ

空を飛び、監視する役目を持ったモンスター。索敵範囲内に入ると増援を呼ばれる。


ジャイアントアイ

アクティブ

巨大な目玉から触手を出して攻撃してくる。酒好き。それなんてギルガド○ル?


スケルトン・クアットロ オス

アクティブ

四本の腕を持つスケルトン。その腕で放たれる剣戟は脅威。


ちょうちんおばけ

アクティブ

おばけといいつつ正体は長い時を経た付喪神。中で燃えている火が消えると死ぬ。


 あと少しで墓場の出口というとこまでくる途中、こんな奴らと戦ってきた。

「で、何か来るな」

「今度こそ中ボスかな」

 墓場からの出口。そこはそこそこの広場になっていて、六つの魔法陣が光っている。

 光の下のほうから、まるで転送されてくるかのように出てきたのは、

「ピンクのスケルトン、だと……!?」


ハッピースケルトン オス

イベントボス

幸福のうちに死んで、幸福が永遠に続いてほしいと願ってできたスケルトン


「まだ来るよ!」

 ハッピースケルトンに囲まれる位置にひときわ大きい魔方陣が。

 サイズからしていつかのオーガより大きいか?

 やがて下のほうからじわじわ現れたのは、


がしゃどくろ オス

イベントボス

野ざらしになった骨が恨みを抱いて巨大化した。命あるものを追いかけ続ける。


「これで打ち止め……じゃないな」

 レイスとちょうちんおばけのおかわりが来た。

「GRRRRRRRRRRR」

「向こうもやる気みたいだよ」

「なら、開幕一発。淡雪、薙ぎ払え!」

「きゅぅぅぅぅぅぅぅいいいいぃぃぃぃぃぃ!」

「これで小物は一掃……なに!?」

 淡雪のブレスの残光が消えたそこには、盾になるように前に出た、ほぼ無傷のハッピースケルトンたち。

「幸福だから光属性効かないとかいうオチか!?」

「ニャコ、切り裂いて!」

「ふにゃう!」

 ニャコの爪が伸びてハッピースケルトンの頭蓋骨を正面から切り裂くも、あんまし効いてないな、あれ。

「迦具土炎槍!」

 レイス一体撃墜。

「小物つぶすからしばらく頼む」

「了解」

「んじゃま、やりますか」

 迦具土炎槍を連続で使う。複数起動とか同時起動できたら楽なんだけどな。


 ≪おめでとうございます。プレイヤーがレベルアップしました。任意のステータスに2ポイント割り振ってください。≫

 最後のレイスを燃やし尽くしたとき、システムメッセージが入った。

 よし。さすがに経験値稼いでるな。ステータス操作、と。


プレイヤー:毛皮丸 Lv:21 up


 HP:302 up

 MP:231 up



 STR:22 

 VIT:16

 DEX:20 up

 AGI:17 

 INT:16 

 MIN:16 


 ≪おめでとうございます。従魔:淡雪 がレベルアップしました。任意のステータスに2ポイント割り振ってください。≫


フェザードラゴン:淡雪 Lv:10 up


 HP:395 up

 MP:212 up



 STR:32

 VIT:30 

 DEX:18  

 AGI:23

 INT:21

 MIN:20 up


 ≪従魔:淡雪 は 暗視 を習得しました≫

 え? あれ?

 モフナーのほうを確認してみれば、ああ、うん。終わってるよ。

「冷静に考えれば、中ボスなんだからそこまで強いわけないよね」

 なるほど。アンデットに効くはずの光ブレスが効かなかったからテンパっただけで、別の属性攻撃なり物理攻撃なりで倒せばいいわけか。

「で、実際使った手段は?」

「【治癒】の魔法連打」

「アンデッド対策の鉄板だね」

 ちょっと疲れたから、休憩してから再出発だ。


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