24•黒塀屋敷の秘密
本日は朝5時にも投稿しています。
時は戻って鴉のお山。おろくの魔法で妖怪変化の大蜘蛛を素早く退治した一行は、鹿角揚羽の少女に話を聞いていた。
本当は、日暮れ前に小さな魔法石が散らばる場所に行かなければならないのだが。おつなは少しイライラしているようだ。眠そうな瞳がますますつぶりそうになっている。
「あの、わたしもそこのハーフエルフさんとおんなじ屋敷に囚われてたんです」
鹿角揚羽はおずおずと語る。
「捕り方が来た時は、二階に囚われておりまして。けど、あの。魔女さんにあいつが気を取られてる隙に逃げました」
「あいつ?あの猫みたいなへんなやつかい?」
「それを造って操るやつです。仲間に怖い鬼もいるんです。真っ赤な眼で見られると、怖くて動けなくなるんです」
鹿角揚羽は、可愛らしい声でよく喋る。何も聞かない先からどんどん話す。
「でも、鬼もあいつも、魔女さんの不思議な魔法に驚いたみたいで。その隙に私も逃げましたけど、チラッと見たら魔女さんもハーフエルフさんも逃げちゃって。慌ててあの変な猫みたいな奴を飛ばしたみたいです」
「あんた、ずいぶんと消える魔法が得意なんだねえ。ちっとも気付かなかった」
「そうだな」
おろくとダイダイは、かなり魔力や魔法の気配に敏い。だが、鹿角揚羽の存在には全く気が付かなかったのだ。
「そんなに隠れるのが得意なのに、なんでまたとっ捕まったんだい」
おろくの疑問はもっともである。
鹿角揚羽は、細い水色の眉を寄せて語る。
「わからないのです。なにか、魔法を無効化する装置があるのかもしれません」
「へえ。あの変なやつを作った野郎が作ったのかねえ」
「多分そうです。あの男は、まったく見たこともない力を持っているんですよ」
「それじゃ、おつなちゃんはなんで捕り方に捕まったんだい。あんたは捕り方には見つからなかったんだろ」
おつなは更に訪ねる。これには、鹿角揚羽ではなく、おつな自身が答えた。
「捕り方さんは、助けてくれた」
「そうなんですよ。私達は、賞品ですから。今日はおつなちゃんの番で、一階の賭場に連れて行かれていたんです。私は二階で鬼に見張られていました」
「他にも囚われ人は居たのかい?」
「はい。実は、私達ふたりの前に5人もいたんです。そろそろ補充するとか言ってました」
「ひどい話ですね」
理吉が硬い声を出す。半眼がますます細くなる。
「ええ。いろんな珍しい種族でした。鬼は、妹が連れて行かれたので、私達が逃げないように手伝えば返して貰えるという約束のようでした」
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