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70(1)話★

「志藤さんも昂輝もごめんな」

 志藤さんが変身を解くと遼が手を合わせて謝った。もちろんさっきのお遊びについてだ。

「つ、つい面白くなっちゃってね~」

 七海も謝るが、全然反省している気配はなかった。

 まあでも、志藤さんのことを受け入れてくれたようだから、少しぐらい大目に見てあげよう。


 ところで、と俺は話題を変える。

「今日、みんなに相談したかったことだけど、文化祭のライブで、志藤さんの魔法を取り入れるっていうのはどうかな?」


 そう、これが今日の本題だ。遼たちの反応を窺うように、俺は彼らを見回す。


「ま、面白そうだしいいんじゃね?」

「いいね~。わたしも賛成よ」


 案の定、遼と七海はノリノリだった。

 その一方、牧原さんがおずおずと手を挙げる。


「えーっと、それってどんな感じになるのかな……?」

「まだ練習中だけど、幻想系の魔法で体育館全体を包んで、まるで別の場所でライブをしているように錯覚させるつもりよ」


 この質問に対しては志藤さんが回答してくれた。彼女は昨日の晩御飯の後、母さんともし魔導を取り入れるとしたらどんな感じになるかについて話し合っていたからだ。

 俺もこのことは初めて聞いたが、彼女の得意分野は幻想系の魔導だ。そういった演出は彼女に合っていると思えた。


「なんだか、すごいライブになりそうだね」

「うんうん、俄然やる気になってきたわ~」

「それじゃ、当日のライブで志藤さんの魔法を取り入れるってことでいいかな?」


 俺は再度みんなに確認をとる。


「賛成」

「うん、いいよ」

「さんせー」


 こうして、満場一致で可決された。あとは、本番まで精一杯練習をするだけだ。


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