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俺ゼウスの生まれ変わりなんだけど、無双してたらボッチになった件について  作者: 紅羽 慧(お神)
すねはかじれるだけかじるのが当たり前じゃね?編
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★ゼウスとヘラの日常~その2~


「おんどれぇええまた浮気しとったんがぁぃあああ!! エロ髭ぇっ!!!」


「――――ぐっはぁ!!! うっぐ……ヘラ、頼むからもう許してくれ」



 支柱に体をヒモでぐるぐるに張り付けられたゼウスに、ヘラの恐ろしく重たい腹パンチが炸裂する。



「ごふっ!!」


「あんたまた、浮気したよね? あ?? これ、火あぶりにされてもおかしくないレベルの重罪なんだけど何してんのあんた???」


「反省しております……なにとぞお許しください」



 ゼウスの浮気が発覚し激怒したヘラは、暴力を交えた尋問を行っていた。



「――――は? これで何回目だよゼウス。あんた馬鹿なの? ねぇ……髭野郎! アタシ言ったよねぇ? この前何て言ったか覚えてんのかぁっ!?」


「記憶にございません」


「ふ~ん。国会議員みたいなふざけた答弁ね。そうやってまたいつもみたいにはぐらかすと思ったから、アタシちゃんと録音したのよね~? これ何だか分かる??」


「録音!? なんだよそれ聞いてねぇぞ!!!」


「これはボイスレコーダーっていってね。こういう便利な物なのよ?」



 ヘラは驚きを隠せないでいるゼウスに冷ややかな微笑みを見せると、ボイスレコーダーの再生ボタンを押した。



<ゼウス~も、もう浮気しちゃやだからね? 絶対に浮気しないでよ???>


<あー分かった分かった! あい分かった! 深く胸に刻みこんでおくよ>


<ほ、ほんと? じゃ、じゃぁ、もしまた浮気したら??>


<ははっ! 100憶%ねぇけど、そん時はお前の言うこと何でも聞いてやんよ!>


<ほんとぉ? ……じゃぁ、もし次浮気したら往復ビンタ100億回と、おわびとして毎日キスとえっちと私の手料理を少なくとも週5回は食べるって約束して?>


<えっ。いや、それはちょっと>


<何でもって言ったよね??>


<……うん>



 再生が進むにつれてゼウスの顔に焦りと影の色が増していく。やがて再生が終わるとヘラは


「思いだした? これでも記憶にございませんとかほざけるのかしら浮気髭チンカスデブ?」


と言い、ゼウスに顔を近づける。



「……記憶にございます。ですが、理論上そのようなことは不可能でしてですね――」


「――――だまらっしゃいっ!!!」



 口答えをするゼウスに腹を立てたヘラは、音速を超えるレベルの速さで右ストレートを彼の左のコメカミをかすめるように繰り出す。



「ひぃいいいっ!」


「今回はそう簡単には許さないわよ~たっぷりといじめてあげる。じゃあ、まずは往復ビンタ100億回からいこうかしら? ぁ食いしばれよぉっ!!!」


「いや、死ぬだろwwwちょ――ちょっと! ちょっと待ってけれぇ!」



 命の危険を察し肝を冷やしたゼウスは、ヘラの考えを変えさせるべく声をかける。



「何? 往生際が悪いわよ、アタシめちゃくちゃ怒ってるんだからっ!!! 絶対に許さないんだからっ!!! ぁ食いしばれよおらぁっ!!!!!!」




「頼むっ!!!!! 一言だけでいいんだヘラ!!!!!!!」



 必死にヘラに語りかけるゼウスの額には汗が浮かびあがり、そしてそれらが合わさり頬を伝って流れ落ちていく。彼は真剣だった。

 そんな普段とはまるで違いまっすぐに自身を見つめてくるゼウスに、ヘラは内心照れ臭くなると、


「……何よ?」


と、もじもじしながら言葉を待つ。



「ヘラ。あのな、俺はお前を本当に愛しているんだ」


「な、なな何よいきなりっ!? お、おだてたってそう簡単に許さないんだからね!」


「俺が間違っていた。浮気をしたことで気づいたんだ。そう! 俺がこんなにもお前のことを愛おしく思っていたことに――分かるか?」


「にゃ、にゃにゃにゃにを言って――」


「お前はまさに月夜に燦然さんぜんと輝く星々よりも美しく! そして、荒れ果てた大地に咲く一輪の花のように可憐だ」


「う、うゅ~はずかしいよぉ。そ、そぉ?」


「あぁ本当だ。俺はそんなお前が大好きなんだ」


「だ、大好き!?? ゼウスがアタシを、ほ、ほんとに?」


「神に誓って本当だ」


「あぁん、ゼウスしゅきしゅき~だぁ~いしゅきぃっ!!!」



 ヘラはゼウスの甘言を鵜呑みにすると、彼に抱き着き頬を彼にこすりつけて喜びを表した。そんな単純な彼女の様子を見たゼウスは、


(がはははははこのババア相変わらずちょろすぎワロチwwww頭の中スイーツパラダイスかよwww。さすがチョロQ2号!)


と、彼女を軽んじていた。



「ふ、ふ~ん、仕方ないわね! そんなにアタシが好きって言うならじゃぁ、かわいそうだからビンタは特別に保留にしといてあげる!」


「ははっ、だよなぁ? いやぁよかったよかったwww! これにて一件落着ってね!」

 

「うん! そしたら~まずは他の約束からね~ってことで、今すぐえっちしよ?」


「うんうんそうだねぇ~って――――へ?」


「へ?ってなによぉ。アタシとえっちするのよ!」


「いや、それはちょっとたんま――」



――――パァンッ!!!



「――オブゥッ!!!」



 拒否感を示したゼウスにヘラは、間髪を入れることなく高速のビンタを頬に打つ。



「何でだよ、ヒゲ?」


「だ、だって、お前とえっちすると激しすぎてしばらく動けなくなるんだもん!」


「いやん! そんなぁ~激しく愛しあうんだから~当然でしょ? うふふっ! でもぉ~今日は~前なんかよりももっとすごいんだから! 骨抜きにしてア・ゲ・ル」


「いや、骨抜きじゃなくて、飯抜きでお願いしま――ぶるぁあっっ!!! ……うっごぁあ」


「何か言ったか、ヒゲ?」


「いえ、何でもありません」


「ふふん~。じゃあ、ベッドに行くわよ~うふふっ! 覚悟しなさい。はぁっ!!!」



 ヘラはゼウスの鼻に人差し指を当てて笑顔を見せた。そして掛け声と共に力を込めると、なんとゼウスごと支柱を建物から引き抜いて宙に掲げてしまった。



「ちょwwwえっ!? お前このままっ!??」


「ふふん~もう逃げられないわよ! アタシとこれからい~~っぱい楽しみましょ~ね? うふふっ」


「ま――ちょっと待ってくれ!」


「またな~いふふっ! ゼウスとらぶらぶ~~ゼウスとえっちぃ~~ふふん~」



 ヘラは軽々と肩に柱を担ぐと、鼻歌を歌いながら歩きだす。そんな彼女にゼウスはあらゆる言葉を用いて説得を試みるも、時既に遅しであった。



「助けてくんろぉおおおおっ!!!」



 その後しばらくの間、ゼウスが外の日差しを見ることはなかったという……。




………………


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