38話★
彼女が倉庫に閉じ込められた同時刻。
扉の前には三人の女子生徒がいた。
「フフ、作戦成功♪」
「さすが、あや。倉庫のカギを使って、中にあいつを閉じ込めるなんて冴えてる~」
あやと呼ばれた生徒は野球部のマネージャーとして、ここの倉庫の合鍵を持っている。そのため、彼女たちはそのことを利用して、志藤綾女をこの倉庫に閉じ込めることを計画したのだ。
「でしょ~」
「にしても、よくあいつをここに誘いだせたね」
「ああ、それはあいつの元友達っていう西野から話を聞いたから、西野の名前を使って誘い出してやったの」
「元友達?」
「そうそう、昔はよく話してたんだけど、今は疎遠らしいよ」
「え~、唯一の友達をなくすとか、あいつかわいそ~」
「違う違う、かわいそうなのは、あんなのと一緒にいた西野さんのほうだって」
「あ、そうか~。あいつと離れられてよかったね~」
「それにしても、思いのほか、あいつが簡単に引っかかってくれて助かったわ」
あやと呼ばれた生徒が指先でくるりと鍵を回す。
そう、あの手紙を書いたのは西野本人ではなく、彼女たちだった。綾女も西野とは疎遠になって久しかったため、西野が一体どんな文字を書いていたのか既に覚えていなかった。
「じゃ、そろそろ午後の部も始まるし、戻るわよ」
そうして、彼女たちは綾女を倉庫に閉じ込めたまま、その場を後にした。




