表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/168

26話

 学食に行くには、西棟の裏玄関から出るのが一番の近道だ。

 俺たちは今、西棟一階の廊下を歩いていた。

 遼との話題はもっぱら、間近に迫った体育祭についてだ。


「―――――でさ~、なんとか友愛と一緒に二人三脚に出られることになったわけ。何回、誘っても、友愛のやつ、『嫌だっ』の一点張りだったからな~」

 牧原さんは遼とは正反対の奥手で引っ込み思案なタイプだ。そんな彼女が、あんなに目立つカップル専用の競技に出ようとは思わないのだろう。

 そんな風に、遼と体育祭について盛り上がっていると、前から櫻木さんが歩いてくるのが見えた。

 生徒会の用事なのか、彼女は両手に大きめの段ボールを抱えている。女の子があれを運ぶのは大変そうだ。

 その時、ぱっと櫻木さんと目があった。

 目が合うと、彼女はふるふると首を横に振る。どうやら手伝いは要らないと俺に伝えたいようだ。


 さて、どうしようか……


「櫻木さん、手伝うよ」

 やっぱり、大変そうに運ぶ櫻木さんを放っておくことはできない。俺は、櫻木さんに手伝いを申し出た。

「で、でも……」

「ほら、この前、櫻木さんに学園の案内もしてもらったしさ。そのお返しってことで。困ったときはお互い様でしょ?」

「うーん、そう言われると断りづらいですね。わかりました。それでは桂くん、お願いしますね。本当にありがとうございます」

 俺は櫻木さんから段ボールを受け取る。大きさの割に重いわけではなく助かった。

「うん。これはどこに運ぶのかな?」

「生徒会室です。もしあれだったら途中まででも構いませんよ?」

「いや、大丈夫。ということだから、遼、わるいけどお昼は少し遅くなってもいいか?」

「ああ、もちろんいいぜ」

「えっ、これから大道寺くんとお昼だったんですか⁈ そ、それなら、私が……」

「いいよ、いいよ、生徒会室まで行けば友愛にも会えそうだからな」

 申し訳なさそうにした櫻木さんを見て、遼がおどけたように言う。


 そんな遼らしい言葉に櫻木さんはふっと笑みをこぼした。

「ふふっ、大道寺くんは本当に友愛ちゃんのことが大好きなんですね。わかりました。それでは、桂くんに大道寺くん、よろしくお願いしますね」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ