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ランドセルを背負ったうみがめさん  作者: つちのこうや
文化祭編
66/73

小学生?


 稲城の友達? はぬいぐるみを超たくさん買ったのち、「しょうたが作ったぬいぐるみなんでないの!」と稲城に文句を言ってから、出口付近で似たような派手な格好をした人々と合流してどこかへと行った。



 そして今日もぬいぐるみ劇が始まる時間になった。


 人が昨日と同じかそれより多いくらい。


 待機列で列整理をしていた僕の中には安心の気持ちが大きかった。


 小学生とその親、たまにおばあちゃんとかだな……と人数を数えてから座席に案内していると、一人。ランドセルを背負った女の子がいるのに気がついた。


 緑色のゴムで髪をまとめ、ピンクのトレーナーのようなものを着ていて、赤のランドセル。小学生……。


 だけど、よく見ると少し大人っぽくないか……?なんとなく。いや別に膨らんでる胸とか全体的に大人びた体型とかのせい、じゃない、と思うけど……。いやそれかな。



 そしてこの人の正体が僕はわかった。



 僕はぬいぐるみ劇開演まで時間があることを確認してその人に話しかけに行こうとした。


「どこ行くの?」


「ああ、ちょっとあの人に話しかけようと思って」


「え?」


 美雨が驚いたと同時に僕は美雨に耳打ちをした。


 いきなりで少し驚いたっぽい美雨の顔が、耳あたりから少し赤く変化し、そして僕の話を聞いた後納得からの感心っていう感じで頷いた。



 僕はその女の子の方へと歩いて行く。


 女子小学生に声をかけるのを、美雨に認定してもらえるわけがない。


 だけど、僕がその女の子に話しかけに行けるのは、美雨も僕の話を聞いてわかったからだ。


 この女の子は小学生ではないと。


「あの……」


「はい? なんでしょう? あ、あ、わ、私は、小学五年生の、くみかです」


「審査委員ですよね?」


「あ、あ、あ、ば、ばれちゃいました〜 しかもすぐ」


 審査委員が明らかに審査委員だとわかるように行くと、審査委員の前だけいいところを見せる団体が出現する。だから審査委員は普通の在校生っぽく振る舞って各団体を回る、のだが。


 ぬいぐるみ部の審査においてはそれは難しかったようだ。


 お客さんがそこまで多くなく、かつ、ぬいぐるみ販売の方は客層はまだ広めだが、ぬいぐるみ劇は女子小学生とその親が大半で、他の人もいないことはないがいると目立つ。だから、審査委員が来たらすぐわかるだろうと僕は思っていた。


 しかし一日目、二日目と、それらしき人は来ない。


 でも審査しないわけにはいかないだろうから絶対に今日、しかも複数回来ると思っていた。


 というわけで、この女子小学生っぽく見えるがきっと本当は立派なJCかJKであるこの女の子の違和感にすぐ気づけた。


「どこが、女子小学生っぽくなかったのでしょう……?」


「そもそも今日は小学校休みの日だから、ランドセルは小学生も背負わないです。なのでわざとらしすぎるなと……」


「そこでしたかー、でも、ばれてしまっても、審査しっかりしますので! よろしくお願いします」


 頭を礼儀正しく下げる女の子。小学校の朝礼の時の礼のようで、そこは小学生っぽいけど。


 まあランドセル以外にも気づける部分はあったからな……。部分が


 

 とまあ、審査委員もお客さんもいるということで、ぬいぐるみ部のいつも通りかつ全力のぬいぐるみ劇をやっていこう。

 


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