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崖っぷち兄妹のダンジョン攻略記  作者: 生姜寧也
3章:兄妹激闘編

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第79話:即時撤退兄さん

「これは……使い道あるか?」


 強く長く燃やしたいって言われてもな。そんな怨讐じみた感情は抱いたことがないぞ。

 けどそこで、菜那ちゃんが「あ」と何か閃いた様子。


「兄さん、これ! 救世主かも知れません!」


「え、マジで? この牛脂の上位互換みたいなヤツが?」


 スーパーで『ご自由にお取りください』のレベルなのに?


「おデュラはんですよ」


「え?」


「あの鎧の中のお茶漬けを」


「あ、ああ!」


 燃やしてしまう。長く強く燃えるのなら、お湯が蒸発して、おこげになって、消し炭になるまで。いや、でも。やっぱダメだ。


「お湯が入ってるから、ちょっと難しいんじゃないかな」


 いくらなんでも、火が消えてしまうのではないか。


「だったら中に放り込むのではなく、鎧の内側に取り付けて中を蒸し焼きにするとか」


 確かにそれなら、上手く背中側の腕が遠い所に貼りつければ、すぐには取れない……いや、待て。中々取れない接着剤なら、俺たちはもう既に沢山持ってる。今もそこら辺に転がってる、それら。


「おじもちを使って鎧に取りつけて、菜那ちゃんの火球で火をつけてやれば」


「そ、それです! そうか、おじもち!」


 互いに断片的に閃いたアイデアが1つにまとまっていく。なんだかんだで、長く共に暮らした兄妹だな、なんて関係ないことを少し思った。


「いけますよ、これ」


「うん。今晩、行こうか」


 菜那ちゃんも手応えアリといった表情で頷いてくれた。決定だ。


 あとは特上薬草に水をやり、シイタケのキットからアブラタケを収穫。おじもちの木の向こう、銃を作ってくれるであろう、クルミの木へと向かう。木は結構大きくなっていた。葉も成っているし、枝も太い。だがまだ実をつけるまでは育ってない様子。


「まだ、もうしばらくはゴルフクラブか」


「ええ。でも兄さんのクラブ捌きも、だいぶサマになってきましたよ」


「そ、そうかな」


 喜んで良いのかどうか。まあ命を預ける武器なのだから、上手いに越したことはないんだけど。


 その後、菜那ちゃんも昼ご飯(並盛の牛丼)を食べて、家を出発。学校まで送り届けると、俺の方は伊勢崎(近いので結局こちらにした)に行って、炎の魔石を購入してきた。この後はオワコンで彼女の放課後までレベル上げの予定だ。


 コンビニに寄って、小さめの弁当を買ってからオワコンダンジョンへと続く山道に入った。朝昼兼用は食べたけど、恐らく動いてる間にお腹空くと思うんだよね。まあどれくらい潜るかにもよるけど。


 






 

 今日も3層でワームを狩った。6体討ったが、レベルアップはナシ。渋い。まあでも、動きが効率化されてきて、危なげなくかつスピーディーに倒すことが出来るようになったのは収穫だ。


「……」


 4層への階段を見る。まだ上層というカテゴリー(5層から中層)に入るらしいが。菜那ちゃんとは、事前に話し合い、偵察だけなら可となっている。割と強敵らしいし、本格的な戦闘は、2人揃った時にやるべきだろう、と。


 そっと下りて行くと、階段の傍で骸骨の剣士が1体、胡坐をかいているのが見えた。こちら側に背を向けているので、白い後頭部が丸見えだ。体には深緑のボロ布をまとっている。


 最後の段を下り、まずはフロア鑑定。




 ====================


 <群馬第3ダンジョン4階層>


  残存モンスター 

  スカルソルジャー:7体


  残存宝箱:1個

  残存素材:0個 


 ====================




 宝箱がある。欲しいな。とか考えていると、こちらに背を向けていた骸骨が、クルリと振り返った。耳は良いんだろうか。骨のクセに。

 すかさず鑑定。




 ====================


 名前:スカルソルジャー


 レベル:8


 素材:スカボロの剣(高確率)


 ドロップ:〃


 備考:

 主にダンジョンの3~5層あたりに出現するモンスター。骨格だけの体が、肉もついていないのに動き回る。


 ====================




 レベル8か。ついにファットボアーと同じくらいの強さの敵に遭遇したということになるのか。それがこの階層には7体。

 

 ブオン、ブオン、と剣を横薙ぎに振るいながら、ゆっくりとこちらに向かってくる。ああ、これはやめといた方が良いな。ゴルフクラブよりリーチが長いかも知れない。刃物だし、斬られたら洒落にならん。


「……」


 ゆっくりと後退して、階段を上る。するとピタリとソルジャーの動きが止まり、再び背を向けて元居た場所へ戻っていく。俺を見失ったかのような動きだ。これが階段安地の法則か。散々ネットには書かれてるけど、自分でも確かめられたのは良かった。


 俺は再び3層に戻り、復活したワーム3体を倒す。また階段に戻って少し時間を潰し(スマホが使えないからボーッとしていた)、残り3体のリポップ分も撃破。と、ようやく。


『新田拓実のレベルが10→11になりました。耐久力強化のスキルがレベル1→2になりました。成長促進のスキルを獲得しました』




 ====================

 

 名前:新田拓実


 職業:Fランク探索者


 レベル:11


 スキル:ダンジョン農園LV3

     鑑定LV3

     交雑表

     脚力強化LV2

     腕力強化LV2

     耐久力強化LV2

     成長促進LV1

 

 備考:

 妹のおねしょのニオイを嗅いでいた。生きてて恥ずかしくないのか。


 ====================




 ち、違うんだよ、あれは。ニオイがとれたか確認のためであって、なにか邪な気持ちがあったとかじゃない。冤罪だ、冤罪。

 って、それどころじゃない。早速、成長促進のスキルも詳細を見る。




 ====================


 <成長促進LV1>


 ダンジョン農園内の作物の成長を促進するスキル。現在は1・5倍。レベルアップと共に倍率があがる。じっくり育てた方が効果が高いアイテムになる場合などは注意が必要。


 ====================




 やべえ。神スキルきたな。

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