表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

68/100

王国に急いで戻る鬼女と女騎士と魔術師と盗賊

 ハーティの背に乗り、振り落とされないようにメシアの【盾魔法】でバリアを貼ってもらう。

 観光地を急いで飛び出し、ハーティの出せる全速力でパトリオット王国に向かい始めた。

 これで観光地に追手は行かないし、超高速移動で俺達を狙う事は難しいだろう。


「ハーティ! 俺達の事は気にせず、全力で飛ばし続けるんだ! 疲れたら【回復魔法】で治す、辛いと思うけど頑張ってくれ!」


 俺の言葉に、ハーティは任せろと頼もしい鳴き声を返してくれた。

 これで後は攻撃が来ないまま、パトリオット王国に辿り着けるのを祈るのみ。

 もしも攻撃が来れば、俺とメシアが全力で防ぐ。

 絶対に油断は出来ない……!


「西側の黒き四つ足竜……確か名はハーティじゃったか。凄まじい速度を出せるのじゃのう……!」


「ハーティの体への負担はデカいし、俺達が振り落とされないようにメシアは常に【盾魔法】でバリアを貼らなくちゃいけない。だけどここで無理してもらわないと、もっと危険な状況に陥るかもしれないからな……」


「ワタシは大丈夫だから……ローブはハーティを、気にかけてあげて……!」


「必要なら俺の魔力(MP)を、【魔力吸収】で使ってくれ。今はとにかく、急ぐしかない」


「この速度で1度も止まる事が無ければだが、恐らく5時間程でパトリオット王国に着くだろう。問題はパトリオット王国に着いた後の事だが……」


「パトリオット王国なら、観光地と違って冒険者も多いし僧侶院もある。餓鬼程度の大群だったら脅威にならないし、強い魔物は俺達が片付ければ良い」


「という事は、パトリオット王国で一泊する感じで良いのか?」


「ハーティを休ませてあげたいし、戦闘になる可能性が高いからしっかり準備を整えないと。後は東の国の正確な位置を確認して、ルートも考えなきゃ」


 それにシーリアスを職業神殿に連れて行って、場合によってはおっちゃんの所にも顔を出さないと。

 メシアと無鬼(ナキ)に荷物の準備をしてもらったとして、俺のやる事は山積みだ。

 それにパトリオット王国で戦闘が起きないとも限らない、俺だけ全く休めない状況も有り得る。


「のうローブ。メシアの【転移魔法】があるのだから、ぱとりおっと王国とやらまで転移しては駄目なのか?」


「確かに言われてみれば、無鬼(ナキ)殿の言う通りだな。パトリオット王国まで転移出来る事は、メシアがアムルン殿を連れてきた事で証明している」


「ああ、それはな。俺達の移動手段を普通に見せかける為だよ」


「……ど、どういう事じゃ? もうちょっと妾に、分かるように説明しておくれ」


「あの御方って奴は、俺達の位置を正確に把握してるわけじゃない。分かっているんだったら、龍や餓鬼、風神雷神を差し向ける必要は無いからな」


「もしも狙いが、無鬼(ナキ)の保護なら……ワタシ達を、さっさと光線で消してしまえば良い」


「じゃが、ローブは攻撃を受けてしまったではないか?」


「あれは風神と雷神の始末に巻き込まれただけだよ。俺を狙ってきたわけじゃない」


 俺以外の奴に追撃が無かったし、多分俺に当たって死にかけた事すら相手は知らない筈だ。


「少人数の転移は、簡単だけど……これだけの人数に、ハーティまで居ると……相当の魔力を消費しちゃう……」


「そうなると正確に位置が把握されて、攻撃をされてもおかしくない。だから無鬼(ナキ)の気配を感じさせつつ、高速移動で追手を出し辛いこの移動方法を取ってるんだ」


「それに東の国は、知り合いも居ないから……転移出来ないしね……」


「成程のう。話を聞くと、ハーティの背に乗った方が安全なんじゃな」


 と言ってもあの御方が本当は俺達を捕捉していて、実は踊らされているだけって可能性もあるんだけど……

 まあそんな不安を煽るような事は、言わない方が良い。

 今はとにかく、パトリオット王国に無事辿り着く事に集中しよう。


「【索敵】……今の所、異常は無いか」


「妾の為にローブやメシア、シーリアスにハーティ……(みな)が頑張ってくれていると言うのに、妾は何も出来んと言うのが悔しいのう……」


「今の所は出来そうな事が無いのだから、致し方ない。それに自分は無鬼(ナキ)殿が何も出来ていなとは思ってないぞ?」


「む? そ、そうかのう?」


「ああ。無鬼(ナキ)殿は東の国の知識が豊富で、特に魔物の事にかなり詳しい。事前に危険な所を解説してくれるだけで、ローブやメシアの危険度が大幅に変わってくるのだ。なあ、ローブ?」


「そうだな、餓鬼の爪にある毒を教えてくれたから気を付ける事が出来た。風神と雷神は名前から使ってきそうな攻撃が予測出来るから、有利そうな武器を選べてる」


「うん、ワタシ達……充分に、助かってるよ……!」


 俺は魔物について、かなり勉強してきたと自負しているつもりだ。

 それでも東の国の魔物については、名前を聞いた事あるかどうかという程に知識が無い。

 だから無鬼(ナキ)が何も出来ていなかったなんて、考えた事も無かった。


「そうか、妾はちゃんと役に立てておるのか……良かったのじゃ」


「ああ、東の国に辿り着いた時。無鬼(ナキ)殿の知識が、自分達を大きく助けるだろう」


 シーリアスの言う通り、無鬼(ナキ)の知識は俺達を大きく助けてくれるのは間違いない。

 でも魔物について詳しいって事は、記憶を失う前の無鬼(ナキ)は冒険者だったのだろうか?

 いや身のこなしとか見てると、多分違う気がする……無鬼(ナキ)の正体、東の国で分かると良いんだけど……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ