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ランドセルを背負ったうみがめさん  作者: つちのこうや
文化祭編
55/73

思い出の一枚ゲットした


「ちょっと暗いね、優」


「うん。廊下の電気が消えてるからな」


 美雨が時折体を寄せてきて、軽くくっついてしまう。


 なんだ、この初めてデートしましたみたいな感じ。




 得票数がビリから三番目だったことを受けて、僕と美雨がとった行動は文化祭後の校舎を回ることだった。ちなみに美濃は放送部の仕事があり、稲城は図書室に行ってしまった。文化祭期間中でも図書室か……。


 得票数が上位の団体はどういうことをやっているのかを見に行き、少しでも参考になることがないか、考えるためだ。


 一日目の得票数は、一位がステージを盛り上げまくる会、二位が演劇部、三位がパソコン研究部、そして四位が科学部、五位が生物部と続く。さらにもっと言えば、六位がビーチバレー同好会、七位が未確認生物同好会だ。


 一気に得票数でも上位に食い込んだ二つの弱小部活。素直に言えば少しうらやましい。


 

 ステージを盛り上げる会と演劇部は、文化祭後に行っても特に意味はないので、置いておいて、ビーチバレー同好会はどういう人々が投票したか大体想像がつくので、これも見に行く必要はない。残りの四つに行くことにした。


 まず一つ目は未確認生物同好会。


「あ、どうぞ自由に見て行ってください」


 見た目だけだと本当に普通な女子が、僕と美雨を入れてくれた。


 見かけによらず、この人もUMAオタクなのかなと考えながら部屋をぱっと見渡すと、驚いた。雰囲気が未確認生物一色なのだ。


 天井からはネッシーや、なんとかッシーみたいな他の首長竜型の生物の模型がぶら下がり、部屋の奥には雪男や何やら知らない生物の模型が並んでいた。そしてそれらに混ざって、説明パネルやモニターが配置されている。


「あそこは記念撮影スペースなんですよ。よかったら撮りましょうか?」


 模型が並んでいるスペースを見ていた僕に、普通に見える女子が声をかけてきた。


「あ、いや……」


「とる、撮ります。優行くよ」


 え? 撮りたいのかよ美雨。


「じゃあ、そのモンゴリアンデスワームの模型と一緒に撮りましょうか」


「はい!」


 モンゴリアンデスワーム……こんな怪しイモムシみたいなのと写真撮る割に美雨乗り気すぎでしょ。美雨も未確認生物好きなのかな?


 仕方がないので僕もモンゴリアンデスワームの模型の隣に立つ。近づいて見ると改めてすごいリアルだなと思った。いやモンゴリアンデスワームのリアルも何もないかもしれないけど。


「はい、じゃあ撮ります。……はいっ撮れました!」


「ありがとうございます。優のスマホにも送っとくね」


「ああ……ありがと」


 


「優との文化祭の思い出の一枚ゲットした」


「そうだな……まあ確かに楽しんで回るかせっかくだし。美雨と回りたかったし」


「え、私と回りたかったの?」


「まあ……うん」


 階段に差し掛かった。


 美雨は僕の返事を聞くと下を向いて、階段装飾を一段一段眺めながら登っていった。



 僕は美雨にペースを合わせて登りながら考える。


 記念撮影か……。ぬいぐるみ部もできるかもしれない。


 

お読みいただきありがとうございます。


十万字に近くなってきました。


人生で初めてこんなに長い物語を書いているので、至らぬ点が多いと思いますが、よろしくお願いいたします。


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