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ランドセルを背負ったうみがめさん  作者: つちのこうや
文化祭編
62/73

初めて出会った場所


 三日目。僕はえりかと初めで出会った崖の上の道を、甲斐先輩について考えながら下っていた。スピードは控えめに。


 甲斐先輩は意外と素直に顔や行動に感情が表れるところがある。そしてその甲斐先輩の挙動を見れば、三里さんと甲斐先輩の間に何かあって、甲斐先輩は三里さんにぬいぐるみを渡したいと思っていたが渡せていない……のではないかと思える。


 ……っと危ない。


 またガードレールに激突して自分は崖の下に飛ぶところだった。


 僕は意識を目の前の道路に戻し、自転車のハンドルを握りなおした。そして再び自転車を漕ぎだそうとして、一人の女の子がいることに気がついた。


僕は二ヶ月前に戻ったかと思った。


「えりか……朝早く、なんでここに?」


 えりかはピンクのワンピースを着ていたが、初めて会った時とのとは違う、少し大人びた雰囲気のものだった。


「あ……うみがめさん」


 遠くを見ていたえりかは、こちらを振り返った。


そして、


「退院したばかりの頃、お母さんとこの辺をたくさんお散歩して。ここが一番好きだから」


「そうか……」


 確かに、ここからは天気のいい日は富士山の頭も見える。そしてそのかなりかなり手前に、街並みと、その中に建つ渚ヶ丘学園が見え、りすややまねの行っている、そしてえりかは今は行っていない小学校が見える。



「学校ここから見ると近いね」


「そうだな……」


「私昨日ね、帰ってから明日のために宿題やったんだ」


 えりかが何気なく、そう言った。しかし、それは……


「私、明日学校行く」


 いつの間にかランドセルを背負ったうみがめを抱いていたえりかははっきりと、ゆっくりと、言った。


お読みいただきありがとうございます。


今回は短めです。ごめんなさい。

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