ファミレスで迷い込むぬいぐるみの世界
僕たちはそれからもビラ配りや宣伝から、ぬいぐるみ劇、ぬいぐるみ売りも全部ぬいぐるみ部のベストを尽くし、そして今日もダンス部や料理部にお世話になって、その結果としてなんとお客さんが途切れることなく、ぬいぐるみ劇もそこそこ全公演埋まって、今度こそ僕は満足して二日目を終えた。
そして無事二日目を終えたということで、ぬいぐるみ部プラス小学生三人で、ファミレスに来ていた。
「では、今日の得票数の順位を発表するが、いいな」
注文を終えてすぐ、稲城がパソコンを起動させた。
「うわあ。ビリから三番目よりは成長してますように!」
美雨がお願いするポーズをすると、えりか、りす、やまねも真似した。可愛い女の子が四人揃って願えば一位かな。
すごく……記念写真撮りたいんですけど。
「六十二全団体のうち、ぬいぐるみは三十二位まで上昇した。二日目だけで見れば二十五位だ」
「おお」
稲城はためることなくあっさりと言った。
まあ……なんというか現実的な上がり方をしている。
「ただ、正直人気団体を除いて似たり寄ったりのところが多いから、少し伸ばすだけで二十位以内は狙えると思われる。売り上げ数とぬいぐるみ劇入場者数から予想するに、アンケートにぬいぐるみ部のことを回答した人は、今日と同じだけ明日も来れば、二百人は超えると思われる」
「ということはチャンスいっぱいってことだね〜」
「結果発表見たかったなー、明日わかったら教えてねー」
りすとやまねはポジティブだ。そして僕も見習うことしようと思う。明日もあるわけだし。
明日は賞の授与と後夜祭が文化祭後に行われるが、それらは基本的に内部生と招待券を持っている人しか参加できない。
僕は友達がいないので小学生三人に招待券をあげようと思ったが、小学生以下は夜遅くなるから参加できないようだ。残念。
特に、えりかには、学校が楽しいと知ってもらうためにも、なんか色々盛り上がる場に来て欲しかったな。
でも、今日もぬいぐるみ劇の間に楽しく回れたみたいで、演劇の話とか、実験ショーでもらったなんか謎の物体とか、アクセサリー作り体験の話をしていた。
だから十分かな。
そう思いながらえりかを見ると、僕の隣で静かに寝ていた。
そしてこてん、と時々僕にぶつかってくる。
小さい口はほん少しだけあいていて、目は閉じていてまつげが少し曲がっているのがわかって、ぬいぐるみの世界に迷い込んだ、可愛いお姫様のようだった。
僕は、
「ほら来ましたよ大きなハンバーグが! 優くん!」
美濃に大きな声でそう言われるまで、えりかと一緒に、ぬいぐるみの世界に迷い込んでいた。
お読みいただきありがとうございます。
この話で六十一部分目(登場人物紹介や団体紹介を含め)です。
文化祭編は七十部分前後で終わる予定で、文化祭編の最終話でもって『ランドセルを背負ったうみがめさん』については完結にしたいと思います。
その後の予定としては、新たなタイトルで、ぬいぐるみ部の文化祭後の日常を描いた話をかければなと考えています。




