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36モフ目

未踏の領域に到着……!

 うきみそーちー。本日も快晴。絶好の海水浴日和です。

 ま、うちは高度が高度だからたいして暑くないんだけども。

 今日は久しぶりにモフナーと会うことになっている。モフナーの水着姿が楽しみで胸が躍るね。ま、モフナーの胸は上下に踊るほどないんだけど。

 ひっ!

 なんか今、背筋がぞくっとした!

 うん。ハーディアさん。いたずらはやめましょう。



「ごめん、お待たせ!」

「いや、今来たと……こ………」

 待ち合わせ場所についてから届いた、ちょっと遅くなるのメッセージ。

 お約束の応酬なんぞしつつ振り向いてみれば。

「うっふん」

 モヒカンの化け物がいた。

 大きく盛り上がった上腕二頭筋。

 見事に割れた腹直筋。

 震えるように動く大胸筋。

 水着扱いなのか、トランクスタイプの形にコイルのように巻かれた麻縄。

 そして見事な縄目を作る亀甲縛り。

「うぎゃあああああああ! 目が腐るぅぅぅぅ!」

 アバター名はナワー・ざ・ロープ。

 変態がそこにいた。


麻縄の水着 品質:良


麻縄をコイルのように巻き上げて作られた水着。下半身を締め上げ、着用者に心地よい拘束感を与える。隙間からお稲荷さんがはみ出るようなことはない安心設計。


「ばっちこーい♡」

「ぐふっ」

 その後の記憶は僕にはない。わかっているのはトトが変態の股間を執拗に蹴り上げ、浮かし、ぴちゅんという音が響き、変態が砂浜に頭から突っ込み、股間から煙を吹き出し、何とも言えない液体を垂れ流し、その上に舞い降りたトトがポーズを決め、周りのプレイヤーが雄たけびを上げたことくらいだ。

 トトが「ぷぅぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぅ!」とか言って蹴り上げていたなんてことはない。


 うん。


 だれかこの記憶を消してください。


 おそるべし股間30連スマッシュ。いなりスマッシャーとか書くと調理器具っぽい?

 ちなみにモフナーは変態の陰に隠れてはいたけど、ちゃんといた。

 いくらなんでもモフナーと変態の声を間違えるなんてことはない。

 そして今、僕はモフナーの膝枕でSAN値回復に努めている。

「ごめんね、遅くなって」

「ん」

 まわりから「あの野郎」だとか「爆発しろ」だとか歯ぎしりの音だとか血涙滴る音だとか聞こえてくるけど気にしない。文句があるならあの変態の相手をしろと言いたい。

 ちなみにモフナーの水着はこんな感じ。


妖精花の水着 パレオ付き 品質:会心


フェアリーリングを処理して作られた水着。魔法耐性に優れる。妖精さんのおうちの玄関が一つ消えた証でもある。

エンチャント:サイズ自動補正


 水着の形に花びらが立体を作ってるんだけど、品質すげえぇぇぇぇ!

 じゃなくて、妖精さん! 妖精さん逃げてえええええええ!

 電磁波に弱くて丸まったり折り紙で生態系作ったり、関西弁のイルカにどつきまわされたり、フルートの捜索依頼したりするかもだけど、妖精さんにげてえええええ!

「どこみてるのよ」

「え、そりゃ見上げるほどもないないちt「あ゛?」いえ、その水着です」

 マムじゃなくてサーと語尾につけたくなるのをぐっとこらえる。

「いいでしょ。依頼で妖精さんとOHANASHIすることになって、もらったんだけど」

「お話し?」

「そう。OHANASHI」

 何か齟齬がある気がする。

「畑にいたずらする妖精さんを何とかするクエストの報酬だよ」

 何とかする(物理)ですね、わかりますん。

 もしかしてレア水着ってやつか?

 ま、いいや。

「で、今日はどうする?」

「まずは……モフる! 淡雪ちゃ~ん!」

「きゅい!?」

 モフナーは空高く飛び上がり、淡雪に踊りかかかった!

 ミス!

 淡雪はぎりぎりで躱した!

 モフナーは砂浜に頭から突き刺さった!

 モフナーは必死になって尻を振って脱出しようとしている!

 モフナーはもがいている!

 モフナーはもがいている!

 モフナーは抜け出した!

 モフナーは淡雪を見つめている!

 淡雪に状態異常:恐怖が発生した!

 淡雪は動けない!

 モフナーは淡雪に飛びかかった!

「あぁあん、淡雪ちゃ~ん! もふもふ~」



「一体、お前らのご主人様は何をやってるんだろうな」

「にゃ」

 うん。モフナーのとこの猫とウサギのモフモフ加減もなかなかいいものだ。

 おまいうおまいう。



「はふぅ。堪能したぁ」

 二時間はモフモフしてたかな。

 ようやく淡雪を離したモフナーは、妙につやつやしている。逆に淡雪は、荒い息を吐いてげっそりしている。

「で、どうするんだ?」

「んー、とりあえずクラスチェンジかな」

「ならストーンサークルだな」

 

到着したストーンサークルは、昨日とは打って変わってプレーヤーが列をなしていた。

「うわー、だいぶ待つね」

「どうする? ここのストーンサークルをあきらめるか?」

「ううん、待つよ。久しぶりに毛皮丸とゆっくり話したいしね」

 そうして順番待ちの三時間ほど、僕は現実世界の話、主に学校のことをモフナーから聞いていた。



「さ、クラスチェンジだよ」

 後ろに並んでいる連中もいることだしな。さくっと終わらせて離れよう。

 しかし、モフナーも順調にレベルを上げてるんだよな。これで三段階目か。

 みんな終わらせて人があまりいない岩場に移る。

さて、さくっと【識別】させてもらおうか。

 まずは元まねきねこのニャコ


ねこまた メス

テイム済

長く生きた猫が不思議な力を身に着けた。三味線職人は絶対に許さない。


 続いて元アンゴラウサギの雪見


一角ウサギ メス

テイム済

額に角が生えたうさぎ。角を生かした突進攻撃を得意とする。ただ、突進をすると頭を下げるため進行方向の確認がしにくくなる。角が固いものに刺さると自力で抜くことができない。


 元ホースのアダムスはホワイトホースだからいいとして、最後、元ぴよこのぴーだ。これが問題だった。どうも掲示板によるとぴよこのクラスチェンジ先は一つしか確認されていないが、ぴーには二つ存在した。モフナーはけっこう迷っていたけど、結局は新しく出てきたほうにした。

 それが、これだ。


おっきいぴよこ メス

テイム済

一度もダメージを受けず、大事に大事に育てられたぴよこ。でも、おっきくなってもやっぱり虚弱。




塩がおすすめ。


 ねぇ、なにが?

 なにが?


ようやくナワーさんを出せました。彼は準レギュラーの予定です。

ところで相談なのですが、そろそろおっさんほいほいのタグつけたほうがいいでしょうか?

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