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15.黒札の説明をする

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 理吉の心配とダイダイの苦言をよそに、おろくはさっさと場を整えて黒札を始める。


「この遊びは、2人から4人くらいが面白いよ」


 集まってきた鴉達は、20人くらいいる。おろくが人数の話をすると、皆つまらなそうに立ち去り始めた。


「なんだ、みんなで遊べるかと思ったのに」

「順番にやったら日が暮れちゃうね」

「そんなに待っていられないよ」


 ダイダイはおろくをちらりと見る。おろくは涼しい顔で、黒札の小さな一山を前にして正座していた。



「大人しく帰ろうぜ」


 ダイダイが僅かに苛立つ。棘が見えるほどではないが、不機嫌な声を出している。

 おろくはじろりと横目でダイダイを睨む。睨み返すかのように、ダイダイは髭を震わせた。


「誰かやってみないかい?」


 ダイダイを無視しておろくが誘う。


「やめとくよ」

「みんなで遊べないならいいや」


 みんなががっかりする中で、世話焼きおばさんはまだ興味があるようだった。


「札は一組しかないのかい」


 おばさんが質問する。札が何組かあれば、いくつかのグループに分けて待たずに遊べるからだ。


「2組はあるけど、普通は交互に使うんだよ」

「交互に?なんで?」


 おばさんの疑問に、ダイダイが口を窄めるようにして答えた。


「イカサマしてないアピールなんだよ」


 ダイダイは、黒札については今日初めて教わったのだが、カード賭博の存在は知っていたのだ。


「仕込みがないって示すためなのさ」


 おろくも自分の言葉で説明をする。それを聞いておばさんは嬉しそうにこう言った。


「賭け事の場合かね。じゃあ今は2組は同時に使えるねえ」

「まあ、そういうことになるかな」


 ダイダイが返事をする。


「一回遊ぶのにどれくらいかかるんだい?」


 おばさんの質問におろくが答える。


「場合によるねえ」

「長くかかる時もあるのかね」

「順番に山札から引いていって、場に積む山札が無くなれば終わりさ」

「ふうん。4人か5人でやればすぐだね」

「だから少ないほうがいいんだよ」


 おろくの説明はおばさんにはよく飲み込めないようだった。


「長く遊べるからかい」

「手札と山札を1枚ずつ取り替えながら役ができるのを待つ遊びだよ?」

「ああ、取り替える回数が少ないと面白くないね」


 おばさんは納得して、ぽんと手を打つ。おろくは解ってくれたか、と満足そう。



「ねえ、やってみたい」


 それまで部屋の隅で大人しくしていたおつなが急に声を出す。その場に居残っていた6人ほどの鴉たちと、おろくとダイダイのコンビが、皆一斉におつなを見た。


お読みくださりありがとうございます

しばらく不定時更新です

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